「住民税決定通知書」で必ず確認したい項目は?
毎年6月頃に届く住民税決定通知。正直、わかりにくいですよね。しかし、自分のお金を管理するための重要な書類です。
会社員なら年初に届く源泉徴収票(会社員でも確定申告をした人や個人事業主は確定申告書)と合わせて、この2つの書類があれば、年収、所得、控除、税金(所得税および住民税)を確認できるので、もっと節税できるかどうかや、国や自治体からの給付を受けられるかどうかがわかります。
特に子ども関連の給付は、住民税の所得割額をもとに決定する仕組みのものが多いので、子どもがいる人は必ず確認しましょう。住民税決定通知書を見る際のポイントを紹介します。
住民税計算の手順
住民税を計算する仕組みは、所得税とほぼ同じです。収入から、その収入を得るためにかかった経費(会社員は給与所得控除、個人事業主は実際に使った経費)を引いて所得を出し、所得からさらに、その人に当てはまる所得控除を引いて課税所得を出します。
課税所得のことを住民税では課税標準額と呼びます。
あとは課税標準額に税率をかければよいのですが、ここで終わりではないのが、住民税をややこしくしている原因です。
住民税は市区町村と都道府県に納める
住民税の税率は、課税標準額がいくらかにかかわらず一律10%。ただし、住民税は市区町村と都道府県の両方に払うことになっていて、市区町村分に納める分が6%、都道府県に納める分が4%、合わせて10%になります。そして、課税標準額に税率をかけて計算する住民税を所得割といいます。つまり、市区町村民税の所得割と、都道府県民税の所得割があります。
住民税決定通知書を見ると金額を確認できます。住民税決定通知書の様式は自治体により異なりますが、記載されている項目は同じです。
そして次が住民税の特徴ですが、ここから調整控除を引きます。課税所得(住民税では課税標準額)を計算する際、所得から所得控除を引きますが、この所得控除の額が所得税と住民税では異なり、住民税の方が小さいのです。そのため、この差による負担を軽減するために調整控除を引くのです。調整控除は、やはり市区町村と都道府県で分けて計算し、それぞれの所得割から引きます。これで、所得割については住民税の税額が出ます。
住宅ローン控除などの税額控除がなければ、所得割の住民税が決まります。
住宅ローン控除や、ふるさと納税はどこを見る?
住宅ローン控除がある、昨年ふるさと納税をした人は、さらに見るべき項目があります。税額控除の欄を確認しましょう。
住宅ローン控除が所得税だけでは引ききれないときは住民税からも引くことができ、その場合は、税額控除等の中の住宅借入金等特別控除に記載があります。また、ふるさと納税をした人は、寄附金税額控除に記載があります。いずれも、市区町村民税と都道府県民税に分かれて金額が記載されているので合計したものが控除額です。
このような税額控除がある人は、その分が節税となり、税額控除を引いた後の金額が実際に納める所得割の税額となります。
住民税の特徴、均等割
住民税には、もうひとつあります。均等割です。均等という言葉の通り、誰にでも均等にかかる税金で、市区町村民税の分が3500円、都道府県民税の分が1500円の合計5000円。東日本大震災からの復興税源として2023年までは各500円、合計1000円が上乗せされています。均等割の金額は自治体により多少異なります。
さて、ざっくりこのように計算され、それぞれの段階の数字が住民税決定通知書には記載されています。
所得割の住民税を確認
そして注目すべきは課税所得によって決まる所得割の住民税です。どれくらいの控除があるかにもよりますが、収入が多い人は所得割額も高くなる傾向があります。
例えば、保育園の保育料は、市町村民税の所得割額により算定されます。所得割額が多い、つまり収入が多い人は高くなります(ただし、幼児教育・保育の無償化により、小学校入学前の3年間は収入に関わらず保育料や授業料は無料)。
高校生への授業料の支援である高等学校等就学支援金は、給付を受けられるかどうかや給付の金額が、「課税標準額×6%-調整控除の額」で判定されます。収入が一定額以下の人が対象というわけです。
節税したいなら所得控除を確認
もっと節税できる余地はないか知りたいなら、所得控除の欄を見てみましょう。対象となる控除はもれなく記載されていますか。
小規模企業共済等掛金のところも確認を。ここに数字は記載されていますか? 個人事業主で小規模企業共済に加入している人や、iDeCoに加入している人は、小規模企業共済等掛金の欄に1年分の掛金額が記載されています。いずれも掛金の全額を所得控除できるので、かなりの節税になります。
iDeCo(個人型確定拠出型年金)は自分で将来の年金を準備できる制度。勤務先の退職給付が少ない会社員や個人事業主はぜひ活用したいもの。会社員で企業型確定拠出年金に加入している人も入りやすくなりました。
節税できる税金の目安は、住民税の分が掛金の10%、所得税の分は掛金×所得税率(5%~45%)。両方合わせると最低で掛金の15%を節税できます。もしまだなら検討を。