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『素晴らしき哉、先生!』でギャル生徒を「素で演じた」古田愛理。韓国通で岐阜を愛する22歳の目指すもの

斉藤貴志芸能ライター/編集者
エイベックス提供

生田絵梨花が理不尽な教育現場で葛藤する高校教師を演じる『素晴らしき哉、先生!』。彼女が担任するクラスのギャル生徒役で、古田愛理が出演している。「Popteen」の人気モデルから女優活動も広げて、これまでも演じてきたギャル役はほぼ素だという。一方、YouTubeでは韓国や美容に関する情報を精力的に発信し、Z世代の女性から支持を受けている。軽やかに幅広く活躍中の22歳が目指しているものは?

ダンススクールに週7日通ってました

――岐阜出身ということで、どんな環境で育ってきたんですか?

古田 岐阜の中では都会のほうに住んでましたけど、夏は遊ぶと言ったら川に飛び込んだり、山に行ったり。鮎を釣って、そのまま調理してくれるヤナという場所が定番で、生粋の岐阜っ子でした。

――そんな中で、小学生の頃からダンススクールに通っていたとか。

古田 小学2年からですね。母がEXILEさんを大好きで、入らされました(笑)。私は三姉妹の末っ子で、全員にダンスをやらせたかったみたいですけど、唯一続いたのが私だったんです。私も最初はイヤだったのが、練習してうまくなると楽しくなって。週7日で通うようになりました。

――つまり、毎日通っていたと。

古田 最大で四つ、スクールを掛け持ちしていました。気づいたら私もEXILEさんのファンになっていて、バックダンサーになりたい夢ができて、頑張って叶えたんです。

――お母さんは美容の仕事をされていたとか。

古田 うちは美容一家なんです。一番上の姉も美容師で、真ん中は今は主婦ですけど、ネイルをやっていた時期がありました。

活躍している同世代たちの中に入れるように

――中学時代から「Popteen」モデルを務めていましたが、そっちはいつ頃から興味を持ったんですか?

古田 小学生時代にバックダンサーとして、ステージから客席を見たら、お客さんたちがすごくキラキラしていて。自分も人を笑顔にできるようになりたいと思ったんです。もともとオシャレは好きで、自分が表に立つならモデルかなと、気づいたら目指すようになっていました。

――それから女優業にも活動を広げました。

古田 高校2年の終わりに、Abemaのドラマにちょっと出させてもらって、演技をやりたいなと思いました。モデルとはまったく別物で、別の人格になれるのが楽しくて。現場では監督さんやたくさんのスタッフさんが携わって、みんなで作っていくのも興味津々でした。

――「Popteen」で一緒に表紙を飾ったりした莉子さん、香音さんの女優展開も刺激になったのでは?

古田 それはありました。切磋琢磨してきて、ドラマで見るたびに「私も頑張らなきゃ」と思う大切な存在です。

――生見愛瑠さんも小学生の頃からスクールで知り合いだったとか。

古田 そうなんです。同世代で活躍している方がたくさんいるので、私もその中に入っていけるようになりたいです。

闇っぽい作品が好きなんです

――自分でドラマや映画は観ていました?

古田 観てます。王道よりガツンと毒気のある作品が好きです。最近だと『地面師たち』とか。昔から、そういう闇っぽい作品ばかり観ていました(笑)。だから、自分でもそっち系の役が目標です。殺人鬼とか、役でないと出会えない人格なので。

――愛理さんは韓国好きで知られていますが、韓流ドラマも観ますか?

古田 韓国のドラマは長いので、観るまでに躊躇する部分はありますけど、ストーリーは独特ですよね。キラキラしているだけでなく、闇があったりもするので、そこも含めていいなと。一番好きなのは『マスクガール』です。

――外見にコンプレックスを持つ会社員が、マスクをしてネット配信を始めて、次々と不幸が降り掛かる物語ですね。

古田 WEBマンガが原作で、1話からずっと暗いトーンで、どんでん返しが続いて。すごく見応えがあって、私も演じるなら、これくらい振り切りたいなと思いました。

初舞台は稽古で苦戦して本番は楽しめて

――今までの出演作では、自分の中で特に大きかったものはありますか?

古田 去年の初舞台の『×××になれなくて』です。私がそれまでやってきた明るい役と違って、アイドルグループの最年少メンバーの天才肌の子で、ヤバいヤツだったんです(笑)。渦巻きの中にバッと入ってきて、5人の仲をぶち壊すという。

――まさにやりたかった系の役でした?

古田 稽古中はめちゃめちゃ苦戦して、怒られっぱなしでした。まず、岐阜の方言が抜けてなかったのが致命的。それで、大音量で怒るキャラクターだったんです。普段そんな声を出さないので大変でした。しかも、末っ子っぽかったのに、急にワーッと怒り出したり、感情がグワングワン動くので、切り替えが難しくて。稽古期間も2週間しかなくて、直前まで無理かもと思っていたんですけど、本番で小屋に入ったら、もう楽しくて仕方ない! 毎回ちょっとずつニュアンスを変えて、アドリブも入れました。

――本番に強いタイプなんですか?

古田 そうかもしれません。初めてのプレッシャーもありつつ、あの臨場感は舞台でしか味わえなくて、楽しんでいました。

オーディションでは真面目な役でした

――『素晴らしき哉、先生!』の磯田陽菜役はオーディションで選ばれたんですよね。

古田 そうです。4人くらいで真面目な子、ギャルっぽい子……とその場で役を振り分けられて演じました。オーディションは毎回緊張しますけど、今回はリラックスして挑めて、手応えがはっきりあったんです。たぶん受かった自信があって、本当に決まったので安心しました。

――そこでギャルっぽい生徒を演じたんですか?

古田 それが、オーディションではやってないんです。私は真面目な役でした。今までギャルっぽい役が多くて、自分でも素に近くて演じやすいので、振り分けられなくて大丈夫かなと思いました。そしたら、なぜか演じてないギャル役で選ばれて、嬉しかったです。

――実際の愛理さんの高校時代は、ギャルだったわけですか。

古田 もうこのお仕事をしていて、学校にはそこまで行けなかったんですけど、行ったらみんなとガヤガヤ話していて。確かにギャルっぽかったかもしれません。

言葉づかいは全然違いました

――劇中では、鏡を見て髪を直しながら、遅刻してきた男子に「どんだけ寝坊してんだよ」と言うシーンがありました。

古田 あそこは本番を撮る前に、普通にああやって鏡を見て髪を直していたら、監督の宅間(孝行)さんに「そのままやって」と言われたんです。本当に素でした。噂好きや仲間想いなところも自分にそっくりで、役作りは特にしていません。

――TVerのスピンオフ『素晴らしき哉、高校生!』では、留年のピンチで放課後に勉強会をする話に登場しています。

古田 勉強が苦手なところも自分のままですね(笑)。スピンオフは本編と違ってコメディチックで、そういう演技は初めてでしたけど、だいぶハッチャケられて。みんなで楽しみながら作り上げました。

――陽菜を演じるうえで、意識することは特にないですか?

古田 語尾とかですかね。言葉づかいは普段と全然違います。「~だろ?」とか「~じゃん」とか、私は言いませんから。台本の台詞は全部、言わない言葉ばかり(笑)。

――自分のことを「うち」とは?

古田 それも言いません。だから、言葉は結構苦戦しました。ギャルグループには現役高校生はいないので、「今のJKはどんな感じなの?」と話し合ったり。みんなは素がギャルでもなくて、エクステを付ける子がいたり、メイクをちょっと派手にしていました。

(C)ABCテレビ
(C)ABCテレビ

仲良くなるために絵しりとりを始めて

――オープニング主題歌の冒頭は、生徒役が3人ずつ踊っていますが、4話の振付は愛理さんが考えたとか。

古田 ダンスの経験を活かして、ほぼ私が考えました。あれは早く考えた人から帰れるシステムで、私は早く帰りたかったので「これは?」と一番乗りでやりました(笑)。そういうことになると、頭の回転が速いので。

――現場では、ギャル仲間で前の席の矢吹奈子さんと一番絡んでたり?

古田 ずっとギャルグループでいました。本当の高校生っぽく「マックでこんな新作が出たらしいよ」みたいな会話をしていて。あと、絵しりとりをしました。仲良くなるために、私から始めたんです。教室のシーンが多くて筆記用具はあったので、ギャルグループは席が近いから、みんなでやろうと。だんだん人数も増えて、話すきっかけになって良かったです。

――そういう場で中心になるタイプなんですか?

古田 そうですね。奈子ちゃんが普段はおっとりしたタイプなので、私が引っ張りたいなと思って。空き時間は結構あって、ずっと絵しりとりか人狼ゲームをしていました。

いじめっ子の役をやりたいです

――他に、このドラマの現場で印象的だったことはありますか?

古田 差し入れが一番印象的でした(笑)。ガッツリ真夏の撮影で、本番はクーラーも切らないといけなくて、みんなずっと教室にいて疲れていたんです。そこでアイスとかドーナツとか甘いものの差し入れをいただくと、糖分で生き返りました。輪になって食べたり、本当に3ヵ月間、高校生に戻った感じでした。

――学園ドラマで同世代から受けた刺激も多かったですか?

古田 私と同い年の方がたぶん一番多かったので、刺激になりましたし、学びの多い現場でした。監督の宅間さんが熱い方で、撮影前にミーティングを開いてくださったり、リアルを求めてみんなの意見を聞いていただいたり。次はもっと出番が増えるように、頑張っていきたいです。

――主役やヒロインをやりたい願望もあると?

古田 もちろんです。学園ものなら、いじめっ子の役もめちゃめちゃやりたいです。いつもの役とギャップを付けられると思うので。

エイベックス提供
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週1のピラティスと毎日1万歩と

――グラビアもまた力を入れていくんですか?

古田 最近は『素晴らしき哉、先生!』の番宣も兼ねて、久しぶりに戻ってきた形でしたけど、お話があれば、いつでもやりたいです。

――普段から、いつ声が掛かってもいいようにしていたり?

古田 いちおう気をつけています。週1でピラティスに通い始めて、もう2年くらいで、自分に合っていると思います。体はもちろん、50分間で集中力も鍛えられて。あと、毎日1万歩を目標に、ひと駅歩いたり公園を3周くらいしています。1万歩にいってなかったら、何時でも歩きに出たり。ダイエットと言うとキツいイメージなので、習慣にして無理なく体型管理ができたらと。

半年に1回は韓国に行きます

――韓国を好きになったのは、何がきっかけだったんですか?

古田 TWICEさんのオーディション番組が2015年にあって、「何なんだ、この女の子たちは!」となったんです。そこから、どんどん韓国の沼にハマりました。13歳から9年、今に至って、音楽もファッションも美容も全ジャンルが好きです。

――K-POPだと、第4世代で好きなグループもいますか?

古田 注目しているのは、デビューしたばかりのMEOVV(ミヤオ)です。カッコいい女性の5人組。でも、最近怖いのは、デビューする人たちがみんな年下なんです(笑)。毎回「まだ15歳か」とか思って、私も頑張らなければと焦ります。

――韓国旅行にもよく行っているようですね。

古田 半年に1回は行きます。YouTubeで配信もするので、お仕事兼プライベートという感じです。なかなか現地に行けない子もいるので情報収集して、韓国通のイメージも付けたくて。

太麺のそばにハマりそうです

――vlogを拝見すると、韓国に限らず、よくお出掛けはしているようで。

古田 お出掛けは好きなので、いずれは日本一周をしたいです。めっちゃアウトドアで、暇さえあればフラッとカフェに行ったりもします。

――旅先で食べてる動画が多いですね。

古田 ごはん大好きです。最近はSNSも含めて、おいしいごはん屋さんを探すことにハマっていて。Googleマップの保存件数が300件を超えてしまって、ヤバいです(笑)。毎日見て、作品が落ち着いたら行こうと、モチベにしています。

――最近ヒットだったお店はありますか?

古田 つい最近、お仕事で岐阜に行ったとき、たまたま入ったお店で極太のそばを食べたんですね。それが本当においしくて! そばにハマりそうになって、東京でも太麺のそばはないかなと探していたら、表参道のBASOというお店を見つけました。近々行きたいと思っています。

岐阜の観光大使になりたいです

――地元の岐阜での仕事もやっていきますか?

古田 もちろん、たくさんやっていきたいです。いずれは岐阜の観光大使になりたいので。定期的に地元に帰って、岐阜のことを発信できれば。

――岐阜の良さはどんなことですか?

古田 いっぱいありますけど、人の温かさと程よく自然があるところですかね。北のほうには世界遺産の白川郷とか下呂温泉とか、観光地も意外と多くて。もっと認知度を上げて、岐阜に来てくれる方がたくさん増えればいいなと思います。

――仕事の幅がどんどん広がっていきそうですが、これから特に磨いていきたいことはありますか?

古田 東京と岐阜の2拠点で活動していけるように、岐阜でレギュラー番組を持ちたいです。まず地元の方に応援されてこそなので、いずれは「岐阜と言えば古田愛理」と言ってもらえるようになりたいです。それで、東京では主役を張って賞も獲る女優になれるように、今コツコツと頑張っています。

本を読んで読解力と想像力を付けてます

――そういう女優になるために、日ごろから努力していることも?

古田 本を読んでいます。マネージャーさんに言われてからですけど、やっぱりミステリー系が好きで、今読んでいるのは『家族解散まで千キロメートル』。映画になる『六人の嘘つきな大学生』の浅倉秋成さんの最新作で、めちゃめちゃ面白いです。そういう本を読んで、読解力や想像力をつけているところです。

――昔から読書好きだったわけではなくて?

古田 違います。本とは無縁で、むしろ避けてきました。本を開いただけで眠くなっちゃうくらい、苦手だったんです。今も1ページにだいぶ時間が掛かって、スラスラ進めないんですけど、少しずつ克服していて。1冊に1週間くらい掛けて、読んでいる間は没頭できるので、月に最低3冊が目標です。次に読みたいのも『ぼくの家族はみんな誰かを殺してる』というミステリー。Kindleや読書レビューを見て、自分で探しました。

――東野圭吾さんや湊かなえさんのミステリーは、たくさん映像化もされています。

古田 そういうダークな作品が映画化されたら出演できるように、実力を付けていきたいです。

Profile

古田愛理(ふるた・あいり)

2002年6月30日生まれ、岐阜県出身。2017年12月より「Popteen」専属モデルになり、2022年8月に卒業。2020年に『僕だけが 17 歳の世界で』(AbemaTV)でドラマデビュー。主な出演作はドラマ『荒ぶる季節の乙女どもよ。』、『あと一次元の恋』、『マルス-ゼロの革命-』、舞台『×××になれなくて』など。ドラマ『素晴らしき哉、先生!』(ABC・テレビ朝日系)に出演中。

『素晴らしき哉、先生!』

日曜22:00~ ABC・テレビ朝日系

公式HP

(C)ABCテレビ
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芸能ライター/編集者

埼玉県朝霞市出身。オリコンで雑誌『weekly oricon』、『月刊De-view』編集部などを経てフリーライター&編集者に。女優、アイドル、声優のインタビューや評論をエンタメサイトや雑誌で執筆中。監修本に『アイドル冬の時代 今こそ振り返るその光と影』『女性声優アーティストディスクガイド』(シンコーミュージック刊)など。取材・執筆の『井上喜久子17才です「おいおい!」』、『勝平大百科 50キャラで見る僕の声優史』、『90歳現役声優 元気をつくる「声」の話』(イマジカインフォス刊)が発売中。

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