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【特別対談】プロフェッショナルのキャリアfin「Naver too Late」森本千賀子×倉重公太朗

倉重公太朗弁護士(KKM法律事務所代表)

【前回までの記事はこちら】

Vol.1:https://news.yahoo.co.jp/byline/kurashigekotaro/20180730-00091270/

Vol.2:https://news.yahoo.co.jp/byline/kurashigekotaro/20180731-00091384/

vol:3:https://news.yahoo.co.jp/byline/kurashigekotaro/20180802-00091534/

vol.4:https://news.yahoo.co.jp/byline/kurashigekotaro/20180803-00091798/

vol.5:https://news.yahoo.co.jp/byline/kurashigekotaro/20180806-00091801/

vol.6:https://news.yahoo.co.jp/byline/kurashigekotaro/20180807-00091804/

倉重:これからの時代を生き抜くにあたって必要なのは、自分のキャリアを会社任せにせずに、向き合う姿勢ですよね。

森本:そうですね。覚悟、と言っても良いかもしれませんね。現に今はご主人の給料だけじゃやっていけない時代なんですよ。教育にもものすごいお金がかかりますし、もしかしたら今の子供たちが大人になるころにはフロアの半分ぐらいは外国人かもしれないですよ。

倉重:確かに。

森本:そうしたらもう英語がしゃべれるなんていうのはアドバンテージでもなくて、もう当たり前。ということは留学したいと言われたらさせてあげないと、親の務めが果たせないという。今、じゃあ1人、留学させようと思ったらどれだけのコストがかかるかということを考えても、共働きしないとそういうチャンスさえあげられない。特に女性の方でいうと今多いのは3組に1組はバツイチなんです。手に職とか収入の確保がないとその選択肢も取れないということです。

倉重:やっぱり女性の重要なキーは自立できるかという話ですよね。

森本:そうなんですよ。もう自立できるかどうかによって、自分の将来の人生の選択肢が大きく変わるんですよね。

倉重:確かに旦那さんの給料で生活するというふうになり過ぎると。

森本:もうその道でしか生きていけなくなるので。

倉重:DVでも耐えねばならぬとかね。

森本:耐えねばならないです。そうです。自分の人生の選択肢を増やす上でも広げる上でもちゃんと手に職を持っておかなきゃいけないということだと思っているんですよ。かつ、切らさないでほしいんです。できれば。細くてもつながっておくというのが大事で。

倉重:働き方は変わるかもしれないけれども、できる範囲で何かしらつながっておこうと。

森本:切らさない。社会とつながっておくというのが大事なんだと思います。

倉重:でも森本さん自身もお子さんが誕生したときに、子供預けたりとか、子供と離れて仕事する意味って何なのとすごく考えられたんじゃないですか?

森本:はい。思いました。

倉重:ぜひその話を。

森本:実際に長男が生まれて、復職の為に保育園に預けに行った初日のことです。長男がそれはそれは大きな声で泣き止まないんです。後ろ髪惹かれながらも、保育園を後にして、出て行った時のことです。涙が流れてきたんす。そこまでしてやる「働く意味」は何だろうと。長男は、自分で行きたくて行っているわけではない。恐らくママと離れたくないと思っていたと思うんです。そこまでして仕事をする意味、私にとっての大義って何だろうと本当にそう思ったんです。

私が子供たちにできることというのは、ある意味、ずっと一緒に肌身離さずそばにいるということよりも、生き生きとした大人でいること。そういう背中を見せることだなと思っていています。子供たちが希望を持つのはそういう背中を見ながら「早く大人になりたい」、「人生は希望に満ちている」、「すごくエキサイトする世界がある」というふうに思わせてあげることかなと思っているんですね。

我が家では、子どもたちと一緒にいる時間は、極端に少ないんです。夜もシッターさんにお願いしたりとか。その分、自立の芽が芽生えたのもほかのお子さんよりもすごく早くて、上の長男は今、中学3年生なんですけれども、もう料理とかできちゃうんですよ。お腹空きますからね。お腹空いたらやるしかないですよ、もう本当に。

倉重:生きていくためにはね。

森本:クックパッドとかがあるわけですよ。あれを見たら、とにかく分量とかでなんとかなる。

倉重:指示どおりにやればね。

森本:指示どおりやっていけば、もう、レゴブロック作るのと変わらないんです。同じなんですよ。ゲームの取説に慣れているんで。勉強しろなんて一回も言ったことないですよ。ママには頼れない。だとしたら、試験の計画も全部自分で組み立ててやらないと、要はそもそも学校生活の中では成り立たないので、そういう知恵を自ら知らないうちに無意識の中で彼は培われているのだと思います。

倉重:何か結果論のような気もしますが(笑)結果的には良かったですね。

森本:そうなんですよ。だから、ないはないで(笑)。それが一つの教育なんだなと思ったんです。多分ずっと一緒にいたら色々口出していると思うんですよね。

倉重:そうですね。口出しし過ぎるとケンカとかになるじゃないですか。私もそうなんですけど、「何で分からないんだ!」とか、「何が分からないか言ってみろ!」とかダメなやつ(笑)

森本:ずっと一緒に居るともう親がやってくれて当たり前だと多分思っていると思うんですよね。

倉重:あえて口出ししない戦略ですな。

森本:はい。口出ししない。朝も起こさない。

倉重:え。もう遅刻しようが知ったこっちゃない?

森本:遅刻したら自分のせい。だからもう自分で先生に怒られない、嫌な気持ちにならないためにちゃんと自分で起きるという。

倉重:それもタイムマネジメントの一種ですかね。

森本:そうです。

倉重:それを子供のころから教えているんだと。

森本:本当に私、勉強しろって一回も言ったことないんですよね。でも長男は、気が付いたら最近では2時とか3時ぐらいまでやっていますよ。

倉重:いやぁ、いいお子さんで良かったですね。ぐれなくて良かった(笑)

森本:そう、本当ぐれなくて良かった(笑)。でも不思議なんです。どうしてぐれないんだろうと思って。

倉重:それは森本さんがいい背中を子供に見せてるからじゃないですか?

森本:としか思えないですからね、本当にね。

倉重:ってことにしましょうよ(笑)

森本:そうです。っていうことにしておいてください、本当に(笑)

倉重:でも子供が親を見てこういう大人になりたいな、っていうふうに思ってくれたら嬉しいですよね。

森本:そうですね。

倉重:私もやっぱり「パパみたいな人と結婚したい」って娘にと言われるとうれしいですよ、本当に。

森本:うれしいですよね(笑)。

倉重:さて、脱線が過ぎるようなのでそろそろ締めの方向に向かってきていますけれども、きょうのモリチさんのメッセージの中では、キャリアと本気で向き合う覚悟が大事だと。また、「Never too Late」この辺がキーワードになっているかなと思いますけれども、これからのもう本当に未知のステージへ日本経済も入っていく中で、一人一人の労働者、働く人々というのはどういう意識を持っていたらいいのかなというところを最後いただけますか。

森本:結局、収入のために一生懸命頑張っていても、ある意味、自分のモチベートみたいなものには限界があると思っていて、やっぱり究極は本当に自分は何のためにこの仕事をするのかということに立ち返ると思っています。私は本当に父の影響が大きくて、ちょうど私が小学生のときに脱サラをして、私が中学・高校生の頃 彼の背中をずっと見てきました。

 そもそも地方の中小企業なので、「人・物・金」苦労はしていたんですが、特に苦労していたのが「人」だったのです。思うように採用できない、やっと入社したと思ったらすぐに辞めてしまう・・・

 最も苦労していた「ヒト」の部分にフォーカスして、人のソリューションというのを私が自分の生業にしたいと思ったのです。ですので、あえてリクルートの子会社に入っているんです。中小企業の人の部分で応援しようと思って。

 父の背中を見てそこに行き着いたんです。それが私の究極の大義です。

 私にとっての大義とか何のためにやるのかということを、心に留め置くことができてからは、もうぶれなくなったんです。なので、そういう自分にとっての働く目的、大義やミッションをいつもしっかり考える、そういう働き方改革が必要だと思っているんです。

多分働きやすさとか、制度構築も大事なんですが、何より「働きがい」も大事ということです。

倉重:福利厚生が充実しているか、労働条件はどうか、有休が取れるか、とかじゃなくて。

森本:そうなんですよ。何で皆さんはこの仕事をやっているのかという、例えば会社にとってのビジョンだとか理念だとか、結果としてその個人にブレイクダウンしたときに、その人にとっての大義みたいなものを、しっかり認識しながら日々仕事ができているかということがすごく大事だと思っています。なので、そういう環境をどうやってつくっていけるかとか、日々そういうことを意識できるような啓蒙ができるかとかということが大事だなと思っています。

倉重:私もちょうど10月から弁護士として独立するので、そこでやりたいことは「労働紛争に弁護士として関与します!」というよりは、企業に対して、この先の従業員一人一人の価値を最大化するための施策を打つためのお手伝いというのをやっていきたいというのを個人的な大義としてやっていこうと思ってます。

森本:私も実は本当に独立した意味はそこなんですよね。どうしてもやっぱり組織の中にいると組織のルールがあって、ここからここまでしかできませんというのはしょうがないですよね、会社の中での一つの決められたドメインなので。でもおかしいなと。お客さんが求めるものはもっと違うところにあるのにと思って、そこの看板をあえて外して、制約のない中で、向き合っていこうと思ったので、まさに同じです。

倉重:そういうミッションだとか自分の中での大義ですよね。こういうのは会社ももちろん考えなきゃいけないけれども、労働者一人一人が自分は何のために働くんだろうかというのは常に考えておくべきだということですよね。

森本:そうです。

倉重:その時、「リトルホンダ」に従っていればきっといいキャリアになるんじゃないかなと思います。

森本:リトルホンダに!そうなんですよ。リトルホンダをちゃんと常に自分の中で考えることが大事だなと思っています。

倉重:というところでちょうど1時間になりましたので、きょうの対談はこの程度にしたいと思います。どうも今日はありがとうございました。

森本:こちらこそ、ありがとうございました。

                                                      (おわり)

対談協力:森本千賀子

1970年生まれ。獨協大学外国語学部英語学科卒。

1993年リクルート人材センター(現リクルートキャリア)に入社。転職エージェントとして、大手からベンチャーまで幅広い企業に対する人材戦略コンサルティング、採用支援サポート全般を手がけ、主に経営幹部・管理職クラスを求めるさまざまな企業ニーズに応じて人材コーディネートに携わる。約3万名超の転職希望者と接点を持ち、約2000名超の転職に携わる。

約1000名を超える経営者のよき相談役として公私を通じてリレーションを深める。累計売上実績は歴代トップ。入社1年目にして営業成績1位、全社MVPを受賞以来、全社MVP/グッドプラクティス賞/新規事業提案優秀賞など受賞歴は30回超。常にトップを走り続けるスーパー営業ウーマン。

プライベートでは家族との時間を大事にする「妻」「母」の顔 も持ち、「ビジネスパーソン」としての充実も含め“トライアングルハッピー=パラレルキャリア”を大事にする。

2017年3月には株式会社morich設立、代表取締役として就任。

転職・中途採用支援ではカバーしきれない企業の課題解決に向けたソリューションを提案し、エグゼクティブ層の採用支援、外部パートナー企業とのアライアンス推進などのミッションを遂行し、活動領域も広げている。

また、ソーシャルインベストメントパートナーズ(SIP)理事、放課後NPOアフタースクール理事、その他社外取締役や顧問など「複業=パラレルキャリア」を意識した多様な働き方を自ら体現。

3rd Placeとして外部ミッションにも積極的に推進するなど、多方面に活躍の場を広げている。

本業(転職エージェント)を軸にオールラウンダーエージェントとしてTV、雑誌、新聞など各メディアを賑わしその傍ら全国の経営者や人事、自治体、教育機関など講演・セミナーで日々登壇している現代のスーパーウーマン。現在、2男の母。

弁護士(KKM法律事務所代表)

慶應義塾大学経済学部卒 KKM法律事務所代表弁護士 第一東京弁護士会労働法制委員会副委員長、同基礎研究部会長、日本人材マネジメント協会(JSHRM)副理事長 経営者側労働法を得意とし、週刊東洋経済「法務部員が選ぶ弁護士ランキング」 人事労務部門第1位 紛争案件対応の他、団体交渉、労災対応、働き方改革のコンサルティング、役員・管理職研修、人事担当者向けセミナー等を多数開催。代表著作は「企業労働法実務入門」シリーズ(日本リーダーズ協会)。 YouTubeも配信中:https://www.youtube.com/@KKMLawOffice

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