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Jリーグ序盤戦にインパクトを与えたベスト11

河治良幸スポーツジャーナリスト
(写真:森田直樹/アフロスポーツ)

J1リーグは第10節が終わり、シーズンの4分の1を消化しました。ここまでの序盤戦でインパクトを残したベスト11を筆者の目線で選出しました。

インパクトが基準なので、昨シーズンの年間ベスト11にノミネートしていた選手などは対象外としています。

GKは新天地で開幕戦からゴールマウスを守り、攻守両面で存在感を見せているポープ・ウィリアム(横浜F・マリノス)です。リーグ戦はもちろんのこと、ACLセミファイナルの2ndレグでは前半に退場者を出した状況で、40本を超えるシュートを打たれながらゴールを守り抜き、最後はPK戦を制してファイナル進出に導きました。

右サイドバックは大卒ルーキーながら開幕スタメンを飾り、さらなる成長を見せる濃野公人(鹿島アントラーズ)は第8節の京都戦から3試合連続ゴール。サイドラインを縦に上下動するだけでなく、タイミングよくインを攻め上がる独自のスタイルと決定力で驚きを与えています。

センターバックは中野就斗(サンフレッチェ広島)中谷進之介(ガンバ大阪)の二人を選びました。中野は開幕戦から右ウイングバックのスタメンに定着していましたが、守備の要である荒木隼人の離脱に伴い、3バックの中央で奮闘を見せて、新境地を開拓。DFながら2得点を記録している点も評価しました。中谷は移籍1年目にもかかわらず、高いリーダーシップを見せてディフェンスラインを統率。チームを戦う集団にまとめ上げる意味でも、キャプテンの宇佐美貴史やGK一森純とともに、重要な役割を担っています。

左サイドバックは現在首位を走るクラブから登里亨平(セレッソ大阪)を選びました。メインシステムを4ー3ー3に変更し、ボールを動かしながら攻め込むスタイルを掲げるセレッソにあって、川崎で多くのタイトルを獲得してきたベテランが、ビルドアップで果たしている役割は非常に大きく、欠かせない存在となっています。

中盤のアンカーには田中駿汰(セレッソ大阪)をチョイス。登里と同じく、現在セレッソが採用している4ー3ー3の心臓であり、自分たちからボールを動かすスタイルで中心的な存在になっています。攻撃面の効果はもちろんのこと、札幌時代に鍛えた幅広いカバーと対人守備も見逃せません。すでに二次予選の突破を決めていおる日本代表で、6月シリーズに招集される有力候補の一人でしょう。

インサイドハーフは宮代大聖(ヴィッセル神戸)岩尾憲(浦和レッズ)というセットに。宮代はFWの選手ですが、現在はインサイドハーフのポジションで躍動しています。元々シュートの技術は超一級品と評価されていましたが、新天地で二列目からの飛び出しや仕掛けなど、川崎時代にもあまり見せなかった領域を展開させて、ここまで4得点1アシスト。U-17W杯では久保建英とコンビを組んでいたタレントだけに、ポテンシャルを考えれば当然の活躍ですが、大迫勇也や武藤嘉紀といった代表経験も豊富なアタッカーとの共演で、A代表入りへの階段を着実に上がっています。

岩尾はヘグモ新監督を迎えた浦和で、最初はサミュエル・グスタフソンが主力を担う4ー3ー3のアンカーで控え的な位置付けでしたが、左インサイドハーフで起用されると、グスタフソンを補佐する形で燻銀のような働きを見せて、まだまだ戦術的に構築中のチームを幅広く支えています。現在は怪我で外れていますが、ここから浦和が上位に躍進していくために必要不可欠な選手の一人でしょう。

”10番ポジション”はパリ五輪代表候補でもある荒木遼太郎(FC東京)。鹿島から活躍の場を求めて、期限付き移籍で東京に加入しましたが、開幕6試合で5得点とエース級の活躍ぶりで、チームに勝利をもたらしています。パリ五輪を目指すU-23アジアカップに招集されており、次節の京都戦を含めた5試合を欠場となりますが、同僚のMF松木玖生とともにスタメン起用されたイラク戦で2得点目を決めて、本大会出場に大きく貢献。J復帰後のプレーが楽しみです。

FWは”昇格組”からオ・セフン(FC町田ゼルビア)ジャーメイン良(ジュビロ磐田)に。オ・セフンはJ2でライバルだった清水から加入しましたが、194cmのサイズと身体能力を生かした、圧倒的な空中戦の強さで前線に君臨。3得点1アシストという数字以上のゴールに関わる働きで、現在2位の町田を牽引しています。

ジャーメインに関してはもはや説明不要でしょう。10試合10ゴールという結果が全てを物語ますが、持ち前のスピードを要所要所でいかんなく発揮しながら、課題だった前線でのキープや起点のプレーなどにも磨きがかかっています。開幕前は背番号と同じ11得点を目標にあげていましたが、「その後に止まったら意味がない」と到達前に”撤回”しており、ここから1試合1試合、磐田の勝利のためにゴールを積み重ねていく気持ちを新たにしているようです。

そのジャーメインを8得点で追いかけるレオ・セアラも序盤戦の主役の一人ですが、すでにJ1での実績が十分であること、同じセレッソから登里と田中を選んでいることから今回は入れませんでした。ここでピックアップした選手たちが、過密日程となる5月でも高いパフォーマンスでチームの勝利に貢献でくることを願うとともに、前回の「ルヴァン杯からJリーグの主力に成り上がる”下剋上タレント”ベスト11」でも取り上げたような、なかなかリーグ戦でスタメンに絡めなかったような選手たちの台頭にも期待したいと思います。

スポーツジャーナリスト

タグマのウェブマガジン【サッカーの羅針盤】 https://www.targma.jp/kawaji/ を運営。 『エル・ゴラッソ』の創刊に携わり、現在は日本代表を担当。セガのサッカーゲーム『WCCF』選手カードデータを製作協力。著書は『ジャイアントキリングはキセキじゃない』(東邦出版)『勝負のスイッチ』(白夜書房)、『サッカーの見方が180度変わる データ進化論』(ソル・メディア)『解説者のコトバを知れば サッカーの観かたが解る』(内外出版社)など。プレー分析を軸にワールドサッカーの潮流を見守る。NHK『ミラクルボディー』の「スペイン代表 世界最強の”天才脳”」監修。

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