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グーグルのドローンは空からホットコーヒーや食事、市販薬を配達

小久保重信ニューズフロントLLPパートナー
出典: 米Alphabet

 米グーグルの関連会社「ウイング・アビエーション」は先ごろ、ドローン(小型無人機)を使って消費者に商品を運ぶ事業で、米当局から認可を受けた

わずか数分で顧客の敷地内に配達

 ウイングは、これまで、オーストラリアで配送実験を行ってきた。6年の月日をかけて開発したというドローンは、垂直離着陸と翼を使った水平飛行が可能だ。

 これに同社のナビゲーションシステムを組み合わせ、小包ほどの荷物を数分で顧客の敷地内に届ける。ドローンは目的地に着くと、上空からロープを垂らし、庭や玄関前、私道などに荷物を降ろす。

 オーストラリアでは、これまで7万回以上の飛行を行い、3000件以上の配達を実施した。届けた荷物は、ホットコーヒーや食事、ドラッグストアの商品など。

 この実験でドローンによる配達が、自動車による配達よりも、歩行者へのリスクが少ないというデータが得られ、これが今回の認可取得につながったと、同社は説明している。

 米ウォールストリート・ジャーナルによると、ウイングは米バージニア州でも、バージニア工科大学や複数のパートナー企業と共同で配送実験を行っている。

 これまでは無料でサービスを提供していたが、今回認可を得たことで、料金を取る商業サービスが可能になる。

 そして、ウイングは今後、地域の住民や企業にアンケートを行い、どのような商品がドローン配送に求められているかを調べるという。そのほか、商業面や技術面の問題についても確認する。また、プライバシー侵害への懸念に対する解決策も探るという。

 この分野では競合が同様の認可を求めて、開発や実験を行っており、すでに競争が激化している。そうした中、グーグルにとって、今回の認可取得は快挙だとウォールストリート・ジャーナルは伝えている。

本格的な事業展開には課題あり

 ただ、この認可は限定的なものだ。その対象はバージニア州南西部のブラックスバーグ周辺地域に限られている。

 ドローンを使った配送サービスに取り組む企業には長年にわたる障壁がある。現在は、人口密集地における商業飛行が禁止されている。また大規模なサービス運営に関し、安全性への懸念もある。今回の認可は、本格的な事業展開に立ちはだかる障壁を取り除くものではないと指摘されている。

 一方、米国のニュース専門放送局CNBCの6月28日の報道によると、ウイングは現在、事業拡大に向けて、新たな認可取得や規制戦略などを担当する政策部門の責任者や法務部門のアドバイザーなど数十人の専門職を募集している。

  • (このコラムは「JBpress」2019年4月26日号に掲載された記事をもとに、その後の最新情報を加えて編集したものです)
ニューズフロントLLPパートナー

同時通訳者・翻訳者を経て1998年に日経BP社のウェブサイトで海外IT記事を執筆。2000年に株式会社ニューズフロント(現ニューズフロントLLP)を共同設立し、海外ニュース速報事業を統括。現在は同LLPパートナーとして活動し、日経クロステックの「US NEWSの裏を読む」やJBpress『IT最前線』で解説記事執筆中。連載にダイヤモンド社DCS『月刊アマゾン』もある。19〜20年には日経ビジネス電子版「シリコンバレー支局ダイジェスト」を担当。22年後半から、日経テックフォーサイトで学術機関の研究成果記事を担当。書籍は『ITビッグ4の描く未来』(日経BP社刊)など。

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