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Google、インドで低価格スマホ「JioPhone Next」購入可能な値段で発売へ

佐藤仁学術研究員・著述家
(写真:ロイター/アフロ)

Googleはインドで、スマホを初めて購入する人を対象にした「JioPhone Next」を9月に発売することを明らかにした。Googleの提供するスマホOSのAndroidをベースにしたプラットフォームで開発されており、4G(LTE)回線に対応しており翻訳機能、音声アシスタント、高性能カメラが搭載されるとGoogleのCEOのスンダー・ピチャイ氏は語っていた。また同氏は「JioPhone Next」は「インドのために開発された(Made for India)スマホ」と宣言。具体的な価格はまだ明らかにしていないが、初めてスマホを購入する人たちでも購入可能(affordable)な価格だと述べている。

インドではスマホも急激に普及しており、多くの人がYouTubeや検索などGoogleのサービスを利用している。特にYouTubeはインドでも大人気で、インドの映画なども違法だろうが多くアップされており、テレビは家にないけどスマホで見ているという人もいる。

人口13億人を抱えるインドはGoogleにとっても重要な市場である。インドではスマホが普及してきたといっても、今でもスマホをもっていない人も多くいる。今回、Googleはスマホをまだ持っていない人を対象にしており、価格も「購入可能な価格」としている。Googleとしてはスマホ端末の販売価格がたとえ赤字になったとしても、あとで検索やYoutube視聴などで広告収入が入ることが期待されれば、それでよい。そのため、かなりの低価格でもスマホ端末を普及させて、多くの人にGoogleのサービスを利用してほしいところだ。

そして、インドでスマホを所有していない人のほとんどが地方に住んでいる貧困層だ。インドでは公式にはカースト制度はなくなっていることになっている。だが地方では今でもカーストの名残があり、スマホを所有していない人たちのほとんどはいわゆる「不可触民(アンタッチャブル)」と言われている指定カースト層だ。

Googleはピチャイ氏がCEOに就任してからインドの全国の鉄道駅での無料Wi-Fi、子供向けYouTube、AIを活用した洪水警報システム、廉価版スマホの提供など長年にわたってインドに積極的な投資をしてきた。最近では新型コロナ対策のために酸素工場に多額の寄付を行っていた。

学術研究員・著述家

グローバルガバナンスにおけるデジタルやメディアの果たす役割に関して研究。科学技術の発展とメディアの多様化によって世界は大きく進化してきました。それらが国際秩序をどう変化させたのか、また人間の行動と文化現象はどのように変容してきたのかを解明していきたいです。国際政治学(科学技術と戦争/平和・国家と人間の安全保障)歴史情報学(ホロコーストの記憶と表象のデジタル化)。修士(国際政治学)修士(社会デザイン学)。近著「情報通信アウトルック:ICTの浸透が変える未来」(NTT出版・共著)「情報通信アウトルック:ビッグデータが社会を変える」(同)「徹底研究!GAFA」(洋泉社・共著)など多数。

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