中国が月面基地を2035年までに建設、月と火星の有人着陸も視野に 月の南極が基地に選ばれる理由とは?
中国が2035年までに月面基地を建設する予定であることを明らかにしました。本記事では、中国の月面基地のロードマップをはじめ、月の南極に基地を建設する理由などを詳しく解説していきます。
■中国とロシアが建設予定の国際月研究ステーション(ILRS)
中国はロシアと協同で、月面に国際月研究ステーション(ILRS)を建設することを発表しています。2030~2035年にかけて大型ロケットを5回打ち上げ、ロボットを送り込み月の南極付近の開発を進める予定です。また、月の軌道上にもステーションを建設することが報じられています。
ILRSでは、太陽電池や原子力発電機で発電した電力を使用し、地球間との高速通信ネットワークをはじめ月面車などのモビリティも配備される予定です。これらの研究開発は、有人での火星着陸にも活かすことのできる技術であり、中国は宇宙飛行士を月と火星へ送り込むための準備を進めています。
■月の南極が基地に選ばれる理由
なぜ月の南極を目標地点に決めたのでしょうか。実は月の南極には永久に日光が当たらない日陰の部分があり、氷が豊富に存在する可能性が高いのです。もし氷を見つけることができれば、すなわち電気分解により酸素と水素を手に入れることができます。そうすれば、ロケットの推進薬などの補給基地として月は大きな役割を果たすことができますね。
また、地球の南極でも白夜があることと同様、月の南極も日照時間が長いところがあるため太陽光発電の効率も良いのです。そのため、NASAが推進している「アルテミス計画」でも、南極は将来の月面基地の候補になっています。
■躍進する中国の宇宙開発
日米欧露が参加している国際宇宙ステーション(ISS)ですが、中国は実は参加をしておらず、自国の宇宙ステーション「天宮」の建設が2022年までに完了しています。
また、中国は宇宙ステーションだけではなく、2013年にソ連、米国に続いて、無人探査機の月面着陸にも成功しています。2019年には世界で初めて無人探査機を月面の裏側に着陸させ、2020年には月の土壌のサンプルリターンにもソ連、米国から44年ぶりに成功しているのです。
中国が月面探査を加速させている理由として、月に存在するヘリウム3などの資源を目的としている見方もあり、今後も月面探査は激化する様相を呈しています。
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