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大阪桐蔭はラスト登場で鳴門と センバツ組み合わせ決まる

森本栄浩毎日放送アナウンサー
センバツの組み合わせが決まり、大阪桐蔭は鳴門と対戦することになった(筆者撮影)

 2週間後に開幕するセンバツ高校野球の組み合わせ抽選会がリモートで行われ、対戦相手が決まった。大阪桐蔭は1回戦最後の登場で鳴門(徳島)と対戦。終盤の日程がタイトになるため、優勝までの道は険しくなりそうだ。

同地区対戦は1カードのみ

 昨年3カードあった同地区の1回戦での顔合わせは1カードのみで、この両校は地区大会で対戦しなかった。フリー抽選の弊害は最小限にとどまったと言っていい。さらに強豪や優勝候補がうまくばらけた印象があり、大会は面白くなりそうだ。では、全体を4分割して、4カードずつ試合順に紹介したい。この中から1校が4強に進む。

地区優勝4校がいきなり激突                 

 浦和学院(埼玉)ー大分舞鶴

 和歌山東ー倉敷工(岡山

 クラーク国際(北海道)ー九州国際大付(福岡)

 広陵(広島)ー敦賀気比(福井)

 開幕試合に21世紀枠の大分舞鶴が登場し、浦和学院に挑む。中盤まで競り合って、得意の終盤勝負で勝機をつかみたい。和歌山東は打力のある倉敷工と。エース・麻田一誠(2年)の粘り強い投球で、僅差の勝負に持ち込めるか。倉敷工の福島貫太主将(2年)が、開会式で選手宣誓を行う。神宮大会で対戦したクラーク国際と九州国際大付は好試合が期待できる。神宮では九国が投打にレベルの高さを発揮し、5-1で快勝した。リベンジに燃えるクラークは、投手陣の踏ん張りが甲子園初勝利につながる。広陵と敦賀気比はハイレベルな攻防になりそう。気比の上加世田頼希(2年=主将)は打たれ強く、粘りの投球が身上。長打力で上回る広陵を勢いづかせないことが肝心だ。後半の2カードは地区王者同士の対戦となった。

粒ぞろいの混戦ブロック

 長崎日大ー京都国際

 二松学舎大付(東京)ー聖光学院(福島)

 山梨学院ー木更津総合(千葉)

 日大三島(静岡)ー金光大阪

 近畿8強ながら優勝候補に挙がる京都国際が、経験値で上回る。長崎日大は得意の継投で主導権を渡したくない。二松学舎大付の布施東海(2年)は注目の左腕。聖光学院の佐山未來(2年)も安定感があり、投手戦が期待できる。唯一の同地区対戦となった山梨学院と木更津総合は、ともにハイレベルでまとまる。山梨の榎谷礼央(2年)は、140キロ超の速球に変化球も精度が高い。対する木総の越井颯一郎(2年)も同タイプの本格派で、東海大相模(神奈川)を抑えた実力がある。打線も強力で対応力が高く、どちらが先に相手エースを攻略するか。日大三島と金光大阪は、下級生主体ながら終盤の粘りが身上で、よく似たチームカラー。接戦になるだろう。

退任する名将の花道に注目

 高知ー東洋大姫路(兵庫)

 国学院久我山(東京)ー有田工(佐賀)

 星稜(石川)ー天理(奈良)

 只見(福島)ー大垣日大(岐阜)

 甲子園優勝経験3校、同準優勝経験2校が競う。東洋大姫路は、エース・森健人(2年)の強気な投球が光る。高知打線を揺さぶってペースをつかみ、退任する藤田明彦監督(65)に白星を贈りたい。国学院久我山は球界のレジェンド・イチロー氏(48)から直接指導を受けた。直伝の打力で、九州大会連続完封の塚本侑弥(2年)を攻略できるか。星稜と天理は過去甲子園で1勝1敗だが、初戦での激突は初めて。退任する林和成監督(46)の花道を飾りたい星稜は、マーガード真偉輝(2年)が天理の強打をどうかわすか。部員13人で21世紀枠選出の只見は、「小さな学校の大きな可能性への挑戦」をモットーに、無欲で大垣日大にぶつかる。

ラスト登場の大阪桐蔭を待ち受けるのは?

 花巻東(岩手)ー市和歌山

 大島(鹿児島)ー明秀日立(茨城)

 丹生(福井)ー広島商

 鳴門(徳島)ー大阪桐蔭

 好投手・米田天翼(2年)を擁する市和歌山が、大会屈指の打線を誇る花巻東と当たる注目の対戦。米田は「いいバッターを抑えるために、冬場はストレートを磨いてきた」と手応えを口にする。佐々木麟太郎(1年)との力勝負は1回戦のハイライトになるだろう。大島の左腕・大野稼頭央(2年)は奪三振率の高い好投手。関東王者の明秀日立打線も攻略は容易でない。21世紀枠の丹生は、伝統の広島商に挑む。先手を取って、勢いづきたい。そして大阪桐蔭が満を持して最後に登場。鳴門の冨田遼弥(2年)は、明徳義塾(高知)を延長で倒した好左腕。大阪桐蔭も簡単には打ち崩せないだろう。このブロックは特徴を持った面白いチームが多い。

大阪桐蔭は投手起用がカギに

 優勝争いの中心となる大阪桐蔭は日程運に恵まれなかった。勝ち進むとすれば、2回戦以降は投手陣の「球数制限」を念頭に置いた起用が必要になる。軸になる左腕・前田悠伍(1年)は、初戦は先発することになるだろうが、いかに休ませながら勝ち続けられるか。はからずも筆者がこのチームの課題として挙げた「前田以外の投手のレベルアップ」が試される抽選結果で、西谷浩一監督(52)の手腕に注目したい。

強豪分散で優勝争いは熾烈に

 ブロック別に俯瞰すると、うまく強豪がばらけた印象で、準々決勝以降の熱戦が期待できる。最初のブロックは、九州国際大付と広陵が投打にまとまる。浦和学院も打線が例年以上で楽しみ。次のブロックは大混戦。経験値の京都国際と関東対決の勝者が上位争いの中心か。3つ目のブロックは名門がひしめく。天理が一番手かと思うが、2校が現監督のラストタクトであり、思わぬ力を発揮しそう。大阪桐蔭のブロックには優勝候補の花巻東が入った。準々決勝での対戦が実現すれば、大会は一気に盛り上がるだろう。

毎日放送アナウンサー

昭和36年10月4日、滋賀県生まれ。関西学院大卒。昭和60年毎日放送入社。昭和61年のセンバツ高校野球「池田-福岡大大濠」戦のラジオで甲子園実況デビュー。初めての決勝実況は平成6年のセンバツ、智弁和歌山の初優勝。野球のほかに、アメフト、バレーボール、ラグビー、駅伝、柔道などを実況。プロレスでは、三沢光晴、橋本真也(いずれも故人)の実況をしたことが自慢。全国ネットの長寿番組「皇室アルバム」のナレーションを2015年3月まで17年半にわたって担当した。

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