実は意味がある!「冬の温泉で頭の上にタオル」体によい2つの理由
温泉に行くと、「頭の上にタオルをのせている人」をよく見かけないでしょうか?
ただ、意識して観察してみると、頭の上にのせている人の多くは中年やお年寄り。若い人ほど頭の上にのせている人は少ない印象です。
もしかしたら、若い人の目には、「おっさんくさい」行為に映っているのかもしれません。
しかし、これをおっさん特有の「オヤジ仕草」とバカにしてはいけません。じつは、入浴時にタオルを頭の上にのせる行為は、〝ある効果〟を期待できるからです。
「のぼせ」と「立ちくらみ」
「温泉に入りすぎてのぼせてしまった」「湯船から上がろうとしたら立ちくらみがした」といった経験をした人がいるかもしれません。
筆者自身も、温泉が気持ちよすぎるがゆえに長湯をして、のぼせ気味になったことはありますが、もっと深刻なシーンに出くわしたこともあります。
友人と温泉に行ったときのこと。湯船からあがって脱衣所で着替えようとしていたら、後ろで「バタン!」と大きな音が。振り向くとのぼせた友人が倒れていました。幸い、すぐに起き上がって無事でしたが、打ちどころが悪かったら、大きなケガにつながっていたかもしれません。
また、別の温泉では、湯船からあがったお年寄りが立ちくらみをして、フラフラとしているシーンに出くわしたこともあります。そのまま背中から湯船に倒れてしまいましたが、近くにいた入浴客が間一髪でお年寄りの体を支えて、大事には至りませんでした。
入浴施設での「のぼせ」や「立ちくらみ」は大事故につながりかねません。そこで、見直したいのがタオルの役割です。
みなさんは、入浴時にタオルをどうしているでしょうか?
いわずもがなですが、タオルは湯船の中には入れないのがルールです。たいていは湯船の縁や湯桶の中などに置いて入浴するでしょう。
おすすめは頭の上です。
じつは、入浴中にタオルを頭の上にのせることは、「のぼせ」や「立ちくらみ」を予防する効果があるとされています。筆者も資格を有する「温泉ソムリエ協会」も、頭の上のタオルを推奨しています。
立ちくらみ予防には熱いタオル
のぼせやすい場合は、冷たい水で濡らしたタオルをのせます。入浴中は体が水圧を受けて血液が上半身や頭に集まりやすく、いわば〝オーバーヒート〟している状態なので、頭を冷やすと効果があります。
とくに浴室が高温の内湯や夏の露天風呂では、のぼせ防止のために冷たいタオルを頭の上にのせるのがおすすめです。
一方、立ちくらみを予防したいなら、熱い湯で濡らしたタオルをのせて湯船から上がります。
湯船から上がるときに体が水圧から解放され、下半身側に血液が移動するため、頭に流れる血液が不足する「脳貧血」を起こしやすくなります。そこで、熱いタオルで頭を温めて、血管を広げてあげるのです。湯船から上がる前に、桶に熱い湯をくんでタオルにしみこませるといいでしょう。
「熱いタオル」は冬の露天風呂でも活躍します。今の季節は、風情ある雪見風呂などが最高ですが、外気温の低さと熱い湯の温度差によって頭の血管が収縮し、血圧が急上昇しやすくなります。それを予防する意味でも、冬の露天風呂では熱いタオルを頭にのせて「保温」すると効果的です。
基本的には、のぼせには「冷たいタオル」、立ちくらみには「熱いタオル」と覚えておくといいでしょう。
なお、立ちくらみ予防には、「露天風呂に入る前に内湯で温まる」「入浴前に頭から湯をかぶる」「湯船から出るときはゆっくり立ち上がる」といった方法も効果的なので合わせて実践することをおすすめします。
※ご紹介した内容は予防策のひとつであり、立ちくらみやのぼせを完全に回避できるものではありません。個人差や体調などを考慮し、立ちくらみやのぼせには充分注意して入浴してください。
※参考文献:「温泉ソムリエ」テキスト(外部リンク)