自宅にテレビがある人は96.7%
インターネットの登場でメディアのパワーバランスは大きな変化を迎えたが、それでも利用ハードルの低さや影響力、いわゆるメディア力の観点で、今なおテレビ放送が最大の影響力を有していることに違いはない。今回は総務省が2023年6月に情報通信政策研究所の調査結果として公式サイトで発表した「令和4年度 情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査」(※)の公開値を基に、テレビ放送を受信し視聴する主なツールとなる、テレビ受像機の浸透状況を確認する。
次に示すのはテレビ受像機の所有状況。自宅にあるか無いかを回答者に答えてもらい、ある場合には回答者自身が利用しているか、それとも利用していないか、無い場合には自宅に欲しいか、いらないかを答えてもらっている。単純にあるか無いかの回答だけでなく、ある場合には利用状況を、無い場合には所有希望の有無まで尋ねることで、テレビ受像機の需要を精査できる。なお今件はあくまでもテレビ受像機に限定されており、パソコンや携帯電話のワンセグ機能などは該当しない。
まずは自宅にある人の状況。
回答者が世帯主とは限らないため、世帯主を対象とする他の調査とはいくぶん異なる動きを示しているが、おおよそどの回答者も自宅にテレビはあると答えている。またテレビはあるが観ていない人はごく少数。
属性別の違いを見ると、ほぼ誤差の範囲の動きしかないが、かろうじて低世帯年収では所有率が低いような動きが確認できる。また20~30代の成人若年層はいくぶん低いようだ。
逆にテレビが自宅に無い人はどのような心境を抱いているのだろうか。普通のテレビ関連の調査では得難い状況の確認ができる。
テレビ受像機所有率が一番低いのは、属性別では学生・生徒。次いで20代の人。前者は大学生などでテレビ受像機そのものを必要としていないケースが反映されているのだろう。それを含め、現時点でテレビ受像機を持っていない人の多くは、受像機そのものを必要としていないのであり、欲しいが何らかの理由で手に入らないわけではないことが分かる。
とはいえ、属性別で最大の非所有率ですら5.7%。テレビ受像器が最大のマスメディアツールであることに違いはなさそうだ。
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※令和4年度 情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査
今調査は2022年11月5日から11月11日にかけて、全国125地点をランダムロケーションクォータサンプリング(調査地点を無作為に抽出、地点ごとにサンプル数を割り当て、該当地域で調査対象者を抽出する方法)によって抽出し、訪問留置調査方式により、13~69歳の1500サンプルを対象としたもの。アンケート調査と日記式調査を同時並行で実施し、後者は平日2日・休日1日で行われている。よってグラフの表記上は「10代」だが、厳密には13~19歳を意味する。
調査のタイミングにより一部調査結果においてイレギュラー的な動きが確認できるが、これについて報告書では「経年での利用時間などの変化については、調査時期の違いによる影響や単年の一時的な傾向である可能性も否定できず、継続的な傾向の把握については今後の調査などの結果も踏まえる必要がある」と但し書きを入れている。さらに2020年分の調査については「令和2年度調査は、新型コロナウイルス感染症の感染拡大に伴う、11都府県を対象とした緊急事態宣言下で行われたものであることにも留意が必要」との補足があった。
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(注)今記事は【ガベージニュース】に掲載した記事に一部加筆・変更をしたものです。