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東京で最高気温15度の寒気 北海道では高温の異常天候早期警戒情報

饒村曜気象予報士
北海道(写真:アフロ)

強い寒気が南下

 北海道上空約5500メートルでは、氷点下18度以下の寒気流入が続いていましたが、10月18日以降は、強い寒気が東日本から西日本まで南下してきます(図1)。

図1 上空約5500メートルの寒気(10月18日朝)
図1 上空約5500メートルの寒気(10月18日朝)

 このため、各地で今冬一番の寒さとなります。

 10月に入っても最高気温が30度を超える日があった東京でも、19日(金)の最高気温は15度までしか上がらない予報です(図2)。

図2 東京の最高気温と最低気温(平成30年10月)
図2 東京の最高気温と最低気温(平成30年10月)

10月18日10時追記:

 新しい予報では、東京(都心部)の金曜日の最高気温の予報が、17度と少し上がりました。

 そして、来週の東京は最高気温が21度前後、最低気温が12~13度という日が続きます。

 全国各地の天気と最低気温の予想を見ても、沖縄を除くと、今週は本州南岸の前線の影響を受ける東日本では、植物の活動が活発になりはじめる目安の15度を超える日もありますが、ほとんどの日は晴れて15度を下回ります(図3)。

図3 全国各地の天気と最低気温の予想
図3 全国各地の天気と最低気温の予想

 1ヶ月も季節が進んだような寒さとなり、北海道では10度以下、霜がおりるような気温が続きます。

 しかし、北海道には、「高温に関する異常天候早期警戒情報」が10月15日(月)に発表となっています。低温ではなく、高温に関する異常天候早期警戒情報です(図4)。

図4 異常天候早期警戒情報(10月15日14時30分発表)
図4 異常天候早期警戒情報(10月15日14時30分発表)

異常天候早期警戒情報

 異常天候早期警戒情報は、5日後から14日後までを対象として、7日間平均気温が「かなり高い」もしくは「かなり低い」となる確率が30%以上と見込まれる場合に発表される情報です。また、11月から3月の間は、7日間降雪量が「かなり多い」となる確率が30%以上と見込まれる場合に発表される情報です。

高温に関する異常天候早期警戒情報(北海道地方)

平成30年10月15日14時30分 札幌管区気象台 発表

要早期警戒(気温)

警戒期間 10月21日頃からの約1週間

対象地域 北海道地方

警戒事項 かなりの高温(7日平均地域平年差+1.9度以上)

確率   30%以上

今回の検討対象期間(10月20日から10月29日まで)において、北海道地方では、10月21日頃からの1週間は、気温が平年よりかなり高くなる確率が30%以上と見込まれます。農作物の管理等に注意してください。なお、北海道地方では、18日頃まで気温が平年より低い日がある見込みです。

10月18日15時追記:

 10月18日発表の「高温に関する異常天候早期警戒情報(北海道地方)」でも、10月23日頃からの約1週間も、かなりの高温(7日平均地域平年差でプラス1.9度以上)としています。

 北海道では、寒さが続いていましたが、週末の強い寒気が通過したあとは、高気圧の後面に入って南から暖気が入りやすくなり、高温になります。しかし、そのほかの地方は、そこまで暖気が入らず、平年より低い気温が平年並みに戻る程度です(図5)。

図5 約1500メートル上空の気温偏差の推移
図5 約1500メートル上空の気温偏差の推移

農作物に危険なタイミング

 季節が順調に秋から冬に向かう場合の植物は、冬の寒さに備えて活動の休止などをしますが、秋に寒さが続いたあとに暖気が入ると、植物が勘違いをし、生育を始めます。

 春に咲く桜が秋に咲いたという、不時現象(ふじげんしょう)がよくニュースとして取り上げられますが、秋に咲いた桜の分だけ春に咲く桜は減ります。

 桜の場合は、秋に咲いたとしても、ごく一部ですので、春の花見には影響がないと思われますが、今の時期に北海道に暖気が入るのは、北海道の農作物にとって、その後にやってくる寒気の影響で大きなダメージを受ける可能性が高くなります。

 秋の早霜というより、春の遅霜というイメージの被害の懸念があります。

 危険なタイミングで北海道が高温になるのです。

 異常天候早期警戒情報は、原則として毎週月曜日と木曜日の14時30分に発表となりますので、最新の情報の入手に努め、注意してください。

図1、図3の出典:ウェザーマップ提供。

図2の出典:気象庁ホームページをもとに著者作成。

図4の出典:気象庁ホームページ。

図5の出典:気象庁発表資料。

気象予報士

1951年新潟県生まれ。新潟大学理学部卒業後に気象庁に入り、予報官などを経て、1995年阪神大震災のときは神戸海洋気象台予報課長。その後、福井・和歌山・静岡・東京航空地方気象台長など、防災対策先進県で勤務しました。自然災害に対しては、ちょっとした知恵があれば軽減できるのではないかと感じ、台風進路予報の予報円表示など防災情報の発表やその改善のかたわら、わかりやすい著作などを積み重ねてきました。2015年6月新刊『特別警報と自然災害がわかる本』(オーム社)という本を出版しました。

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