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プエルトリコからLAにやって来た咬ませ犬

林壮一ノンフィクション作家/ジェイ・ビー・シー(株)広報部所属
(C)Tom Hogan/Golden Boy:

 現地時間7月16日にクリプトドットコム・アリーナで催された興行の第一試合は、ファーストラウンド1分25秒で呆気なくケリがついた。

(C)Tom Hogan/Golden Boy
(C)Tom Hogan/Golden Boy

 DAZNでの中継開始が17時であるのに対し、前座のスタートは14時半。当初の予定より20分遅れた。

 空席ばかりのアリーナに現れたのは、地元LA在住のミゲル・ガオナ(2勝無敗1KO)と、プエルトリカンであるアブディエル・パディラ(1勝2敗1KO)。

撮影:筆者
撮影:筆者

 サウスポーのガオナは開始ゴング早々ワンツー&右ボディを放つと、パディラは顔を歪める。

 その後もガオナは再三ボディを狙った。簡単にヒットし、パディラが2度ダウン。それで試合終了となった。

撮影:筆者
撮影:筆者

 ガオナは、同アリーナをホームとするNBA、ロスアンジェルス・レイカーズのカラーである黄色と紫のガウン、そしてトランクスで登場し、客席の一角から黄色い声援を浴びていたが、いかんせん実力差があり過ぎた。

 わざわざプエルトリコから咬ませ犬として呼ばれたパディラの姿は、哀しく映った。

写真:ロイター/アフロ

この興行のプロモーターであるオスカー・デラホーヤが初黒星を喫したのは、1999年9月18日のWBC/IBF統一ウエルター級タイトルマッチ、フェリックス・トリニダード戦においてだ。同じ年であり、無敗同士のIBF王者との対戦だったが、ポイントでリードしていると確信したデラホーヤは、最終3ラウンドを流し、僅差の判定負けを食らった。

 当時も今もトリニダードは、プエルトリコの星である。まさか、その恨みをプロモーターとして晴らそうとしている訳ではあるまい……。

 それにしても、パディラの<咬ませ犬>ぶりは、想像を超えたものであった。

ノンフィクション作家/ジェイ・ビー・シー(株)広報部所属

1969年生まれ。ジュニアライト級でボクシングのプロテストに合格するも、左肘のケガで挫折。週刊誌記者を経て、ノンフィクションライターに。1996年に渡米し、アメリカの公立高校で教壇に立つなど教育者としても活動。2014年、東京大学大学院情報学環教育部修了。著書に『マイノリティーの拳』『アメリカ下層教育現場』『アメリカ問題児再生教室』(全て光文社電子書籍)『神様のリング』『世の中への扉 進め! サムライブルー』、『ほめて伸ばすコーチング』(全て講談社)などがある。

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