ルヴァン杯からJリーグの主力に成り上がる”下剋上タレント”ベスト11
ルヴァン杯はファーストラウンドの2回戦が行われ、3回戦に進む20チームが出揃いました。そこから3回戦を勝ち上がった10チームによるプレーオフラウンド、勝ち上がった5クラブにACL組の横浜F・マリノス、川崎フロンターレ、ヴァンフォーレ甲府を加えてプライムステージを戦う流れになります。
ステージが進むほど、選手起用も含めて本気度が高くなっていくのは例年通りになりそうですが、ファーストラウンドの時点では、これまでリーグ戦であまり出番のなかった選手がチャンスを与えられて、そこでの活躍が認められて、リーグ戦のメンバーに食い込んでいく流れが予想されます。
そこで今回はルヴァン杯2回戦で次に勝ち上がったチームの中から、リーグ戦での序列を上げていきそうなタレント11人を筆者の視点で”ベスト11”として選びました。
GKは若原智哉(V・ファーレン長崎)です。J1の京都サンガから期限付き移籍で加入した若原はリーグ戦に絡めずに来ましたが、ルヴァンでチャンスを得るとJ1のジュビロ磐田を相手に幅広くゴールを守りぬき、1−0の勝利に導きました。
京都ではJ1の試合も数多く経験している若原ですが、長崎に行くと決めた時から昇格に貢献することを誓っていたといいます。その意味ではポジションを掴むだけでゴールとは言えませんが、まずは現在正GKの原田岳とハイレベルな競争で、ローグ戦のポジションを掴めるか。ルヴァンの勝ち上がりとともに注目です。
バックラインは千田海人(東京ヴェルディ)、岩波拓也(ヴィッセル神戸)、ジャスティン・ハブナー(セレッソ大阪)の3人を選びました。千田はJ2のブラウブリッツ秋田からヴェルディに加入して2年目。今シーズンはここまで出番がありませんでした。しかし、ルヴァン杯の鹿児島戦で1−0の勝利を支えると、週末の川崎戦にも起用されてスコアレスドローに貢献しています。
岩波も浦和レッズから古巣に復帰して、ここまで町田戦の終盤に出場したのみでしたが、ルヴァン杯の今治戦では立ち上がりに失点しながらも粘り強く逆転勝利に導きました。ここから神戸は過密日程も増えてくる中で、リーグ戦でのチャンスも出てくるはず。守備はもちろん、良質なフィードでチャンスの起点になる働きにも注目です。
オランダ生まれのハブナーはルーツを持つインドネシア代表の10番を背負い、U-23アジア杯で韓国撃破の立役者になるなど、輝きを放っています。代表合流の直前に、ルヴァン杯の岩手戦でリーグ戦の主力でもある鳥海晃司と組んで、J3ながら攻撃力の高い岩手を無失点に抑え込みました。左足のキックや機を見た攻め上がりにも強みがある20歳のハブナー。同じくU-23アジア杯に日本代表で参加している西尾龍矢もライバルですが、リーグ優勝を目指すセレッソのベースを引き上げる可能性は十分です。
中盤にはルヴァン杯の北九州戦から週末のFC東京戦でのフル出場に繋げた宇野禅斗(FC町田ゼルビア)、鳥取戦で二列目から今季初出場初ゴールを決めた武田英寿(浦和レッズ)、ケガから復帰してきたマルコス・ジュニオール(サンフレッチェ広島)を並べています。
マルコスは広島が6−0と大勝したルヴァン杯の奈良クラブ戦で途中出場でしたが、PKによる得点のほかにも4点目のアシストなど、短い時間ながら違いを見せつけました。広島はリーグ戦で上位に付けながら、ここ数試合なかなか得点が伸びていませんが、マルコスが完全復活すれば問題解決の鍵になることは間違いありません。
サイドは右に長谷川巧(アルビレックス新潟)、左に原康介(北海道コンサドーレ札幌)を選びました。長谷川は右サイドバックながら、ルヴァン杯のいわき戦はセットプレーのセカンドボールから先制点を決めて、攻守両面で2−0の勝利に貢献しました。原はルヴァン杯の沼津戦で、左ウイングバックから機動力を発揮して、幅広く攻撃に顔を出しながらチャンスに絡むプレーが印象的であり、リーグ戦で最下位のチームを浮上させる起爆剤になる期待が高まります。
FWは横山歩夢(サガン鳥栖)と櫻川ソロモン(横浜FC)。リーグ戦では途中出場が続いていた二人です。横山はリーグ戦でこそ、左サイドアタッカーとしてジョーカー的な起用が続いていますが、ルヴァン杯の熊本戦は唯一のゴールを決めて勝利のヒーローに。しかもフル出場で、スタメンでも十分に力を発揮できることを証明しました。
櫻川は同じJ2の岡山との”昇格候補対決”となったルヴァン杯の試合で、1トップとしてスタメン出場。小倉陽太のゴールをアシストすると、味方のシュートのこぼれたまを右足で叩き込みました。延長戦の途中で退き、横浜FCが勝利したPK戦には絡めませんでしたが、今後のリーグ戦でのスタメン起用にも良いアピールになったはずです。