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ジャッジは「三冠王」の可能性もあり!? 本塁打と打点は1位、打率は4位

宇根夏樹ベースボール・ライター
アーロン・ジャッジ(ニューヨーク・ヤンキース)Sep 10, 2022(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

 9月10日、アーロン・ジャッジ(ニューヨーク・ヤンキース)は、ホームランこそなかったものの、3本のヒットを打ち、1打点を挙げた。

 ジャッジが本塁打王を獲得する確率は、限りなく100%に近い。すでに55本のホームランを打ち、2位のマイク・トラウト(ロサンゼルス・エンジェルス)とは21本の差がある。打点王も、かなり有力だろう。ジャッジが120打点を挙げているのに対し、2位のホゼ・ラミレス(クリーブランド・ガーディアンズ)は109打点だ。ちなみに、ア・リーグで90打点以上は、彼ら以外にいない。

 一方、9月2日を終えた時点で、ジャッジの打率は.294だった。その上には、打率.319のルイス・アライズ(ミネソタ・ツインズ)を筆頭に、打率.300以上の6人が並んでいた。けれども、そこから8日しか経っていないにもかかわらず、ジャッジよりも打率の高い選手は、半数の3人に減っている。ジャッジの打率.307は、打率.318のザンダー・ボガーツ(ボストン・レッドソックス)、打率.316のアライズ、打率.309のホゼ・アブレイユ(シカゴ・ホワイトソックス)に次ぐ。

 7位から4位へ浮上しただけでなく、トップとの差も、25ポイントから11ポイントに縮まっている(.001=1ポイントとして表記)。9月2日時点のトップ(.319/アライズ)と10日時点のトップ(.318/ボガーツ)は1ポイントしか違わないが、ジャッジは3日から10日までの8試合で29打数15安打(打率.517)を記録し、シーズン打率を.294→.307と13ポイント上昇させた。

 ヤンキースもレッドソックスも、レギュラーシーズンの残りは22試合だ。例えば、その22試合で、ジャッジが80打数28安打(打率.350)、ボガーツは80打数22安打(打率.275)だった場合、それぞれのシーズン打率は.313と.312となり、ジャッジがボガーツを上回る。可能性としては、ジャッジの首位打者、そして、三冠王もあるということだ。

 もっとも、ボガーツも、直近の出場8試合は、32打数15安打(打率.469)を記録している。自分より上にいる選手の打率が下がらなければ、ジャッジが追い抜くのは難しい。

 なお、ボガーツとジャッジの間に位置する2人も、決して調子を落としているわけではない。直近の出場8試合は、アライズが38打数11安打(打率.289)、アブレイユは32打数10安打(打率.313)だ。

 一方、ナ・リーグで三冠王の可能性があるポール・ゴールドシュミット(セントルイス・カーディナルス)は、9月10日を終え、打率.325が2位、35本塁打が2位タイ、109打点は1位。打率は.330のフレディ・フリーマン(ロサンゼルス・ドジャース)、ホームランは37本のカイル・シュワーバー(フィラデルフィア・フィリーズ)に次ぐ。打点の2位は、108打点のピート・アロンゾ(ニューヨーク・メッツ)だ。

 ゴールドシュミットの場合、3部門とも僅差なので、三冠王、二冠王、一冠王、あるいは無冠ということも考えられる。

ベースボール・ライター

うねなつき/Natsuki Une。1968年生まれ。三重県出身。MLB(メジャーリーグ・ベースボール)専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランスのライター。著書『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

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