諸外国におけるニュース取得目的のインターネットニュースやSNSの閲覧実情をさぐる(2023年公開版)
諸外国のインターネットニュースやSNSを見る人たちの実情
インターネットの普及で情報の伝達や取得、検索や精査の概念は大きな変化の中にある。特に恩恵を受けたのがニュース分野で、また意思疎通ツールとして普及したSNS(ソーシャルメディア)でも多数のニュースが日々流れている。人々はどれほどインターネットニュースやSNSを見ているのか、そしてどのような端末を利用しているのか。今回は新聞通信調査会が2023年2月に発表した、アメリカ合衆国やイギリス、フランス、中国、韓国、タイへのメディアに関する世論調査「諸外国における対日メディア世論調査」(※)の内容から、その実情を確認する。
次に示すのは調査対象母集団のうちインターネットのニュースやSNS(ソーシャルメディア)を見る人の割合。設問では「あなたは、インターネットのニュースやSNS(facebook、twitterなど)を見る時に、何を使いますか(回答はいくつでも)」とあり、選択肢には「パソコン」「スマートフォン・携帯電話」「タブレット(例:iPad)」「その他」が用意されている。その結果において一つ以上の選択肢に回答した人の割合を示したもの。SNSはニュースだけが流れているわけではないが、ニュースを広域解釈して「新しい情報」と認識した場合、SNS上の情報は押しなべてニュースとなるとの発想によるものだろう。
なお日本の値は2022年9月に同様の条件下で実施された別調査(メディアに関する全国世論調査※※)の値が参考として示されており、厳密には比較対象とはなり得ない。あくまでも参考値であることに注意が必要。またタイでは70歳以上の回答数がごく少数で統計上の有意値とは成り得なかったので、回答値が空欄となっている。
国によって絶対値に差異があるが、男女差は国によってまちまちで傾向だった動きはない。他方、年齢階層別では、若年層が高めで年上になるに連れて値は落ちていく。イギリスやフランスが全体的に低めなのは意外なところ。
中国は都市部限定の調査ではあるが、面接方式による調査でここまでの高い値を示しており、大いに注目に値する。情報取得への意欲は非常に高い。なにしろ70歳以上でもほぼ8割の回答値が出ているのだから。
パソコンと携帯電話、その違い
続いてパソコンと携帯電話(スマートフォンと従来型携帯電話双方)それぞれにおける、インターネットニュースやSNSの閲覧状況を確認する。普段のインターネット利用スタイルで何を使っているかが透けて見えてくる。
まずはパソコン。次のスマートフォンや従来型携帯電話のグラフと縦軸の区分は同じにしてある。
男女別では中国とタイ以外で男性の方が値は高い。中国では女性の方が高い値が出ているのは不思議なところ。年齢階層別ではフランスなどのようにおおよそ若年層ほど高い国もあれば、中国や韓国などのように中年層の方が高いところもある。そして全体としては中国の値の高さとアメリカ合衆国やフランスがそれに追随している実情が確認できる。それぞれの国のパソコン普及・利用事情が見えてくるようだ。
続いてスマートフォンや従来型携帯電話。
パソコンと比べて高い値が各国で示されている一方、よく見ると年齢階層による差異がパソコンで見る場合と比べて大きいのも分かる。端末を利用しているか否かの違いが反映されているのに加え、所有していてもニュースやSNSに利用する・しないの行動性向も影響しているのだろう。
当然、若年層の方が値は高く、高齢層ほど低くなる。その差異は極めて大きい。見方を変えれば年齢階層別に見たモバイル情報の浸透度合いの一つの指標ともいえる。そうであればこそ、中国が属性にさほど左右されることなく高い値が維持されていることは、注視すべき結果には違いない。何しろ70歳以上ですら75.3%の人がスマートフォンや従来型携帯電話でニュースを見ていると回答しているのだから。
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※諸外国における対日メディア世論調査
直近発表分はアメリカ合衆国、イギリス、フランス、中国、韓国、タイに対し、2022年11月から12月に行われたもので、アメリカ合衆国は電話調査とウェブ調査の併用、イギリス・フランス・韓国は電話調査、中国・タイは面接調査で実施されている。調査地域は中国・タイは都市圏、それ以外は全国。回収サンプル数は各国約1000件。グラフの年数表記は調査結果の発表年で統一している。過去の調査もほぼ同じ形式で実施されたが、2014年度分は中国において質問そのものができなかった項目が複数ある。またイギリスの2020年度分は新型コロナウイルスの流行悪化の影響で調査はできなかったため、回答値が一切無い。
※※メディアに関する全国世論調査
直近分は2022年8月26日から9月13日にかけて住民基本台帳からの層化二段無作為抽出法によって抽出された18歳以上の男女個人5000人に対して、専門調査員による訪問留置法によって行われたもので、有効回答数は2993人。有効回答者の属性は男性1399人・女性1594人、18~19歳55人・20代246人・30代386人・40代520人・50代500人・60代495人・70代以上791人。過去の調査もほぼ同様の調査スタイル。
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