「ヘッドホン難聴」を予防せよ!~ヘッドホン・イヤホンの選び方
iPodのヒットと共に、ヘッドホンやイヤホンで音楽を聴く人口が爆発的に増えた。さらに、こうした新しい携帯型音楽プレーヤーは、ポケットに数千もの膨大な曲が収められ、バッテリーの持続時間も数十時間と長いため、長時間音楽を聴き続けられるというメリットももたらした。
しかし、より多くの人々が、より長時間聴き続けられるがために、社会全体として難聴のリスクが高まっている。大き過ぎる音量を長時間聴き続けると聴力が低下する「騒音性難聴」を引き起こすことは広く知られているが、ヘッドホンやイヤホンのユーザーの中には、それを知らない若年層もいるだろう。
特に筆者が心配なのは、周囲が騒々しい電車やバスの中でのリスニングである。イヤホンやヘッドホンから流れる音楽が聞こえづらく、ついついプレーヤーのボリュームを上げて、大音量になりがちだ。
以下のサイトでは、医師が「大音量で長時間音楽を聴くことは、耳への暴力」として、 次の3点を指摘している。
また、予防策として、次の4点を挙げている。
上記の医師の指摘を踏まえ、オーディオの専門家である筆者が、騒音の多い電車やバスの中でのリスニングにお勧めしたいのが、「ノイズキャンセリングヘッドホン」や「カナル型イヤホン」の上手な活用である。
ノイズキャンセリングヘッドホンは、周囲の騒音を電気的に打ち消す機能を持っている。イヤホンもある。
具体例を示すと、ノイズキャンセリング効果と音質の両面で人気なのが、Bose社のノイズキャンセリングイヤホン「QuietComfort 20 NC」がある。(製品紹介記事:All About Bose QuietComfort 20 NCヘッドホン レビュー)
電気回路を動作させるために、充電が必要だが、周囲の騒音低減効果は、体験した誰もが驚くほど劇的である。
「カナル型イヤホン」とは、耳栓のように外耳道にスッポリと挿入して装着するイヤホンで、さらに、スポンジのように柔らかい「フォームタイプ」と呼ばれるチップ(耳穴とイヤホンの隙間を埋めるアダプター)を組み合わせると、高い遮音性能が得られる。
原則、通常のイヤホンなので、イヤホン自体は電源が要らず、ノイズキャンセリングタイプのように充電が不要と手軽だ。
これらの高い騒音遮断を活用すれば、周囲の騒音が大きな電車やバスの中でも、イヤホンからの音楽が聞こえ易くなる。音楽が聞こえ易くなると、音楽の音量を小さく設定できるようになる。
もちろん、医師の指摘通り、長時間聴き続けない、耳を休ませる、などにも充分に留意した上でだが、イヤホンの種類を選ぶことで、さらに音量を低減できれば、より安心だろう。
一度低下した聴力は戻らないとされている。自身の予防、周囲へのアドバイスなどを積極的に行い、社会全体で騒音性難聴のリスク低減に務めたいものだ。
ヘッドホンやイヤホンは、手軽に音楽を楽しむ素晴らしい手段の一つ。正しい認識を持ち、末永く楽しいんで欲しいと思う。