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“日本キラー”キム・グァンヒョンのメジャーリーグ初挑戦は新型コロナで前途多難?今はどうしているのか

金明昱スポーツライター
今季、メジャーリーグのカージナルスに移籍したキム・グァンヒョン(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

 韓国を代表する左腕で“日本キラー”と呼ばれるキム・グァンヒョンが、韓国プロ野球(KBO)のSKワイバーンズから今季、メジャーリーグのセントルイス・カージナルスに移籍した。

 だが、新型コロナウイルスの感染拡大の影響でメジャーリーグの開幕が不透明な状況となり、キム・グァンヒョンはこのままアメリカに残るか、一旦韓国に帰国すべきか頭を悩ませている。

 海外初挑戦で結果を残そうと意気込んでいたが、出鼻をくじかれてしまった形だ。

 彼のことを日本のファンを記憶している人も多いと思う。2008年の北京五輪では日本戦で2度先発し、金メダル獲得の原動力となった。“日本キラー”と呼ばれたのはこの時からだ。

 韓国では通算136勝をマーク。今年の「第2回 WBSC プレミア12」にも出場し、決勝戦の日本戦には出場しなかったが、準優勝に貢献した。

 オーバースローから、ストレートと縦に鋭く落ちる高速スライダーが武器で、最速155キロ。カーブやチェンジアップも投げることができる。そんな彼が悲願だったメジャーリーグの地を踏んだ。

 31歳。少し遅い挑戦とも思えるが、カージナルスとは2年契約を結んだ。契約金の総額は800万ドル(約8億7600万円)で、期待値の高さをうかがわせてくれる。

 2月のメッツとのオープン戦でも5回から3番手で登板。1イニングを無安打2奪三振無失点と好投。31歳にして悲願のメジャーリーグ初挑戦も順調にいくと見られていた。

珍しくインスタグラムで心情を吐露

 だが、新型コロナウイルスの感染拡大でメジャーリーグの開幕が延期となり、公式戦デビューはおあずけになった。

 キムはSNSのインスタグラムを開設し、先月24日にこんな心情を吐露している。

「私にだけ不幸が訪れたような時期。これもまたいつか過ぎ去るだろう…。そう何度も繰り返し言っても慰めにはならない。毎日反復してきた練習、毎日同じ日常を過ごした私が、他の人よりも多くの成功と失敗を経験したと思っている。なので、どんな試練が訪れても我慢し、耐えることを知った。辛いとはいえ、ここはまた耐えなければならない。新しいことに適応していくこと、また、予想外の出来事にぶち当たるのは、本当に大変なことであるのは間違いない。この機会に、私は再び自分のことを振り返ることができたようだ。うぬぼれできた私にムチを、自分のメンタルをもう少し強くする機会でもあるようだ。これからより大きな幸福と幸運を逃さないためにも、今から(開幕を)迎える準備をしようと思う。今はそれがすべてだと思う」

 韓国時代からSNSを使わない選手として知られていただけに、現在の心境をこうして世間に伝えたことは、かなり衝撃だったようだ。

帰国すれば古巣が「手助けする」

 総合ニュースサイト「デイリーアン」は「通常の練習も難しくなり、韓国行きを悩んでいると伝えられているが、アメリカの国境閉鎖の可能性もあるため、帰国を決められずにいる」と伝えている。

 新型コロナが収まる気配がないアメリカに残っても十分な練習ができないとあって、古巣のSKワイバーンズのソン・チャフン団長はキムが帰国すれば「もちろん手助けをする」と語っており、韓国では練習環境が保証されている。

 ただ、メジャーリーグの開幕がいつになるか決まらない状況で、簡単には韓国行きを選択できずにいるのが実情だ。

 アメリカでは外出もままらならい状態で調整は難しいかもしれないが、なんとかして万全な状態を保ってもらいたいところだ。

 カージナルスや韓国ファンは、キムがメジャーのマウンドの地を踏む日を心待ちにしている。

スポーツライター

1977年7月27日生。大阪府出身の在日コリアン3世。朝鮮新報記者時代に社会、スポーツ、平壌での取材など幅広い分野で執筆。その後、編プロなどを経てフリーに。サッカー北朝鮮代表が2010年南アフリカW杯出場を決めたあと、代表チームと関係者を日本のメディアとして初めて平壌で取材することに成功し『Number』に寄稿。11年からは女子プロゴルフトーナメントの取材も開始し、日韓の女子プロと親交を深める。現在はJリーグ、ACL、代表戦と女子ゴルフを中心に週刊誌、専門誌、スポーツ専門サイトなど多媒体に執筆中。

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