テレビは高齢者、インターネットは若者たち…主要メディアの利用時間のちがい
若者と高齢者とでは3倍近くも違うテレビ視聴時間
生まれ育った時代の経験や身体の成長・老化に伴い、主に使うメディアは違いを見せる。その実情を数量的な視点で総務省の調査「平成27年 情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査」(2015年11月14日から11月20日にかけて、全国125地点をランダムロケーションクォーターサンプリングによって抽出し、訪問留置調査方式による、13歳から69歳の1500サンプルが対象。アンケート調査と日記式調査を同時併行で実施し、後者は平日2日・休日1日で実施)の結果から確認していく。
次に示すのは調査対象母集団及び各世代における、主要5メディア(テレビは視聴スタイル別だが)の1日あたりの平均利用時間。例えば10代のテレビ(生)は95.8分と出ているので、テレビを観ていない人も合わせ10代は平日にテレビを平均1時間36分ほど観ている計算になる。またインターネットは回線をつないでいる時間では無く、実際に利用行動を行った時間。他方利用端末はパソコンに限らず、スマホや従来型携帯電話、タブレット型端末、さらにはインターネット接続ができるテレビによる関連サービスの利用も含まれる。
全体平均ではテレビのリアルタイム観賞が174分、録画観賞が19分ほど、合わせて約3時間。インターネットが90分、新聞やラジオはそれぞれ10分強となる。世代別で大きな差異が生じているのはグラフの形状を見れば一目瞭然。
「若者のテレビ離れ」のフレーズの通り、テレビ視聴時間は概して若年層ほど短く、シニアになるほど長くなる。特に60代は長めで、1日平均258分。4時間半近くもテレビを観っぱなし。一方インターネットは20代の利用時間が一番長く2時間強。以後急激に利用時間は減り、60代になると30分強に留まってしまう。
新聞の購読、ラジオの聴取者の減少はよく知られるところではあるが、10代では双方とも1日平均で5分も消費されていない。20代でも10分足らず、30代でようやくラジオが10分を超えるが新聞は5分足らずのまま。新聞が10分を超えるのは50代に入ってから。60代でようやく新聞もラジオも1日あたり約30分ほどの時間が費やされることになる。
中堅層で大きく動く注力メディア
続いて前回調査、つまり2014年時点での状況を確認し、今回発表分となる2015年分との差を算出したのが次のグラフ。
ざっと見で目に留まる変化は2点。インターネット利用時間の増加と、30代から40代のテレビ(生放送)の減少及び50代の大幅増加。それぞれそれぞれ全体平均にも影響を与えている。
インターネットの利用時間増加は多世代に渡っている。対象機器はパソコンだけでなく携帯電話、タブレット型端末にも及んでいるので、これは素直に納得できる。特に中堅層におけるインターネットの利用時間が伸びているが、同時にテレビ(生放送)の利用時間が減少しており、ライフスタイルにおけるネットへのシフトの様子がうかがえる。
他方50代でテレビ(生放送)の大幅な利用時間の増加が確認できるが、これは他メディアの利用時間との引き換えではなく、メディア利用時間そのものの純増加。過去数年のテレビ視聴時間の動向を見るに、今回の伸びが特異なのではなく、むしろ前年と前々年がイレギュラーだったのではと思われる感はある。
同時に40代の急激な減少も、ここ数年間に起きている荒い動きの中の一つでしかなく、何か大きな変化が起きた結果ではないことがうかがえる。
テレビ(生)・インターネット以外では、ラジオの時間短縮も気になる。特に中堅層以降が減退しているが、元々ラジオのお得意様はこの年齢階層であっただけに、お得意様が距離をおきつつあるとも解釈できる。
2015年の時点では10代と20代でインターネットの利用時間がテレビ(生放送)を抜いている。つまり「20代以下はテレビ<<ネットの時代」である。多分にスマートフォンの普及浸透によるところが大きく、この傾向は今後も続くものと考えられる(今件は各年齢階層毎の平均値であり、該当メディアを利用していない=利用時間ゼロの人も含めているため、普及率が高いほど平均値も底上げされる)。
スマートフォンの普及がさらに進めば、将来は30代、そして40代でもテレビの利用時間をインターネットが抜くようになるかもしれない。
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