Yahoo!ニュース

史上最年少四冠をうかがう藤井聡太挑戦者(19)巧みな攻めでリードを奪ったか? 竜王戦第2局2日目開始

松本博文将棋ライター
(写真:ogurisu/イメージマート)

 10月23日。京都府京都市・総本山仁和寺において第34期竜王戦七番勝負第2局▲豊島将之竜王(31歳)-△藤井聡太挑戦者(19歳)戦、2日目の対局が始まりました。棋譜は公式ページをご覧ください。

 対局室には藤井挑戦者、豊島竜王の順に入室。改めて最初の位置に駒を並べ、記録係の棋譜読み上げによって、1日目の進行を再現していきます。

記録係「1日目の指し手を読み上げます。先手、豊島竜王▲2六歩。後手、藤井三冠△8四歩。・・・」

 戦型は互いに飛車先の歩を突き合う相掛かりに進みました。42手目、藤井挑戦者が9筋に歩をたらした局面で、豊島竜王が43手目を封じています。

淡路「それではただいまより、封じ手の開封をいたします」

 立会人の淡路仁茂九段が2通の封筒にはさみを入れ、封じ手用紙を取り出しました。

淡路「封じ手は▲9七同香です」

 43手目。豊島竜王は打たれた歩を香車で取りました。

淡路「それでは第2局の対局を始めてください」

 朝9時。両対局者は改めて一礼し、対局が再開されました。

 藤井挑戦者は湯呑を手にして、まずお茶を飲みます。消費時間は4分。少し間を置いたあと、香が上ずって空いた空間に、歩をたらしました。角の利きをいかしての攻めで厳しい。豊島竜王は角筋を止めて辛抱しますが、藤井挑戦者の方からは自然な攻めが続きます。現状は藤井挑戦者が少しリードを奪ったようです。

 両者にとって本局は今年度11回目の対戦となります。対局前、ABEMAのインタビューでは次のような質問がありました。

――この短い期間で藤井先生と何局も指されているわけですが、昔、深浦先生が「恋愛しているようだ」というふうにおっしゃって。そういう感じ、わかったりしますか?

豊島「いやあ・・・(首をかしげる)。別にそういう感じはあまりないですけどね(苦笑)。でもやっぱり、すごく才能がある方と何局も指せるので、自分にとってもなんというか、刺激というか。非常に勉強にはなっているな、とは感じます。(相手が)なんとなく、なんかどういうことを考えているのかっていうのは、前よりかはわかるようになってきている、というのはありますけど。まあでも、お互いそうだと思うので」

 同様の質問に、藤井挑戦者は次のように答えています。

藤井「うーん、どうでしょう(苦笑)。やっぱり豊島竜王とこんなにたくさん、こうして公式戦で対戦できるというのは、やっぱりすごくいい機会ですし。自分自身がここまで指してきて、とてもやはり勉強になるな、と感じています」

将棋ライター

フリーの将棋ライター、中継記者。1973年生まれ。東大将棋部出身で、在学中より将棋書籍の編集に従事。東大法学部卒業後、名人戦棋譜速報の立ち上げに尽力。「青葉」の名で中継記者を務め、日本将棋連盟、日本女子プロ将棋協会(LPSA)などのネット中継に携わる。著書に『ルポ 電王戦』(NHK出版新書)、『ドキュメント コンピュータ将棋』(角川新書)、『棋士とAIはどう戦ってきたか』(洋泉社新書)、『天才 藤井聡太』(文藝春秋)、『藤井聡太 天才はいかに生まれたか』(NHK出版新書)、『藤井聡太はAIに勝てるか?』(光文社新書)、『棋承転結』(朝日新聞出版)など。

松本博文の最近の記事