麻布台ヒルズ唯一のラーメン店「麺尊 RAGE」 2000円オーバーのラーメンに熱狂できる理由
11月24日に森ビルが手掛ける新しい街「麻布台ヒルズ」が誕生した。
森ビルが約300件の権利者とおよそ35年かけて進めてきた一大プロジェクト。約8.1haの広大な敷地には緑が広がり、オフィスや住宅に加え商業施設、文化施設、教育機関や医療機関などが多数入っている。
ファッション、フード、ビューティー、カルチャー、アートなど約150店舗が集結した。最寄り駅は東京メトロ・神谷町駅か六本木一丁目駅だ。
飲食店が多数出店する中で、ラーメン専門店として選ばれたのは「麺尊 RAGE」だ。
24日の開業日には約90店舗がオープンしたが、その中でラーメン専門店はここだけだ。
「麺尊 RAGE」は2015年2月に東京・西荻窪で創業したお店。
『ミシュランガイド東京』で2016~2023と8年連続でビブグルマンに輝く名店だ。数々のブランドを立ち上げ、この麻布台ヒルズ店で5店舗目となる。
場所は「ガーデンプラザD」のB1Fにある。
オシャレな麻布台ヒルズにありながら、あくまでロック調な内装はこのお店の個性だ。ちなみに店名の「RAGE」はロックバンド「Rage Against the Machine」から来ている。店内のBGMももちろん「Rage Against the Machine」だ。
まずは券売機で食券を購入。完全キャッシュレスで現金は使えない。
ラーメンメニューの価格は軍鶏そば2000円、煮干そば1500円、烏骨鶏そば、つけそば、まぜそば1500円とかなり振り切っている。
「特製軍鶏そば」(¥2500)と「ミニスパイスカレー」(¥600)を注文。筆者としても久々の2000円オーバーのラーメンだ。
具は軍鶏のモモと胸のチャーシュー、低温調理の豚チャーシュー、味玉、メンマ、三つ葉、ネギ。
麺は低加水の細めストレートの三河屋製麺製。
軍鶏丸鶏、軍鶏ガラ、金華ハム、昆布などの乾物を合わせたスープに数種の醤油を使った醤油ダレを合わせる。
クリアな清湯だがダシ感、醤油感ともにしっかり感じるバランスの良い仕上がり。はっきり言って飛び上がるほど美味しい。チャーシュー類もオリジナリティを感じる出来で素晴らしい。
スパイスカレーは思った以上にスパイシーで本格的で、辛さでラーメンの味が霞んでしまうかなと思いきや、スープとの相性がバツグン。お腹が空いている方はぜひ注文してみてほしい。
一見「高い」という印象になるかもしれないし、それが普通だと思う。しかし、クオリティに自信がなければこの思い切った価格はなかなか付けられない。
ラーメン評論家の大崎裕史さんにも「RAGE」の価格設定について話を聞いた。
「まず率直な第一印象は『麻布台ヒルズ価格だな』でした。
日常的に食べる価格ではないと思うので、それはそれで良いと思います。
私は軍鶏そば(チャーシュートッピング)とミニスパイスカレー(合計で2900円)を食べましたが、しっかり美味しかったし、2900円分の満足感は得られました。
麻布台ヒルズでラーメン専門店は唯一なので、お客さんはしっかり入ると思います。本当ならラーメンだけで2~3軒あれば競争が働いて面白かったと思いますね」(大崎裕史さん)
確かに2000円オーバーでも既に行列ができている。
冷静に考えると周りの飲食店も2000円、3000円の価格を平気で付けているので、それに比べれば「RAGE」の価格が高いとは全く思わない。「ラーメンだから安くなければならない」という考えをここでは捨てることができる。
これはミシュラン獲得店の意地でもあるだろう。ラーメンは他に負けない立派な食べ物なんだということを自信を持った価格と美味しさで示してくれている。
「券売機で買ったものが、厨房にモニターで伝わるようになっていたのも近代的でかっこよかったです。完全キャッシュレスもそういう時代になってきたんだ、と思いました。まだまだラーメンは味も環境も進化して行くと思います」(大崎さん)
注目の集まる麻布台ヒルズのオープンとともに、「RAGE」は一流ラーメン店としてのプライドを見せてくれている。
※写真はすべて筆者による撮影