ふるさと納税をやるべき人3選。一生に一度の人も?
2022年も残すところひと月あまりとなりました。やり残したことはないですか?毎年11月、12月には年末調整が終わり、ふるさと納税を真剣に検討する時期という人もいるかもしれません。毎年恒例行事となっている人は、今年も同じように取り組んでください。一方で、今までふるさと納税と無縁だった人の中には、一生に一度の大チャンスの人もいるかもしれません。
■ふるさと納税って何でしたっけ?という人へ
ふるさと納税は応援したい地域や、気になる返礼品を用意している自治体に住民税を納税することで、ふるさと納税額の最大3割相当の特典を受取ることのできる制度です。
2021年は過去最高の564万人が利用し、住民税額は4447億円に上りました。(https://www.soumu.go.jp/main_content/000827748.pdf) 利用者の選択した自治体は北海道、九州が多くなっており、特産品目当てのふるさと納税利用者が多かったものと考えられます。
ふるさと納税の利用については、各種ふるさと納税ポータルサイトなどから申込することができますが、確定申告の利用が必須となります。ただし、ふるさと納税以外に確定申告の必要がない人は、ワンストップ特例制度を利用することで、確定申告の手間なくふるさと納税を利用することもできます。
■ふるさと納税のよくある勘違い
まず、ふるさと納税の上限を誤認している人がいるようです。ふるさと納税は所得税の計算上の総所得金額の40%が上限です。納税額が上限ではありません。上限以上のふるさと納税は単なる寄付行為となり、期待した効果を得られない可能性がありますので要注意です。
次に、節税になると誤認している人も多くいる印象です。ふるさと納税は、所得税の所得控除による還付と住民税の前払いがセットになっています。ふるさと納税額―2000円が所得控除と住民税の前払い額の合計となります。ふるさと納税の寄付金控除自体は、所得控除による所得税を減額する効果があるため、それをもって節税と表現することは間違いとは言えないかもしれません。ただ、節税とは得する必要があるので、税的に得するわけではないということでは節税とはみなしません。
■毎年ふるさと納税をやるべき人
ふるさと納税は、認知度に対して利用者数が少ないのではないかと、筆者は感じています。節税だから自分には無関係と考えている人がいるかもしれません。フルタイムで働いている人であれば、所得税と住民税の納税者である可能性が高いので、上限の多寡はあれど取り組む検討をしてもよさそうに思います。
なお、ふるさと納税は年収別の上限表がありますし、ふるさと納税のポータルサイトでは、自身の年収では、上限がいくらか計算することも可能です。ぜひ、一度取り組まれるといいでしょう。
■ふるさと納税の税効果が薄い人
ふるさと納税をやる必要性があまりなさそうな人もいます。
(1)住宅ローン控除の利用中
住宅ローン控除の利用中で、所得税の納税額がゼロ、住民税額もあまりない人は、控除できる納税額が少ないため、ふるさと納税の利用メリットが無いか薄い可能性があります。
(2)暗号資産(仮想通貨)で利益が出た人
暗号資産で利益が出た場合は一見、ふるさと納税のチャンスのように見えます。ただ、暗号資産から暗号資産への投資で、現在保有している暗号資産が下落している場合は、利益が出ているので納税が必要です。評価が下がっているのに納税は必要ですので、ふるさと納税どころではないかもしれません。
■ふるさと納税にぜひ取り組んで欲しい人3選
最後に、ふるさと納税を忘れないで欲しい人3選についてお伝えします。
(1)退職金の受給者
退職金を受給し、退職所得控除を超える受け取りをした場合、毎年の年収とは別に所得税と住民税の負担が増加します。これは、ふるさと納税の上限が引き上げられることを意味します。
退職金を受け取った年は、該当年度の所得税、次年度の住民税が増えますから、ふるさと納税の利用可能額をしっかりと確認するとよいでしょう。退職後に時間ができる人は、旅行や観光にかんする返礼品を目当てにふるさと納税先を考えてはいかがでしょうか。
(2)株式や投資信託の売却益が出た人
2022年の株式市況は、下落傾向にあり単年度ではマイナスになっている人が多いのではないでしょうか。ただ、アベノミクスの効果で、トータルでプラスになっている人の方が多いと考えられます。
今年、何らかのきっかけで株式投資等の利益を確定した人は、ふるさと納税の上限が増えているので、利用を検討してはいかがでしょうか。
(3)不動産の売却益が出た人
株式等と同様に、保有する不動産の売却で利益が出た人も、ふるさと納税を利用されてはいかがでしょうか。相続で引き継いだ不動産の場合は、不動産の原価である取得価格が5%程度しかない場合もあります。値上がりしているように見えない土地であっても、昭和初期に買った土地などであれば、インフレの影響で利益が出るはずです。不動産の売却とふるさと納税がつながらない人もいるでしょうけれど、忘れないようにしましょう。
■ふるさと納税のススメ
ふるさと納税の影響を最も受けている自治体は、神奈川県横浜市、次いで愛知県名古屋市、大阪府大阪市、神奈川県川崎市の順です。該当する自治体にとっては、財源移譲により由々しき事態に陥っているはずです。
一方で、納税者側が税金について考えを深めるチャンスでもあります。ぜひ、一度ふるさと納税に取り組んでいただき、納税とは何なのか年末に考えるきっかけとしていただければ、金融リテラシーの控除に寄与するのではないかと考えます。
なお、ふるさと納税は返礼品の送り先を自分以外にすることができます。盆暮れの贈答品にふるさと納税をつかえば、喜ばれること間違いなし、かもしれません。