時代は回る?最新のパターに見る‟新しさ”の正体とは【ゴルフ】
アイアンやドライバーは、見た目の個性があるものもあるが、どのモデルも基本的にはある程度同じ形をしている。一方、パターの形はバラエティーに富んでいる。「パターの形っていろいろあるなぁ」と感じたことがある人は多いのではないだろうか。
パターのヘッド形状は「ピン型」「マレット型」「ネオマレット型」などがある。操作性や構えときの感じが、各ヘッド形状で異なる。
そして、ネック形状もいろいろな形がある。今回はこのネック形状に焦点をあててみたい。最近のトレンドは三角形のネックだが、過去のパターを調べてみると、三角ネックは昔から存在していた。
設計やコンセプトの‟復活”が‟最新”として扱われ、‟流行”へとつながっていることがわかる。「まったく新しいものを創り出そうとするだけでなく、歴史をさかのぼり、目に留まったものに新しさを加える」という、クラブ開発の背景がかいま見える。
ネック形状
ネック形状には「クランクネック」「ベントネック」「ショートネック」「センターシャフト」などがある。ヘッド形状が同じでもネック形状が違うと、ストロークやインパクトの感覚が異なる。よって、同じヘッド形状でも複数の種類のネック形状がラインアップされていたりする。
流行の三角ネック
三角ネックのトラスパター
最近、パターで最も注目されているのが三角ネック。一般的なパターのネックは長方形だが、日本女子ゴルフツアーで、三角ネックのテーラーメイドのトラス(TRUSS)パター使用者が多く、優勝者の多くが使用していたことも手伝い、同パターの入手が困難になるほどの人気を集めた。
トラスパターは、建築方式の「トラス構造」に着想を得ている。トラス構造にすることで、インパクトの衝撃によるブレを抑え、安定感のあるボールの転がりを狙ったのだ。
トラス構造
橋などの建築物に使われている構造形式。多角形の中で一番強度が大きいとされる三角形で構成された構造で、衝撃に強く、安定性が高いとされている。
トラスパターを意識したトライビームパター
トラスパターを、人気ブランドであるオデッセイ流にアレンジしたのがトライビームパターだ。ビーム(BEAM)とは、建物において上からの荷重を支えているハリのこと。トラスと同じような意味だ。
ネックを三角形にするということは、ネックが大きくなるということ。それは、ヘッドの重心が高くなりやすいというデメリットにもつながる。だが、ネックを軽量化することでヘッドの低重心化を実現。トライビームパターの特徴の一つだ。
昔もあった三角ネック
三角ネックは革新的な設計として認識されているが、実は、昔も同じようなコンセプトのパターは存在した。
1991年に発売された、タイトリストのDEAD CENTER PUTTER(デッドセンターパター)は三角ネック。「安定感があるボールの転がり」をうたっている。
トラスパターの原型!?
最近の三角ネックの流行(トライビーム)を生んだのがテーラーメイドのトラスパターだが、トラスパターには同社に原型のパターがあると言われている。cb.2というパターだ。
たしかに、ネックのヒール側からヘッドのヒール側にかけての流れがトラスパターに似ている。
パターの革新性
ドライバーやアイアンは、弾道測定をするなどして飛距離や安定性の向上をゴルファーに感じさせることが可能。だが、パターではそれができない。構えた時や打った時の感覚、うたうコンセプトが勝負になる。
どれだけ革新性を訴えられるか。各メーカー、あらゆるテクノロジーを駆使したパター開発に注力しているが、クラブヘッドに関してはいろいろと出尽くしている部分がある。
そこでテーラーメイドはネックに注目。これまでにもあったものに最新のテクノロジー(ヘッドに搭載されているウェイトなど)を加え、テーラーメイドらしく仕上げたのがトラスパターなのだろう。
ファッションを例にしてみる。1990年代に流行したアムラーファッションが、2020年頃に再びブームになった。最新のパターに同様の‟復活”がかいま見えるのは、自然な流れなのかもしれない。時代は回るのだ。
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