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パリ五輪世代が再集結。U-20日本代表候補、合宿を経てAFC予選へ

川端暁彦サッカーライター/編集者
東京五輪の事前合宿にトレーニングパートナーとして参加した藤田(写真:川端暁彦)

 8月27日、3年後の2024年に行われるパリ五輪を目指して活動するU-20日本代表の候補メンバーが発表された。30日から強化合宿を行うが、直近の目標は10月に予定されているAFC U-23選手権予選となる。

 発表されたメンバーは以下の通り。

GK

藤田和輝/アルビレックス新潟(同U-18)

小畑裕馬/ベガルタ仙台(同ユース)

田川知樹/横浜F・マリノス(興國高)

DF

馬場晴也/東京ヴェルディ(同ユース)

半田陸/モンテディオ山形(同ユース)

畑大雅/湘南ベルマーレ(市立船橋高)

奈良坂巧/FC町田ゼルビア(桐光学園高)

大嶽拓馬/柏レイソル(同U-18)

鈴木海音/ジュビロ磐田(同U-18)

中野伸哉/サガン鳥栖U-18

MF

松岡大起/清水エスパルス(鳥栖)

鈴木唯人/清水エスパルス(市立船橋高)

山内翔/筑波大(神戸U-18)

藤田譲瑠チマ/徳島ヴォルティス(東京V)

田村蒼生/筑波大(柏U-18)

櫻井辰徳/ヴィッセル神戸(前橋育英高)

田中聡/湘南ベルマーレ(同U-18)

樺山諒乃介/モンテディオ山形(興國高)

三戸舜介/アルビレックス新潟(JFAA)

FW

細谷真大/柏レイソル(同U-18)

( )内は前所属チーム。

 飛び級で東京五輪の候補メンバーになっていたDF中野伸哉、同五輪の事前合宿にトレーニングパートナーとして帯同したMF藤田譲瑠チマ、最近のJリーグで進境著しいDF半田陸、MF鈴木唯人らが選ばれている。

 世代的には東京五輪へ飛び級で出場したMF久保建英(マジョルカ)、同大会では第3GKだった鈴木彩艶(浦和)もこの世代の選手。また、FW斉藤光毅(ロンメル)、若月大和(シオン)、GK小久保玲央ブライアン(ベンフィカ)のように、すでに欧州へ活躍の場を移している選手も数多い。これもあって、今回は世代のベストオーダーを招集しているわけではないし、そもそも当分はその予定もないだろう。

 何しろ監督すら「未定」なのだ。今回はU-18日本代表のコーチでもある冨樫剛一氏が指揮を執るが、パリ五輪に向けてチームを任されるというわけではない。今年末に改めて選定される見込みである。

 当然、合宿自体もチーム作りというよりも、ラージグループの強化が最大の目的。FWが一人しかいない時点で明らかなように、追加招集も何人か出そうだが、世代のビッグネームを追加するというより、先を見据えてタレントを発掘しながら刺激を与えることがメインの目的となる。

この世代の先頭を走るのはこの男、久保建英
この世代の先頭を走るのはこの男、久保建英写真:ムツ・カワモリ/アフロ

U-20W杯消滅の中での強化

 この世代の日本代表は、本来ならば今年U-20W杯へと出場し、世界大会の経験を積んでいたチーム。だが、その世界大会がコロナ禍によってアジア予選ごと消滅する中で、直近の目標が消えることとなってしまった。

 だが、反町康治技術委員長が「強化の切れ目を作りたくない」と語った通り、3年後に「U-23」日本代表としてパリ五輪に臨む世代ということもあり、今年3月と6月にも候補メンバーを集めての合宿を実施。世代としての競争意識を高めつつ、あらためて代表チームとして世界で戦うための意識付けを行ってきた。

 今回もそうした流れを踏まえての強化合宿となるが、10月にはAFC U-23選手権(U-23アジアカップ)の予選が控えているということもあり、当座の目標と言えるこの大会に備える意味合いもある。

 AFC U-23選手権(U-23アジアカップ)は2年に1度開催され、4年に1度は五輪予選になるという位置付けの大会で、日本は毎回五輪予選になる年度の大会には年齢制限いっぱいのチームを送りつつ、そうではない大会には2歳年少のチームを送り込むということを続けている。五輪世代の選手たちにアジアのタフな戦いを、しかも年上相手に経験させておくためだ。

 当初は来年1月にウズベキスタンで開催予定だったこの大会が、6月開催にずれ込んでいるのだが、現時点でもコロナ禍の中での開催は不透明な情勢にある。今年10月の予選についても、開催地も未定のままであったり、コロナ禍の中でのスケジュール変更に振り回されているところもある。ただ、個々の大会がどうなるにせよ、このネクスト五輪世代の選手たちに刺激を与え続けるというのは重要なテーマで、欠かせぬ要素である。

 ただ、東京五輪代表やA代表こそ国際的な大会への参加を続けられていたものの、U-20以下の各年代別日本代表の国際試合は昨年から停止されたまま来てしまっているのも現状だ。影山雅永ユース育成ダイレクターが「国際試合ならではの感覚や、アウェイでの戦いの経験を若い世代が全く養えていない現状に関しては本当に危機感を持っている」と語ったとおり、悩ましい状況にあるのも否めない。

「だからこそ一つ一つの国内合宿を大事に、より国際試合の感覚に近づくような実戦的な雰囲気の中でやっていくしかない」(影山ダイレクター)

 今回の合宿もそうした位置付けで、強度を上げたトレーニングを実施することになりそうだ。

山形では右サイドバックとして活躍するDF半田陸。今回は彼を含め、19年のU-17W杯を経験している02年組が今回は数多くメンバー入りした。
山形では右サイドバックとして活躍するDF半田陸。今回は彼を含め、19年のU-17W杯を経験している02年組が今回は数多くメンバー入りした。写真:長田洋平/アフロスポーツ

今後の流れ

 今年10月にはAFC U-23選手権(U-23アジアカップ)の予選がある。日本はグループKに入り、香港ならびにカンボジアと対戦予定。

予選開催国:未定

10月29日 第1戦 vsカンボジア

10月31日 第2戦 vs香港

 さらに来年6月には同大会の本戦がウズベキスタンであり、9月にはアジア競技大会も中国で開催が予定されている。後者は「U-23+オーバーエイジ3名」という五輪と同じレギュレーションでの大会となるが、今回は前者の大会の開催時期が近くなってしまったこともあり、必ずしもパリ五輪世代単体での参戦にはならない可能性も示唆されている。

 いずれにせよ、強化の切れ目を作らずに、3年後のパリ五輪と5年後のW杯を意識した種まきは、すでに始められている。

サッカーライター/編集者

1979年8月7日生まれ。大分県中津市出身。2002年から育成年代を中心とした取材活動を始め、2004年10月に創刊したサッカー専門新聞『エル・ゴラッソ』の創刊事業に参画。2010年からは3年にわたって編集長を務めた。2013年8月をもって野に下り、フリーランスとしての活動を再開。古巣の『エル・ゴラッソ』を始め、『スポーツナビ』『サッカーキング』『サッカークリニック』『Footballista』『サッカー批評』『サッカーマガジン』『ゲキサカ』など各種媒体にライターとして寄稿するほか、フリーの編集者としての活動も行っている。著書『2050年W杯日本代表優勝プラン』(ソルメディア)ほか。

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