2023年11月にウクライナ軍の移動式ドローン迎撃部隊を紹介するショート動画が公開されていた。この「移動式ドローン迎撃部隊」ではスウェーデンのボフォース製機関砲、ソビエト時代の対空機関砲を自動車の後ろに搭載して上空のロシア軍のドローンを迎撃して破壊している。

2022年2月にロシア軍がウクライナに侵攻。2022年10月からロシア軍はミサイルとイラン政府が提供した標的に向かって突っ込んでいき爆発する、いわゆる神風ドローンの「シャハド136（Shahed136）」、「シャハド131（Shahed131）」で首都キーウを攻撃して、国際人道法（武力紛争法）の軍事目標主義を無視して軍事施設ではない民間の建物に攻撃を行っている。一般市民の犠牲者も出ている。ほぼ毎日立て続けにロシア軍はイラン製軍事ドローン「シャハド136」と「シャハド131」を大量に投入してウクライナ全土に攻撃を行っている。2023年11月になっても「シャハド」での攻撃は全く収まっていない。迎撃して破壊しても次から次にウクライナ軍の軍事設備や民間インフラに攻撃をしかけてくる。

ウクライナ軍はロシア軍のイラン製軍事ドローンを迎撃するために、専用車「移動式ドローン迎撃車」を開発して、アラート（警報）が鳴ると、標的付近まで専用車で向かっていき車やバン、トラックの後方部に設置している機関銃や地対空ミサイルで迎撃して破壊する「移動式ドローン迎撃部隊」を2022年後半につくった。

ウクライナ軍では自らが開発したり改造したりして作った「移動式ドローン迎撃車」や、各国から提供されたものでロシア軍のイラン製軍事ドローンを迎撃している。ゼレンスキー大統領もこれから冬が本格化するに向けてもっと「移動式ドローン迎撃部隊」を強化することを宣言していた。

寒くて雪が積もった冬には移動も迎撃も困難

ロシア軍はイラン製軍事ドローンで深夜や早朝に奇襲を多く行っている。深夜や早朝の方が暗くて見えにくいことと、迎撃する兵士の脳も昼間ほど働いていない。また民間施設への攻撃は深夜や早朝の一般市民が寝ている時の方が心理的なダメージも大きい。そのような深夜や早朝でもアラートが鳴ると「移動式ドローン迎撃部隊」らは駆けつけて迎撃している。深夜や早朝だけでなく、大雨や大雪など視界の悪い天候の日の迎撃も大変である。「移動式ドローン迎撃車」では後部に設置された地対空ミサイルやライフル銃で迎撃しているが、迎撃している兵士らも軍事ドローンの標的にされてしまうので、命がけである。

これから本格的な冬に近づくにつれてロシア軍は軍事ドローン「シャハド」でもっと奇襲をしかけてくるだろう。ゼレンスキー大統領もそのことを懸念していた。冬の寒くて雪や雨が降るような時期は「移動式ドローン迎撃車」にとって道も雪で埋もれて、移動してすぐに攻撃ポイントまで駆けつけていくのも、春や夏に比べると困難である。また冬は寒くて昼間でも視界も不良なので上空のドローンを迎撃するのは春や夏に比べると困難である。ドローンでの攻撃は迎撃よりも攻撃する方が優位である。「移動式ドローン迎撃部隊」の強化は冬に向けてますます重要になる。

ウクライナ軍でイラン製軍事ドローン「シャハド」やドローンを迎撃している「移動式ドローン迎撃部隊」は「シャハド・ハンターズ」（Shahed Hunters）、「シャハド・バスターズ」(Shahed Busters)、「シャハド・キラーズ」(Shahed Killers)、「アンチ・シャハド」（anti-Shahed）、「ドローン・ハンターズ」（Drone Hunters）、「ドローン・バスターズ」(Drone Busters)、「ドローン・キラーズ」(Drone Killers)などと呼ばれている。

▼「移動式ドローン迎撃部隊」

▼「移動式ドローン迎撃部隊」