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東洋大姫路の阪下だけじゃない!天理のイケメンに智弁和歌山の剛腕!甲子園で活躍必至の近畿の好投手たち

森本栄浩毎日放送アナウンサー
センバツでは東洋大姫路の阪下をはじめ、近畿の好投手たちが活躍しそうだ(筆者撮影)

 来年のことを言うと鬼が笑うらしい。しかし1か月後には、センバツ出場校も決まっている。そろそろ活躍が楽しみな選手の話をしても、笑われることはないだろう。来春も、近畿には好投手が揃っている。

東洋大姫路の阪下は制球力抜群の本格派

 一足先に明治神宮大会で全国デビューし、その実力を関東のファンに見せつけたのが、東洋大姫路(兵庫)のエース・阪下漣(2年=タイトル写真)だ。183センチ86キロと体格も申し分なく、力感あふれるフォームから、最速147キロの直球だけでなく、キレのいいカットボールやカーブでアクセントをつける。特にカットボールは、カウント球と空振りを取る球を投げ分ける。本格派にありがちな制球面の不安は皆無で、長いイニングをバランスよく投げられる。近畿大会4試合、27回2/3を投げて与四球1の1失点がそれを証明している。ピンチが全くないわけではなかったが、要所でギアを何段も上げ、決定打を許さなかった。

神宮での敗戦が発奮材料となるか

 甲子園のある西宮市の出身で、県内ライバル校の報徳学園には、自宅から自転車で通える。しかし、2019年に履正社(大阪)で夏の全国制覇を果たした岡田龍生監督(63)の指導を受けたくて、敢えて寮生活となる東洋大姫路を選んだ。「150キロが出てもボール球じゃ意味がない。球速とコントロールが一致しないと」と、制球力には人一倍のこだわりを持つ。神宮大会では準決勝で横浜(神奈川)に、延長タイブレークの末、惜敗したが、150球を投げて3失点(自責1)の完投負けは、本番に向けて、自信とともに大きな発奮材料となるに違いない。

守り重視の智弁和歌山はバッテリーが軸

 近畿大会で準優勝した智弁和歌山は、ファンの間では強打がイメージとして定着しているが、ここ数年はバッテリーを軸にした投手力が際立っている。特に今チームは経験豊富な速球派右腕が揃い、投手層は全国屈指と言える。主戦の渡辺颯人(2年)は前チームからエース番号を背負う大黒柱で、変化球の精度が高い実戦派右腕。精神的にも落ち着いていて、大崩れしない。中谷仁監督(45)が、「生活面も含めて何も言うことがないくらいしっかりしている。皆が見習ってほしい」と絶賛。捕手出身だけに、守りに重点を置いた指導をしていて、秋も「守り勝てれば」という言葉が何度も聞かれた。

最速152キロの宮口は「抑え専門」

 渡辺が試合をつくり、終盤に抑えで出てくるのが、最速152キロを誇る宮口龍斗(2年)で、球威で相手打者を圧倒する。中谷監督も「明らかに抑え向き。そう思いませんか?」と同意を求めるほど、宮口の適正を見極めている。

智弁和歌山の宮口は、和歌山大会決勝で自己最速の152キロをマーク。エースの渡辺との必勝リレーを確立している。ほかにも、近畿大会決勝で救援登板した田中息吹(2年)らの成長も見込める(筆者撮影)
智弁和歌山の宮口は、和歌山大会決勝で自己最速の152キロをマーク。エースの渡辺との必勝リレーを確立している。ほかにも、近畿大会決勝で救援登板した田中息吹(2年)らの成長も見込める(筆者撮影)

 速球だけに頼らず、スライダーなどの変化球でも空振りをとれるのが強みで、近畿大会では3試合、全て救援で登板し、計9回を投げて被安打わずか2の無失点。8三振を奪った内容は、中谷監督の言葉を裏付ける。宮口は「コントロールを磨きつつ、しっかりトレーニングして、それに見合った球を投げたい」と、冬場の課題を挙げた。来春はさらに成長した姿を見せてくれそうだ。

天理のイケメンエースはバットと足も魅力

 古豪・天理(奈良)は、平成以降の甲子園では試合巧者の印象が強い。ライバル・智弁学園と甲子園を争う構図は変わらないが、近年はやや押され気味。秋は直接対決で勝って勢いに乗り、近畿大会でも4強まで進んだ。原動力となったのがエースの下坊大陸(しもぼう・りく=2年)で、投げるだけでなく、攻撃面でも目立っていた。

天理のエース・下坊は178センチのスラリとした体格プラス、ご覧のイケメンぶり。好救援の伊藤には、「自分がダメな時に助けてくれる頼もしい存在」と感謝した(筆者撮影)
天理のエース・下坊は178センチのスラリとした体格プラス、ご覧のイケメンぶり。好救援の伊藤には、「自分がダメな時に助けてくれる頼もしい存在」と感謝した(筆者撮影)

 前チームでもかなりの経験を積んでいて、和歌山東との近畿大会初戦では自己最速の141キロを出すなど、8回2/3を1失点の快投だった。チェンジアップやカーブなど、タイミングを外す球を駆使して、巧みな投球を見せるが、注目すべきは打力と脚力だ。最初の打席に安打で出塁するとすかさず盗塁し、さらに相手投手のスキをつく走塁で先制のホームを陥れた。50メートルは6秒0、通算本塁打が9本(近畿大会終了時)で、藤原忠理監督(59)は、「ポテンシャルが高い。体の割に長打力もある」と、下坊の万能ぶりを認める。ただ準々決勝以降はやや精彩を欠き、三塁手の伊藤達也(2年)に助けられた。父と兄も天理のOBで「甲子園は夢の場所」と、聖地へ思いを馳せている。

市和歌山の土井、滋賀学園の長崎にも注目

 ここまで紹介した3校はセンバツ出場が確実視される。甲子園では毎回、好投手を擁する市和歌山も来春の選出は間違いなく、土井源二郎(2年)が近畿大会で好投して、半田真一監督(44)を喜ばせた。飛躍が期待される1年生速球派の丹羽涼介もいて、「リーダーシップの取れる土井が、投手陣の柱」と信頼を寄せる。出場が期待される滋賀学園では、186センチの長身右腕・長崎蓮汰(2年)の成長が著しい。夏の甲子園での登板はなかったが、経験値の高い土田悠貴(2年)の調子が戻らない中、大阪桐蔭相手に2失点完投で自信をつけた。「変化球でストライクが取れるようになったのが大きい」と、山口達也監督(53)が話すように、緩急を使って大阪桐蔭打線に的を絞らせなかった。直球が常時140キロ台になれば、打ち崩すのは難しい。

大阪桐蔭の森と中野は夏に期待

 その滋賀学園に初戦敗退し、大阪大会も2位だったことからセンバツは絶望的となった大阪桐蔭には、全国的にも上位にランクされる二人の右腕がいる。森陽樹(2年)は、190センチの大型右腕で、150キロを超える直球にスプリットやカットボールも交える。西谷浩一監督(55)の「将来を考え、大きく育てたい」という方針から、先発起用で長いイニングを任されることが多くなったため、相手を圧倒するような投球は影を潜めたが、まだまだ伸びしろはありそうだ。宮崎出身でおっとりした森とは対照的に、闘志を前面に出すのが中野大虎(2年=主将)で、夏の甲子園では興南(沖縄)を完封した。両者とも前チームからの主力で、攻撃陣とかみ合えばチーム力は全国でもトップクラス。最後の夏に向け、厳しい練習に励んでいることだろう。

毎日放送アナウンサー

昭和36年10月4日、滋賀県生まれ。関西学院大卒。昭和60年毎日放送入社。昭和61年のセンバツ高校野球「池田-福岡大大濠」戦のラジオで甲子園実況デビュー。初めての決勝実況は平成6年のセンバツ、智弁和歌山の初優勝。野球のほかに、アメフト、バレーボール、ラグビー、駅伝、柔道などを実況。プロレスでは、三沢光晴、橋本真也(いずれも故人)の実況をしたことが自慢。全国ネットの長寿番組「皇室アルバム」のナレーションを2015年3月まで17年半にわたって担当した。

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