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【特別対談】プロフェッショナルのキャリアvol.5「若者のキャリアを考えよう」森本千賀子×倉重公太朗

倉重公太朗弁護士(KKM法律事務所代表)

【前回までの記事はこちら】

Vol.1:https://news.yahoo.co.jp/byline/kurashigekotaro/20180730-00091270/

Vol.2:https://news.yahoo.co.jp/byline/kurashigekotaro/20180731-00091384/

vol:3:https://news.yahoo.co.jp/byline/kurashigekotaro/20180802-00091534/

vol.4:https://news.yahoo.co.jp/byline/kurashigekotaro/20180803-00091798/

倉重:キャリアというものは各世代にとっても多分捉え方がいろいろ違うんじゃないかなと思うので、世代別にフェーズを分けて伺いたいと思うんですけれども、まずは若い人やこれから社会に出る人に向けて、これからのキャリアをどういうふうに考えていったらいいかという点について、森本さんのお考えはいかがでしょうか。

森本:昔はもう「正社員が全て」という時代もあったんですけれども、今はそういう時代ではなくなっていますね。例えば契約社員だったり業務委託だったり、企業側もこだわらなくなってきているし、働く側のほうも別に正社員に固執するわけでもなくて、本当に自分が生かされる道だったらば、業務委託だったり何なりでもいいという、もう働く雇用システムだとかワークスタイルとかというのがすごく今、自由になっているわけです。なので、今、何か大学卒業したらみんなが就職活動、うわーっと行って、何となくもうどこかで就職しないといけないみたいな状況はどうかと思います。

 新卒一括採用で急いで探して急いで入っても大体3年以内に3分の1が辞めているんですよね。なので、もっと働くということを手前の段階、例えば中学とか小学生とかから考えて、ちゃんと雇用形態とか雇用システムとか、起業するとか、自分はどうしたいのか、どうするのが自分にとって幸せなのかというのを考える機会をちゃんと持って欲しいんですよね。正社員のサラリーマンというのが一つの典型的なモデルじゃない、ちゃんと自分の生かされる姿みたいなのをちゃんと持っていてほしいんです。

倉重:私も大学で学生さん向けにキャリア教育をやることがあるんですけれども、やっぱりこの話を伺ってみると、結構やっぱり安定志向というか、大企業の正社員になりたいという希望を持つ学生さんが多いですね。

森本:今も昔と変わらずめちゃめちゃ多いです。でも、じゃあすごく偏差値の高い大学を出て、人気企業ランキングの上位の企業に入った人たちが本当に皆さんハッピーになっているかというと、決してそうじゃないという現実も見ています。本当にその人のやりたいウィル・想いみたいなものを生かせる場所って、多様にあるので、それをもっと早くから考える機会をつくって、意識してほしいと思います。

倉重:特に今おっしゃった新卒一括採用だと、決められた一時期に「わーっと」やって、「わーっと」内定をいくつも取って、「わーっと」どこに入るか決めるじゃないですか。その中で必ずしもそれが100%いい選択かどうかというのは分からないですよね。

森本:そうなんです。

倉重:多分、実際に働いてみないと自分にフィットするかどうか分からないですよね。そうすると、よく言うんですけれども、新卒で入る会社というのは、「最初に付き合う彼氏、彼女」みたいなもんだと思うんですよね。とすると、新卒で入った会社に定年までいるってのは、最初に付き合った人と結婚するんですかという話じゃないですかということですよ。もっと色々な人と付き合って結婚は決めるもんでしょう(笑)

森本:まさに!(笑)

倉重:だから、新卒採用でうまくいかなかったとなるともう死ぬしかないみたいに思っている人もいるんですが、必ずしもそう思わなくていいと思うんですよね。

森本:その通りです!

倉重:あとやっぱり非連続の時代になってきたなと思うんですよね。これまでの常識が通用しない。先輩がやってきたことを繰り返して自分たちの未来はあるのだろうか?ということですよね。過去の延長線上に未来がないという感覚をきっと多くの方はうすうすと感じているんじゃ無いかと思います。そんな不確実性の時代に、日本経済が辿っていく道を考えてみると3年後以上のことってもう分からない時代だから、この会社に入っていれば一生安泰だなんて誰も言えないですよね。

森本:言えないです。ちょうど私が25年ほど前、就職活動していたときにあった会社はもう、合併してなくなっている会社もありますし、社名も変わったり、業界も変わったりということもあります。よくIoTで業界の垣根がなくなるなんて言われてますが、本当にそんな環境なので、5年、10年先は分からないですね。

倉重:そうですね。なので今の正解が未来の正解とは限らないんですよね。今の最大限の希望の中で、幾ら選んで考えても、そして理想の就活として第一希望の企業に入ったからって、その後、10年や20年、ましてや30年、40年後のことは誰も保証できないわけです。

そうすると、そこで大事になってくるのは、いわゆる人気企業に入ることではなくて、自分のウィル・想いに合致しているかという部分ですね。私は、「自分の中のリトルホンダに聞いてみろ」とよく言っているんですけれどもね(笑)。

森本:ホントそうですね!(笑)

倉重:結局、自分が納得するかどうかっていう話じゃないですか。

森本:正に自分がどうかって話です。

倉重:多分、自分と内省して、自分と対話してみて、本質的に何がしたいかっていうのを問い続ける作業が必要ですよね。でもそれって多分、常に変わっていくものだと思うので、学生の時に考えることと、新卒3年目で考えること、10年目・20年目で考えることは違って当然ですよね。

森本:そうですね。

倉重:二十歳のころに決めたからって一生同じでないといけないことないし。

森本:環境によっても変わるし。

倉重:重要なのは「いいかな」と思うものが見つかったときに、そこで変われるようなマインドセットがあるのか。あるいは勉強するような素地があるというか、変化対応力があるかというのが大事だということですね。今の仕事や過去の成功体験に縛られていると、自分の想いも逃してしまうと思います。

森本:そうなんです。一つの考え方として、マイノリティー戦略という考え方は本当にあるなと思うんです。競合がたくさんいるような、例えば大手企業だと同期が何百人とかいるわけですよ。その中で1番になろうとすると、よっぽど何か秀でるもの、例えば抜群に頭がいいとか賢いとか、運が付いてるとかということじゃないと無理ですよね。

倉重:実力以外の運の要素も大きいですからね。

森本:でも同期がとても少なくてという中小企業やベンチャーだと、例えば仮に海外駐在という機会なんかも、もしかしたら容易に手に入る可能性もあったりするわけです。

倉重:確かに。中小企業もがんがん海外に出ていますからね、今。

森本:そうなんです。なので、隠れたそういう例えばBtoBのみんなが普段目にしないような優良企業とか、あと今だったらベンチャー。

 今、やっぱり大手だとどうしても働き方改革の一環で特に新入社員は残業す るな!なんですよ。

倉重:そうなんですよね。新人教育できなくなっているんですよね。

森本:そうなんです。なので、5時半になったらみんな帰れみたいな感じに今、なっているので。正直、その中でちゃんと意識を持ってやればいいですけれども、やっぱり働く時間が短いということはそれだけトレーニングされる時間も短いということなので。

倉重:だから、働き方改革の残業規制って実は、「酷だな」とも思うわけです。昔だったら会社入って、「うわー」って鍛えられて、先輩の姿見て、遅くまでやってって、美化するわけじゃないけれども、それで身に付いたという鍛えられる環境がなくなるわけじゃないですか。定時で帰れと言われる中で、あとは自分で意志を持って勉強する人は伸びるし、やらない人は伸びないし、自律的に学ぶ人とそうで無い人ですごい差が付いちゃうと思うんです。

森本:そうなんです。あと実践の中である程度身に付くことってあると思っていて、特にやっぱりいきなり質には転化できなくて、量をある程度やった中で工夫が生まれるというか、こういうふうなやり方をやればより効率がいいんだなとか、生産性が高いんだなと、答えに気付くんだなと分かるんですけれども、それができない今の若い人たちは、逆に言うとかわいそうだなと思うんです。とすれば、ある程度その辺りが柔軟なベンチャー企業に行ったほうがもしかしたら20代は伸びるのかもしれないという。それは現にやはりそう言えると思います。

倉重:だからやっぱりベンチャーがいい、大企業がいいというのは正解がなくて、人によるし、時期によるしとか、本当にタイミングによるので、何か常にその時にベストな選択をしようと考えていればそれでいいのかなと思うんですよね。

                                                    (第6回へつづく)

対談協力:森本千賀子

1970年生まれ。獨協大学外国語学部英語学科卒。

1993年リクルート人材センター(現リクルートキャリア)に入社。転職エージェントとして、大手からベンチャーまで幅広い企業に対する人材戦略コンサルティング、採用支援サポート全般を手がけ、主に経営幹部・管理職クラスを求めるさまざまな企業ニーズに応じて人材コーディネートに携わる。約3万名超の転職希望者と接点を持ち、約2000名超の転職に携わる。

約1000名を超える経営者のよき相談役として公私を通じてリレーションを深める。累計売上実績は歴代トップ。入社1年目にして営業成績1位、全社MVPを受賞以来、全社MVP/グッドプラクティス賞/新規事業提案優秀賞など受賞歴は30回超。常にトップを走り続けるスーパー営業ウーマン。

プライベートでは家族との時間を大事にする「妻」「母」の顔 も持ち、「ビジネスパーソン」としての充実も含め“トライアングルハッピー=パラレルキャリア”を大事にする。

2017年3月には株式会社morich設立、代表取締役として就任。

転職・中途採用支援ではカバーしきれない企業の課題解決に向けたソリューションを提案し、エグゼクティブ層の採用支援、外部パートナー企業とのアライアンス推進などのミッションを遂行し、活動領域も広げている。

また、ソーシャルインベストメントパートナーズ(SIP)理事、放課後NPOアフタースクール理事、その他社外取締役や顧問など「複業=パラレルキャリア」を意識した多様な働き方を自ら体現。

3rd Placeとして外部ミッションにも積極的に推進するなど、多方面に活躍の場を広げている。

本業(転職エージェント)を軸にオールラウンダーエージェントとしてTV、雑誌、新聞など各メディアを賑わしその傍ら全国の経営者や人事、自治体、教育機関など講演・セミナーで日々登壇している現代のスーパーウーマン。現在、2男の母。

弁護士(KKM法律事務所代表)

慶應義塾大学経済学部卒 KKM法律事務所代表弁護士 第一東京弁護士会労働法制委員会副委員長、同基礎研究部会長、日本人材マネジメント協会(JSHRM)副理事長 経営者側労働法を得意とし、週刊東洋経済「法務部員が選ぶ弁護士ランキング」 人事労務部門第1位 紛争案件対応の他、団体交渉、労災対応、働き方改革のコンサルティング、役員・管理職研修、人事担当者向けセミナー等を多数開催。代表著作は「企業労働法実務入門」シリーズ(日本リーダーズ協会)。 YouTubeも配信中:https://www.youtube.com/@KKMLawOffice

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