北朝鮮「水爆実験」の検証に使われた、自衛隊機による放射性物質測定
北朝鮮が水素爆弾の実験に成功したと発表しましたね。真偽のほどを確かめようと、様々な調査活動が行われています。
そのうちのひとつ、自衛隊機による大気中の塵採取の結果が出たようです。
現時点で大気中の放射性物質は確認されていないようで、北朝鮮の主張を裏付けるものは出ていない模様です。
1961年から毎月行われていた放射性物質測定活動
自衛隊機による大気中の放射性物質測定は、元々は内閣放射能対策本部の環境汚染調査の一環として、1961年より毎月1回行われていました。定期的な活動の他、過去の北朝鮮による核実験や、東日本大震災における福島第一原発事故の際にも収集活動を行っています。
放射能塵収集にはT-4練習機が使用され、今回も集塵ポッドを搭載したT-4の姿が報道されています。
この集塵ポッドは機上集塵器(2型)と呼ばれるもので、内部に高空塵採取用のエレクトレットフィルタ(静電気により集塵効果を高めたフィルタ)、放射性ガス捕集用の繊維状活性炭布を組み合わせた直径28センチのフィルタが装着されています。
測定活動が始まった1961年当初、その収集方法は現在の集塵ポッドによるものではなく、ガムードペーパ方式と呼ばれるものでした。ガムードペーパ方式とは、航空機の主翼前面に17.5cm×33.5cmの両面シートを30枚貼り付けて飛行を行い、シートに放射能塵を付着させるというものです。この方式はとても簡便で安上がりなのですが、測定の差が大きいため1971年以降は特別調査以外には使用されていません。
機上集塵器を搭載したT-4は日本上空で測定活動を行い、そこで採取された試料は財団法人日本分析センターにて分析を行います。緊急に測定結果が欲しい場合は、防衛省内の機関で分析を行うこともあるようです。
このような50年以上に渡る地道な測定の結果、日本周辺の大気中の放射性物質核種や濃度に異常があれば、それが何によるものか推測出来るようになりました。あまり知られていませんが、このような地道な活動を日々自衛隊が行っている事を知って頂ければ幸いです。