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「91年間で日照最多の春」一因に新型コロナか イギリス

森さやかNHK WORLD 気象アンカー、気象予報士
ロンドンで日光浴をする人々 (2020年5月)(写真:ロイター/アフロ)

「せっかく家にいるなら、雨の方が諦めつくかな。」と、ステイホーム期間中に思った方も多かったのではないでしょうか。

ところがイギリスでは連日晴天が続き、史上稀に見る、格好の行楽日和となっていたようです。

前例のない晴天続きの春

一体どれほど晴れたのでしょうか。

イングランド、ウェールズ、スコットランド、北アイルランドの全4地方で、1929年の観測開始以来もっとも日照時間の長い春(3~5月)となりました。

イギリス気象庁によると、イギリス全体の日照時間は626時間で、これまでの記録であった555時間を70時間も上回ったということです。南部のイングランド地方では696時間と、過去の記録を100時間近く上回りました。

また降水量は、1862年の観測開始以来5番目に少ない春となりました。特にイングランド地方とウェールズ地方では、月間降水量が例年の17%となり、史上もっとも少雨の5月となったのです。

ベルギー、オランダなどといったイギリスの周辺国でも、類を見ない晴ればかりの春となりました。

イギリス気象庁出典の図に筆者加筆
イギリス気象庁出典の図に筆者加筆

新型コロナとの関係

こうした記録的な日照時間の裏に、新型コロナウイルスが多少なりとも関係していたかもしれないとする研究が、テレグラフ紙に紹介されています。

その理由は下記のようなものです。

大気汚染物質は、雲を作ったり、太陽光を散乱させたりする働きがある。

⇒しかしロックダウンで空気中の大気汚染物質が減少している。

⇒その結果、青空が広がり、日照時間が長くなった可能性もある。

NASAが数年前に行った研究からも、人為起源の大気汚染物質は雲の成長を助け、地表に降り注ぐ太陽光を減少させる働きがあるということが分かっています。

ウイルスが青空を作って、ステイホームに励む善良な人々を外出の罠に導き、感染を拡大させようとしていたら…。今回の出来事はウイルスの意図ではないにせよ、どこまでたちが悪いのかと思いたくなります。

NHK WORLD 気象アンカー、気象予報士

NHK WORLD気象アンカー。南米アルゼンチン・ブエノスアイレスに生まれ、横浜で育つ。2011年より現職。英語で世界の天気を伝える気象予報士。日本気象学会、日本気象予報士会、日本航空機操縦士協会・航空気象委員会会員。著書に新刊『お天気ハンター、異常気象を追う』(文春新書)、『いま、この惑星で起きていること』(岩波ジュニア新書)、『竜巻のふしぎ』『天気のしくみ』(共立出版)がある。

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