Yahoo!ニュース

地球は木星の重力に守られている?95個もの衛星を持つ木星、地球に落ちる筈だった隕石も引き付けていた?

ジュノーが撮影した木星の北極と周りを囲むサイクロン群 出典:Wikipedia

6600万年前、恐竜や巨大な昆虫が生息している地球に、直径10kmを超える巨大隕石が時速6.4万kmという恐るべき速さで衝突しました。私たちは、普段から隕石の衝突を警戒はしていませんが、実は「木星の強すぎる重力が地球を守ってくれている」という説をご存知でしょうか。

本記事では、木星を取り巻く太陽系の天体たち、そして土星との衛星数競争まで解説していきます。

毎週土曜21:00~宇宙ニュース配信中!!

■木星は地球を隕石から守っている?

ボイジャー1号撮影の映像に着色したもの。大赤斑や白斑などが見られる 出典:Wikipedia
ボイジャー1号撮影の映像に着色したもの。大赤斑や白斑などが見られる 出典:Wikipedia

地球より11倍も大きい木星ですが、度々小惑星や彗星の衝突が観測されています。なんと1カ月に5回程度のペースでこのような衝突が起きているのではないかと考えられています。もしこれが地球で起こってしまった場合は、私たち生命は恐竜のように絶滅してしまうでしょう。

しかし、実は木星はその大きな重力により、地球に落ちるはずだった小惑星も引き付けてくれているのです。私たちの暮らしにとって何と有難い惑星なのでしょうか。

トロヤ群の小惑星。木星は反時計回りに回る。緑色がトロヤ群であり、木星の進路方向はギリシャ群、後方はトロヤ群と区別されている。小惑星帯の小惑星群は白で、ヒルダ群の小惑星は褐色 出典:Wikipedia
トロヤ群の小惑星。木星は反時計回りに回る。緑色がトロヤ群であり、木星の進路方向はギリシャ群、後方はトロヤ群と区別されている。小惑星帯の小惑星群は白で、ヒルダ群の小惑星は褐色 出典:Wikipedia

更に、木星と太陽の釣り合うラグランジュ点の周りには、1万1000個を超えるトロヤ群小惑星が周回しているのです。太陽系の小惑星を大量に引き連れる木星、とても頼もしいですね。しかし一方で、最近の研究ではむしろ木星が隕石を地球に送り込んでいるという見方もあります。

■木星と土星の衛星数競争

木星とガリレオ衛星 出典:Wikipedia
木星とガリレオ衛星 出典:Wikipedia

太陽系の中でもひときわ大きい木星と土星ですが、1600年代から衛星の数で熾烈な争いを繰り広げていることをご存知でしたか。ちなみに、地球の衛星は皆さんも良く知る月ですね。

そして、最初に争いの火ぶたを切ったのは木星。1610年にガリレオが木星に4個の衛星を初めて発見しました。それから土星も巻き返しを図り、1789年には合計6個が発見され脅威の逆転を決めています。

木星の衛星84個の軌道 出典:Dr. Scott S. Sheppard 
木星の衛星84個の軌道 出典:Dr. Scott S. Sheppard 

そして時は流れ2023年、木星が95個、土星が83個となり、土星の劣勢が続ていました。しかし、ここから土星の真価が発揮されます。なんと土星の衛星が新たに63個も発見されたのです。遂に太陽系で唯一100個を超える衛星を持つ惑星として、頂点に返り咲いた瞬間でした。

【関連動画】

【関連記事】

超巨大オーロラが発生した木星 その原因が判明!?火山活動が続く衛星イオとの関係とは

太陽系外に続々と発見される「驚異の惑星」ホットジュピターやエキセントリックプラネットとは?

宇宙ニュースを毎日お届け!YouTubeでは毎週土曜21:00~宇宙情報をLIVE配信中! ロケット打ち上げ計画や惑星探査機・科学情報を、初心者の方にも分かりやすく解説します!皆さんからの気になる質問や熱いコメントもお待ちしています!

スペースチャンネルの最近の記事