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「今年の本塁打王」がポストシーズンでは20打数1安打、ホームランなし。チームは勝ち進んでいるが…

宇根夏樹ベースボール・ライター
トラビス・ダーノー(左)とカイル・シュワーバー Oct 12, 2022(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

 今シーズン、カイル・シュワーバー(フィラデルフィア・フィリーズ)は、46本のホームランを打ち、本塁打王のタイトルを獲得した。ア・リーグの本塁打王、アーロン・ジャッジ(ニューヨーク・ヤンキース)と比べると、16本少ないものの、両リーグで2番目に多く、3位タイのピート・アロンゾ(ニューヨーク・メッツ)とマイク・トラウト(ロサンゼルス・エンジェルス)には6本差をつけた。

 ただ、本塁打王として迎えたポストシーズンで、シュワーバーは打てていない。ここまでの6試合ともホームランはなく、ヒットはシングルが1本だけ。20打数1安打、打率.050だ。ちなみに、ジャッジの場合、ポストシーズン最初の2試合はヒットが出ず、9打席で7三振を喫したが、ディビジョン・シリーズ第3戦にホームランを打った。

 とはいえ、フィリーズは、ワイルドカード・シリーズとディビジョン・シリーズを制し、リーグ・チャンピオンシップ・シリーズ進出を決めている。今のところ、シュワーバーの打撃は、問題にはなっていない。6試合中、完封負けが1試合ありながら、フィリーズの1試合平均得点は5.3だ。なかでも、ブライス・ハーパーは、ホームランと二塁打を3本ずつ打ち、23打数10安打(打率.435)を記録している。

 もともと、シュワーバーは、打率の高い選手ではない。8シーズンの通算打率は.233。今シーズンの打率.218は、両リーグで9番目に低い。パワーに関しても波があり、6月と7月は2ヵ月続けて二桁のホームランを打ち、9月以降も二桁ながら、その間の8月は3本に終わっている(4月は5本、5月は6本)。

 また、ポストシーズンでも、貢献度ゼロというわけではない。ワイルドカード・シリーズの2試合は、どちらも犠牲フライで打点を挙げた。ディビジョン・シリーズの第3戦と第4戦は、3四球(うち2度は敬遠)と2死球を記録し、ヒット1本と併せ、計9打席で6度出塁している。ここまでの6試合とも、打順とポジションは「1番・レフト」だ。

 シュワーバーは、過去に出場したポストシーズン、2015~18年と2020~21年の計35試合で、9本のホームランを打っている。その6本目、2017年のリーグ・チャンピオンシップ・シリーズ第3戦の1回裏に、2番打者として記録した先制本塁打は、ダルビッシュ有(当時ロサンゼルス・ドジャース/現サンディエゴ・パドレス)が相手だった。

 フィリーズは、10月18日に始まるリーグ・チャンピオンシップ・シリーズで、パドレスと当たる。このシリーズは、シュワーバーとダルビッシュの対戦から幕を開けるはずだ。

ベースボール・ライター

うねなつき/Natsuki Une。1968年生まれ。三重県出身。MLB(メジャーリーグ・ベースボール)専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランスのライター。著書『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

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