【小谷村】「cafe十三月」ー里山の古民家で味わう本格南インドカレーとこだわりの“自家焙煎”コーヒー
長野市から車で約1時間半。北アルプスの静かな山々に抱かれた「小谷(おたり)村」に、ひっそりと佇む古民家カフェ「十三月」。ここでは、本格的な南インドカレーや自家焙煎のコーヒー、オリジナルスイーツが楽しめます。
山々が秋色に染まり、澄んだ風が里山を吹き抜ける秋の昼下がり。そんな風情を味わいに古民家カフェ「十三月」を訪れました。
「cafe十三月」…店名に込められた思い
駐車場に車を停めてカフェへ向かう小道を歩くと、眼下にはのどかな里山の風景が広がります。その先に見えてくる「cafe十三月」は、まるで時を超えてこの風景と一体になったかのような、大きな屋根を持つ風格ある古民家です。
店内に入ると、大きな梁が支える高い天井と、素朴でどこか趣のある土間や座敷、そして温もりを感じさせる木のカウンター席が迎えてくれます。どこか懐かしいのに新鮮さも感じられる、不思議で魅力的な空間が広がっています。
「十三月」という店名は、この地域に伝わる小正月の行事から名付けられたものです。かつて、この地域では「十三月」と書かれた胡桃の木の札を軒先に掲げ、鬼を避けるという風習がありました。
オーナーの高木絵里奈さん(以下、絵里奈さん)は、こうした風習に魅せられ、存在しそうで存在しない“十三月”という響きに惹かれ、地域の人々が集い、里山暮らしの魅力を伝える場となるよう願いを込め、この店名を選んだといいます。
こだわり抜いた南インドカレーを古民家で
「十三月」の看板メニューのひとつが、南インドカレーの定食「ミールス」(税込1,380円)です。スパイスの香りが広がるスープに、鮮やかな豆や野菜のカレー、香ばしいパパド、アチャールと呼ばれるインドの漬け物などが、1枚のプレートに彩られています。
基本的には、肉やシーフードを使わない「ラクトベジ」のプレートですが、お好みに合わせて肉やシーフードの入った「ノンベジ」のプレートを選ぶことも可能です。
このカレーには、絵里奈さんがインドで学んだ「現地の味」が凝縮されています。スパイシーで奥深い味わいに、思わず手が止まらなくなってしまいました。
カレーの後にいただくスイーツとコーヒーもまた、この場所でしか味わえない特別な一品です。この日、私がオーダーしたのは「そば粉のシフォンケーキ」(税込550円)。口に含むと、ふんわりとしたそばの香りが優しく広がり、里山の秋を感じることができます。
コーヒーは、夫の高木二郎さんが豆の仕入れから焙煎までを手がけ、深煎りや中深煎りなど好みに合わせて選ぶことができます。心を込めて淹れられた一杯が、スイーツの余韻と共に深く心に染み渡ります。
オープン10周年を前に…cafe十三月の挑戦
高木さん夫妻が小谷村で暮らし始めたのは、2011年のこと。その後、2016年に「cafe十三月」をオープンし、来春には10周年を迎えます。
お店を始めた当初は、「夫婦2人でできる範囲で、2人が食べていけるだけの収入があればいい」と考えていたそうですが、趣ある古民家で本格的な南インドカレーと自家焙煎コーヒー、こだわりのスイーツがいただける「cafe十三月」は、たちまち評判となり、地域住民の憩いの場としてはもちろん、多くの観光客が訪れる人気店となりました。
今では、小谷村に移住してきた住民の雇用の受け皿にもなっている「cafe十三月」。「元々こんなつもりではなかった」と笑顔で話す絵里奈さんですが、多くのスタッフに囲まれ、今後の夢も広がっているといいます。
「2023年に焼き菓子の工房をオープンしました。なかなか小谷村に来られない遠方の方にもこの味を届けていきたいです」
現在、「cafe十三月」では通販を通じて焼き菓子を全国へ届けています。キャロットケーキやタルトタタン、クッキーなどを販売しており、購入される方の中には、5回以上もリピートして購入する方もいると言うほど、味は折り紙つきです。
冬は雪深くなってしまうため、店舗は休業となりますが、通販はもちろん、近隣の「道の駅白馬」でも焼き菓子が販売されるとのことで、手に取って人気の焼き菓子を堪能することができるのだそうです。
来春、10周年を迎える「cafe十三月」。趣ある古民家で、四季折々の自然に包まれながら味わう南インドカレーと自家製スイーツ。ここでしか味わえない特別な空間を、ぜひ味わいに来てみてはいかがでしょうか。
≪店舗情報≫
【店名】cafe十三月
【住所】長野県北安曇郡小谷村中土11738
【電話】0261-85-1781
【営業時間】平日 11:00〜18:00 / 土・日曜・祭日 10:00~18:00
【定休日】火・水曜日 ※冬期休業
【駐車場】あり(10台程度)
【公式HP】通販サイト