なぜ、線状降水帯は発生せず? 関東~東北は大雨続く
日本海には動きの遅い低気圧があり、16日(土)夜から17日(日)昼頃にかけて、関東や東北太平洋側では再び、雨が強まり、大雨となる見通しです。
降り続く雨の影響で、宮城県や岩手県南部では川の水かさが増し、がけ崩れなど土砂災害が起こりやすくなっています。
線状降水帯は発生せず
心配されていた線状降水帯は発生しなかったものの、15日(金)夜は九州で雨が激しく降り、発達した雨雲がかかった鹿児島市では3時間で約100ミリの大雨になりました。
また、宮城県では記録的短時間大雨情報が相次いで発表され、大崎市では鹿児島市を上回る記録的な大雨となりました。
なぜ、九州では線状降水帯が発生せず、東北で大雨になったのでしょう。その答えは上空の風向にあります。
低気圧の東側で雨雲が発達
上図は対流圏上層の風の流れと渦位を示した図です。図の中央に日本列島があり、上空の低気圧に対応して風が反時計回りに流れています。
九州付近では北寄りの風となったため、雨雲がまとまって線状の降水域を形成しにくい状況にあったと思います。
一方で、東北付近は南寄りの風でした。さらに、上空の低気圧の東側は雨雲を発達させる上昇気流が強まる場所です。この差が雨の降り方に影響したのでしょう。
東京は今年最大の大雨に
降り続く雨は関東も同じです。東京ではこの4日間(12日~15日)に、平年の7月1か月分を上回る169ミリの雨が降りました。これは今年最大の大雨です。
今夜(16日)は再び、雨が強まるでしょう。東京地方の予想雨量は17日夕方までに100ミリですが、数時間で降ってしまうおそれもあります。
線状降水帯の発生予測は避難を促す強力なキーワードになる一方で、空振りや見逃しが重なると信用を失ってしまいます。
大規模な災害につながる線状降水帯を予測することは必要とは思うけれど、先日の埼玉や今回の宮城など、線状降水帯が発生しなくても被害は起こります。大切なのは言葉の力を借りずに、どこでどのくらいの雨が降るのか、精度よく予想し、避難の助けになることです。
【参考資料】
気象庁:大雨と雷及び突風に関する東京都気象情報(第8号)、2022年7月16日発表
気象庁:大雨と雷及びひょうに関する東北地方気象情報(第7号)、2022年7月16日発表