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文在寅大統領の「8月15日演説」、日本への言及は弱め。徴用工問題の解決は「日本とともに努力する」

8月15日、ソウル市内東大門での行事で演説する文在寅大統領。(写真:代表撮影/ロイター/アフロ)

8月15日、韓国の「光復節(日本からの植民地支配解放記念日)」に際し文在寅大統領が演説を行った。午前10時から東大門デザインプラザで行われた「第75周年光復節慶祝式」に出席。スピーチは20分に及んだ。

当日の朝から韓国のニュースでは「世論調査の支持率が、保守野党に抜かれた」という話題が多く報じられるなかで行われた式典。

テーマは「ウリナラ」(我々の国=韓国のことを指す言葉としてよく使われる)だった。司会者は俳優、ソン・イルググが務めた。2012年8月15日に泳いで竹島に渡るパフォーマンスを行った経歴がある。

式典では国歌斉唱に続き、光復会(1965年設立、独立運動の伝承を目的とする団体)会長のキム・ウォヌン氏のかなり強い口調の親日派批判の演説があり、その後独立運動の遺族に勲章が与えられた。

続いて行われた演説(この日の演説は韓国では「慶祝辞」とも呼ばれる)で登壇した文在寅大統領は、前半部分では新型コロナ、経済の状況などに言及。全体の4分の3にあたる位置で、短く現在の対日関係に言及した。

2005年、4名の強制徴用の被害者の方々が、日本の徴用企業を相手に裁判所に対して損害賠償訴訟を提起し、2018年、大部分が勝訴判決を受けました。裁判所は1965年、韓日請求権協定の有効性を認めながらも、個人の不法行為賠償請求権は消滅していないとしました。大部分の判決は、大韓民国に通づる最高の権威である裁判所の法的権威と執行力を持っています。

政府は司法部の判決を尊重し、被害者の方々が同意できる円満な解決方法を日本政府と協議してきましたし、いまも協議の門は広々と開いています。我々はいつでも日本政府と向かい合って議論する準備ができています。

一緒に訴訟を起こされた3人はすでに故人になられ、ひとり残られたイ・チュンシクさんは昨年の日本の輸出規制(※注:いわゆるホワイト国除外)が始まるや、「私のせいで大韓民国が損をしているのではないか」と心配をされていました。私達は「個人の尊厳を守ることは決して国の損害ではない」という点を再び確認することになるでしょう。同時に三権分立に基礎を置く民主主義、人類の普遍的価値と国際法の遵守するため、日本とともに努力します。

一人の人権を守るという韓国と日本の努力は、韓日両国の友好と未来に向けた協力の橋になるでしょう。

(了)

  • 式典の模様

参考記事 

「8.15文在寅演説」はどうなる? 勢いづく国内の反大統領派にはあの「靴ぶん投げ男」の姿も。

https://news.yahoo.co.jp/byline/yoshizakieijinho/20200813-00192690/【徴用工問題現地反応】もう日本対策は決めた?「現金化、運命の日」に…文在寅大統領は「休みの予定」。

製鉄「即時抗告」を韓国メディアはどう報じたか。左派の新聞「日本はセコい」、”当事者”は沈黙……。

吉崎エイジーニョ ニュースコラム&ノンフィクション。専門は「朝鮮半島地域研究」。よって時事問題からK-POP、スポーツまで幅広く書きます。大阪外大(現阪大外国語学部)地域文化学科朝鮮語専攻卒。20代より日韓両国の媒体で「日韓サッカーニュースコラム」を執筆。「どのジャンルよりも正面衝突する日韓関係」を見てきました。サッカー専門のつもりが人生ままならず。ペンネームはそのままでやっています。本名英治。「Yahoo! 個人」月間MVAを2度受賞。北九州市小倉北区出身。仕事ご依頼はXのDMまでお願いいたします。

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