香川に見る、日本が陥りやすい罠
依然、出場機会に恵まれない香川。その理由を、彼自身の問題ではなく、マンUのサッカーのせいにする声をよく耳にする。
彼のプレイスタイルとマンUのサッカーは合っていない。この程度の言い回しなら、気にならないが、報道の中には、マンUのサッカーを悪くいうものも目につく。強気というか、身贔屓というか、自己中心的というか、香川の不満を代弁するかのような、中立公正とは言えない報道だ。
先日読んだ新聞は、マンUのサッカーを次のように記していた。「身体能力に頼るクロス一辺倒のサイド攻撃」。監督采配を否定する言い回しだ。確かに、モイーズ監督は結果を出せずにいる。批判されても致し方ない状態にある。
しかし、そのレベルダウンはいまに始まった話ではない。
ファーガソンが指揮を執った最後の2年は、明らかに下り坂に入っていた。プレミアリーグの結果は2位と優勝。決して悪くないが、チャンピオンズリーグに目を転じれば、如実になる。グループリーグ落ちとベスト16。決勝に進んだ08〜09、10〜11シーズンと比較すると大きくトーンダウンしている。
昨季の決勝トーナメント、対レアル・マドリー戦にそれは現れていた。通算スコアは2対3。だが、内容的には1レベル以上の開きがあった。もう一度戦っても勝てそうな感じはしなかった。プレミアのチームは総じてこの傾向があったので、プレミアリーグ内では明らかになりにくかったが、欧州サイズでものを見ると明白だった。マンUが最近の2シーズンで、ピークを過ぎたチームに成り下がったことが。
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