フェイスブックが保有している個人情報とは?「私のデータ」を取得する方法
米フェイスブック(Facebook)が保有するユーザー約5000万人もの個人情報が漏洩し、大問題になっている。ケンブリッジ・アナリティカ社がそれらを不正に取得、保持し、トランプ大統領の選挙運動に活用していたことが明るみに出たのだ。活用されたというデータは、ケンブリッジ大学の教授が学術調査としてフェイスブックで性格診断クイズを行い取得したものだった。クイズの回答者は27万人ほどだが、「いいね!」をした人などのデータも含まれているという。
情報漏洩により、フェイスブックのアカウントを削除しようという「#deletefacebook」 (ハッシュタグ・デリート・フェイスブック)ムーブメントが、SNS上で起こっている。しかし問題発覚以降、私の周りでFacebookのアカウントを削除した「友達」は確認できておらず、友達の投稿頻度も以前と変わらないように思う。
私は、「盗まれると致命的な情報」をフェイスブックにいっさい投稿していないので、個人情報が漏洩したと聞いて「Facebookがいよいよやってしまったか」とは思ったものの、そこまで動揺はしなかった。
しかし、もし自分の情報が漏洩し不正利用された場合、どの程度の情報が明らかになるのだろうと興味がわいたため、個人情報を抽出することを試みた。
FBに保存されている「私のデータ」を取得するには
「私の個人情報」の閲覧は意外と簡単だ。フェイスブックのアーカイブを取得するだけで、その方法はさまざまなウェブサイトにすでに書かれている。しかし、意外と実行している人は少ないのではないだろうか? この機会に今一度、抽出方法を説明したい。
1. フェイスブックページの右上から「設定」をクリックすると、一般アカウント設定の一番下に「Facebookデータをダウンロード」と表示が出るので、それをクリック
2. 「アーカイブをダウンロード」をクリック(下写真の黄緑色のボタン)
3. フェイスブックのパスワードを入力
4. フェイスブックに登録済みのEメールをチェックする(この時点では、「フェイスブックデータをリクエストした」という確認メールが届くだけ。筆者のケースでは、ここから8分後に「ダウンロードができる準備ができた」というメールが再度届いた)
5. このメールのリンクから、アーカイブをダウンロード
以上たったの5プロセスで、フェイスブックに保有されている自分の個人情報を入手することができる。
FBが保有する「私の情報」に驚く
アーカイブの個人情報は、「プロフィール」「タイムライン」「写真」「これまでダウンロードしてきたアプリ」などとカテゴリー別になっており、私に関する大量の個人情報が含まれていた。
まず「プロフィール」では、自分がフェイスブックを始めた日時などが確認できる。ちなみに私がフェイスブックを始めた日は、2008年4月20日、日曜日の午後6時16分だった。つまり私の場合、利用開始から10年分の情報がここで確認できるというわけだ。フェイスブックを始めて日が浅い人は当然、確認できる個人情報も少ない。
性別や現在の住まい、卒業校については正しい情報だし、所属していたグループも一部不明な団体を除き、だいたい合っていた。
しかし、音楽、映画、テレビなどエンターテインメントの嗜好については、「私の情報」とは言い切れなかった。それらのデータはかなり昔のもので、テレビについてはここ1~2年、フェイスブックのタイムラインに流れてくるのでつい観てしまう、女性向け動画ファッションマガジンのみが記載されていた。しかし好きなテレビ番組はそれだけではないので、「個人情報」としては間違っている。好きなアスリートや洋服のブランド情報も含まれているが、いずれも自己評価としては「今ひとつ」な個人情報だった。おそらくフェイスブック側の単純なミスと、意図に反してつい入力してしまった私のミス(もしくは遠い過去に入力したもので記憶が曖昧なもの)による間違った情報なのだろう。
「友達」のカテゴリーでは、誰といつフェイスブック上で友達になったか、誰から「友達リクエスト」が来て、自分は誰に「友達リクエスト」を送ったか、「過去の友達」も含めてすべて記録されている。また、友達のメールアドレスも、すべてここで閲覧できる(フェイスブックから仕事に発展する際、私はメッセンジャーでメールアドレスをその都度聞くことが多いので、友達のメルアド一覧は私にとって便利だ)。
また、「広告」というカテゴリーもある。クリックすると、タイムラインに出てきた広告で最近クリックしたものや、自分が興味あるトピックの履歴がリスト化されていた。一番下に、「私のコンタクトインフォを持っている広告主」の情報まである。eBayやUber、Targetなど私が普段利用する企業から、なぜかまったく利用せず、名前さえ聞いたことがないような日米の企業まで名を連ねていて、あまりいい気はしなかった。
ちなみに友人も同様にデータをダウンロードしたが、「過去に数回しか観たことがないテレビ番組の大ファンだと記録されていた」そうだ。信憑性についてはだいたい私と同じようだった。
削除する?しない?
さて、今回流出した約5000万人というのは、主にアメリカに住む人と報道されている。私の「リアルな友人」の中には、フェイスブックをしない友人も何人かいる。アカウントは持っているけどまったくログインしない友人(30代のアメリカ人女性)やアカウント自体を作っていない友人(30代の在米日本人女性)、さらにはSNS疲れからか、フェイスブック上でサヨナラ宣言をし、潔く去って行った日本人も数名いる。
まったくログインしない友人は、彼女の母親も姉も妹も頻繁に投稿しているが、彼女だけがフェイスブックをしない(厳密に言えば、年に1度ほど、娘の写真を投稿して近況報告するのみ)。理由は「忙しくて、フェイスブックに時間を取られるのがいやだから」とのこと。またアカウント自体持っていない友人は、持たない理由について「誰が私たちファミリーのことをそこまで知りたいと思う?」とのこと。
今回の流出問題後、周囲の友人数名(アクティブユーザー)にフェイスブックを今後どうするつもりか聞いてみたところ、いずれも「削除する予定はない」とのことだった。その理由としては、「昔の友人と再び繋がることができたのはフェイスブックのおかげだから」「世界中に散らばった留学時代の友人と交流が持てているから」「仕事のPRにも役立っているから」などという理由だった。中には、男性で「素敵な女性に出会って、電話番号はなかなか聞きづらいけど、フェイスブックの交換ならしやすい」と言ったツワモノもいる。
また最近、別の取材で30代で成功している男性シェフに会った際、若者へのメッセージとして彼が言ったのは、「特に若い人には、SNSをあまり見ないようにと伝えたい。SNSで他人ばかりが華々しく成功しているように感じ、自分の人生と比べて落ち込んでしまうから」ということだった。成功者でもこのようなことを言うのだ(実際の記事ではシェフの意向で、このコメントは削られてしまった)
さて、フェイスブックを使って今年で10年になる私はというと、周囲の友人らと同様の理由で、アカウントを削除する予定は当面ない。日本の友人や親戚、元同僚らと国境や時差を微塵も感じずに交流ができているのはフェイスブックのおかげであるし、こうやって記事を書けば、一斉に友人に知らせることができるのもとても便利だ。ただし、フェイスブックページを惰性で開き、気づいたら数時間経っていたという、時間を浪費する使い方はしたくない。
いくつか利用することのデメリットも当然あり、今後も個人情報を盗まれる可能性は秘めているものの、やはり使い方次第では大いにメリットをもたらしてくれるフェイスブック。あなたは今後フェイスブックとどう向き合っていきますか?
(Text by Kasumi Abe) 無断転載禁止