大阪市の学校から笑みが消える日
大阪市教育委員会は10月1日の教育委員会会議で、全国学力調査・学習状況調査(全国学テスト)の学校別成績を市立学校全校で公表させる方向で議論をまとめた、と『しんぶん赤旗』(2013年10月3日 電子版)が報じている。学力テストの結果を学校別に発表するかどうかでは静岡県が物議をかもしたばかりだが、大阪市も負けてはいられない、というところなのか。
その大阪市の市長といえば橋下徹氏であり、すでに大阪知事時代から公表に積極的な言動をとってきた人物だ。いわば、公表問題では本家本元である。
その橋本市長の意向をふまえて昨年は、「保護者らでつくる学校協議会の意見をふまえたうえで、校長が成績公表するかどうか判断できる」としていた。しかし公表した学校は、小学校299校中8校、中学校130校中11校の9校だけにとどまった。
来年度から大阪市が導入しようとしている学校選択制とのからみもあって、「成績の悪いことがバレれば、当校への志望者が減る」という校長の危惧もあったからかもしれない。しかし、学校をテストの点数だけで差別化することへの疑問と反発が大きかったためにちがいない。
そして今月1日の大阪市教育委員会では、教育委員全員が「学校別公表」を支持したという。今回は「校長の判断」は排除されたわけで、学校現場を無視して、橋本市長の意向が重視されたことになる。
学校選択制と全国学力テストの学校別成績公表が同時に実施されれば、その影響は火を見るより明らかだ。人気校と不人気校の差が歴然とし、人気校になるために学校側は学力テストの点数引き上げに血道をあげることになる。
そんな競争に駆り立てられる子どもたちに笑みを期待するのは無理なことだろうし、明るい将来につながるともおもえない。その子たちを、「橋下政権の犠牲者」と呼ぶことにならないよう祈るばかりだ。