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プロ野球に学ぶ、「計算できる経営」とは?

横山信弘経営コラムニスト
計算できる経営をしているか?(ペイレスイメージズ/アフロ)

いよいよプロ野球が開幕

いよいよ明日3月30日(金)から、セ・パ両リーグ同時にプロ野球が開幕します。長いペナントレースは、11月4日までつづきます。私たちプロ野球ファンは、全力でプレーする選手たちをシーズンが終わるまで応援しつづけたいですね。

さて、ビジネスの分野でも4月から新しい年度がスタートします。経営者や、部門責任者は新しい年度を迎えるにあたって、緊張感を高めている時期でしょう。目標予算、事業計画と呼ばれるものを意識して、プロ野球選手と同じように、1年間全力で「戦って」いく必要があるからです。

私は企業の現場に入って目標を絶対達成させるコンサルタントです。当然のことながら、すべての企業に経営目標を達成してもらいたい。

そのうえで、常に経営者やマネジャーに意識してもらいたいフレーズがあります。それは「計算できるか」というフレーズです。野球選手に向かって使う言葉としても有名です。「彼は計算できるピッチャーだ」「今度トレードでやってくる打者は計算できる外野手だ」このように使います。とはいえ、何気なく使っている、この「計算できる」という表現、なぜ「計算できる」と監督やコーチは判断できるのでしょうか。

たとえば高校野球を代表するスラッガーをドラフト会議で一位指名し、獲得しても「計算できるバッター」という評価はしません。大リーグで活躍したピッチャーを手に入れても、同じ。「計算できる」という表現を使うことはないでしょう。

「計算できる」とは「アテにできる」という意味です。「アテにできる」というのは、その相手に対して「好き」とか「好み」とかという感情で判断するのではなく、『過去データ』のみを参照して判断します。

「3年前は13勝、2年前は11勝、去年は14勝している。3年連続で10勝以上しているから、今年は最低でも10勝。よくて15勝ぐらいはやってくれるだろう」

野球の監督やコーチは、こう表現します。このように正しい『過去データ』があることで、計算できるのです。しかし、どんなに凄い実績があろうとも、環境が違うところで活躍していた選手は「計算できる」かというと、そこまではできません。「期待できる」と「計算できる」とは雲泥の差があるからです。

経営目標を達成させるうえで、計算できる材料とは何でしょうか。商品でしょうか。営業パーソンでしょうか。それとも事業そのものでしょうか。過去に実績がない新商材、新サービス、新事業、新社会人たちには、ぜひとも「期待」してもらいたい。しかし計算に入れてはダメなのです。

ダメな経営者ほど「新しい事業に今期は賭けている」「今度の新商品が当たれば業績が上向く」などと、実績のないものをアテにします。業績の悪い会社ほど「即戦力」となる人材を欲しがるのと同じです。

余裕のある企業は、商品や人、事業そのものを正しく育成できます。おそらくプロ野球の世界でも同じことでしょう。新しい年度を迎えるにあたって、何が計算できて、何が計算できないか、正しく現状分析することからはじめましょう。そうでないと、不毛な施策に振り回される一年になってしまいます。

経営コラムニスト

企業の現場に入り、目標を「絶対達成」させるコンサルタント。最低でも目標を達成させる「予材管理」の理論を体系的に整理し、仕組みを構築した考案者として知られる。12年間で1000回以上の関連セミナーや講演、書籍やコラムを通じ「予材管理」の普及に力を注いできた。NTTドコモ、ソフトバンク、サントリーなどの大企業から中小企業にいたるまで、200社以上を支援した実績を持つ。最大のメディアは「メルマガ草創花伝」。4万人超の企業経営者、管理者が購読する。「絶対達成マインドのつくり方」「絶対達成バイブル」など「絶対達成」シリーズの著者であり、著書の多くは、中国、韓国、台湾で翻訳版が発売されている。

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