梅雨前線は水蒸気前線
7月4日から始まった今回の豪雨は、週末にかけても断続的に続く見込みで、西日本の広い範囲で警戒が必要な状況です。
今回の豪雨は、いくつかの条件が重なって起きていました。その中で特に重要だと思われるポイントをいくつか羅列してみます。
(1)海水温
一つは九州や山陰地方近海の水温が平年より2度ほど高かったことです。
水温が高いと、そこを通ってくる風は、より水蒸気の補給を受けますから、同じ気圧配置でも雨量は多くなります。では、なぜ水温が高かったかというと、これが皮肉なことに、梅雨の前半が空梅雨だったからです。
たとえば福岡の6月の日照時間は平年比約150%でした。この日差しが表面海水温を上げたのです。したがって、大きなスケールで見ると、前半の空梅雨が今回の豪雨の一因になったともいえます。
(2)地形
そして、もう一つは地形の影響です。
集中豪雨の起きた福岡県朝倉市は、西側に脊振山があり、この脊振山を回り込むような風が、朝倉市周辺で合流し、上昇気流を強めたのです。
(3)梅雨前線
さらに、一番大きな原因は梅雨前線の存在です。
ふつうの前線は、前線の北側で大雨が降ると言われますが、こと梅雨前線に限って言うと、集中豪雨は前線の南側で起こりやすいのです。
前線の南側は湿った空気が舌のような形で入ってきますので、これを湿舌(しつぜつ)と呼ぶこともあります。
また近年は、北側の乾いた空気との差に注目し、「水蒸気前線」という言い方も一般的になってきました。
これについて少し長いのですが、いまから11年前に書いた私の文章がありますので、お読みいただければ幸いです。
ところで、特別警報発表時に「自分の身は自分で守るよう心掛けてください・・」とコメントされます が、このことは非常に重要です。
最後に役立つのは結局、自分の目や耳など、五感でいち早く危険を感じる事だからです。