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東京都が食品ロスもったいないフェスタ、小池都知事とFAO事務所長登壇、NTTドコモやフードバンク出展

井出留美食品ロス問題ジャーナリスト・博士(栄養学)
食品ロスもったいないフェスタで小池都知事とFAO日本事務所長ボリコ氏(筆者撮影)

2018年3月21日(祝)、東京都は、食品ロス削減に向けて、都民に、その重要性や取り組みを知ってもらい、具体的な行動を呼びかけることを目的として、「東京都食品ロスもったいないフェスタ」を、JR有楽町駅前の国際フォーラムで開催した。

会場には、テレビ局や新聞記者など、多くのメディアが駆けつけた。

ブースを訪問する小池百合子都知事を撮影するメディアの方たち(筆者撮影)
ブースを訪問する小池百合子都知事を撮影するメディアの方たち(筆者撮影)

イベント概要は次の通り。(東京都公式サイトより引用

日時:2018年3月21日(水曜)春分の日 10時00分~16時00分

場所:東京国際フォーラム(東京都千代田区丸の内3丁目5-1、JR有楽町駅すぐ)

プログラム:

(1) オープニングセレモニー(10時00分~10時20分)

東京都知事  小池百合子氏

来賓代表 国際連合食糧農業機関(FAO)駐日連絡事務所所長 ンブリ・チャールズ・ボリコ (Mbuli Charles Boliko)氏

小池百合子都知事(左)とFAO駐日連絡事務所長、チャールズ・ボリコ氏(右)
小池百合子都知事(左)とFAO駐日連絡事務所長、チャールズ・ボリコ氏(右)

(2) ミニトークショー(11時00分~、15時00分~)

午前:東京都食品ロス削減パートナーシップ会議メンバー

午後:食材をうまく使い切るレシピなどに詳しいおうち料理研究家 みきママ(藤原美樹)さん

午前の部(11時から11時40分まで)登壇する東京都食品ロス削減パートナーシップ会議メンバーと、それを聴く人たち(筆者撮影)
午前の部(11時から11時40分まで)登壇する東京都食品ロス削減パートナーシップ会議メンバーと、それを聴く人たち(筆者撮影)

(3) 食品ロス削減に取り組む企業や団体による展示会

東京都食品ロス削減パートナーシップ会議メンバー、フードバンク等活動団体、東京都持続可能な資源利用に向けたモデル事業受託事業者、国際連合食糧農業機関(FAO)駐日連絡事務所、省庁、東京都

挨拶する小池百合子都知事(筆者撮影)
挨拶する小池百合子都知事(筆者撮影)

東京都知事、小池百合子氏の挨拶の概要は次の通り。

今日は皆さん、いろんな情報を仕入れて、お腹いっぱいになって帰ってください。

おととい、平昌(ピョンチャン)から帰ってきた。これから2020東京オリンピック・パラリンピックの開催に向けて、選手村で、どうやって日本の食材を余ることなく、工夫しながら運営をしていこうか、ということを考えている。

日本の食料自給率は38%と言われている。野菜など、自給率の計算の仕方がどうかという(疑問)はあるが。

日本の食品ロスは年間621万トン。これが、捨てられている。我が家では(食事で)少し残った野菜は、うちのワンちゃんが食べている。少し気をつけるだけで、食品ロスを減らすことができる。世界の様々な事情を考えれば、この状況を変えていかなければならない。「その一口がなんとかになる」とは言うが、(昔は)おばあちゃんが「お米一粒残すと叱られるよ」と言っていた。

今日のこのイベントで、さらに、新しい(食品ロス削減の)知識を取り入れていただきたい。みんなで努力することが、食品ロスが減ることに繋がる。皆さんの食卓が内容ともに豊かになるように。

「エシカル消費」という考え方がある(筆者注釈:エシカルとは倫理的な、という意味)。人間の愛や道徳と言うのをひっくるめて「エシカル」な消費、買い物の仕方というのを、東京都では、消費生活の柱に据えている。今日1日、食品ロスに思いを馳せていただきたい。また今日だけでなく、これからも食品ロスのことを考えていただきたい。

出典:小池百合子都知事のご挨拶より筆者まとめ

FAO駐日連絡事務所所長 ンブリ・チャールズ・ボリコ氏(筆者撮影、写真真ん中で立って話している)
FAO駐日連絡事務所所長 ンブリ・チャールズ・ボリコ氏(筆者撮影、写真真ん中で立って話している)

国際連合食糧農業機関(FAO)駐日連絡事務所所長 ンブリ・チャールズ・ボリコ氏の挨拶の概要は次の通り。

FAOは、2011年、世界全体でのヒト(人間)向けに生産された食料のうち、およそ3分の1、量にしておよそ13億トンが失われ、捨てられているとした報告書を発表した。

一方で、現在、約8億1500万人が、栄養不足の状態に置かれている。世界中で、ロスされている食料のうち、4分の1が利用されるだけで、世界の飢餓人口を十分に養うことができる。

もう一つ心に留めておきたいのは、日本を含めた先進国では、小売から消費者段階まで多くの食料が捨てられているということ。食料を生産するために使われた水や土地、肥料、エネルギー、労力など、それらすべてが無駄になってしまう。でも、それだけではない。廃棄された食料を焼却するために、温室効果ガスを発生させている。食料ロス・廃棄を一つの国としてたとえると、生産から廃棄までに排出された温室効果ガスは、中国、アメリカに次いで、第三位となっている。

(前述のFAOの)レポートを読んで、2013年から、(自分は)“食料廃棄ゼロ”を実践している。何をしているのか?とてもシンプルなこと。たとえば、買い物に行く前に、まず、1週間の予定を考えながら、買い物リストを作ることにしている。料理するときに、剥いたり切り落としたりして捨てる部分は最小限になるようにしている。夕飯などで料理が残った場合、次の日のお弁当に入れて、決して捨てない工夫をしている。このように、身近なところから(食品ロスを減らすことを)やっている。小さなことでも、ちりも積もれば山となる。今日からできることをやりましょう。

持続可能な目標、SDGs(エスディージーズ)ということが世界で言われている。持続可能な世界を実現するために、2030年までに17の目標達成に取り組んでいる。この(12番目のゴールの)中に、小売と消費レベルにおける、世界の食料廃棄を半減させるというターゲット(筆者注釈:12.3)がある。

FAOは、様々なステークホルダーと取り組んでいる。東京都には、ロールモデルとして、是非とも廃棄削減を推進していっていただきたい。2020年にはオリンピック・パラリンピックも控えている。より一層、連携を深めて参りたいと思っている。

出典:チャールズ・ボリコ氏のご挨拶より筆者まとめ

チャールズ・ボリコ氏のスピーチを初めて拝聴したのは、筆者がセカンドハーベスト・ジャパンの広報として「フードバンクシンポジウム」を開催し、FAO代表として挨拶して頂いた時だった。2018年2月2日に開催された食品ロスのシンポジウムでも、パネリストとして登壇されていた。日本語が堪能なだけでなく、お話しされる内容が「これを伝えるべき」という本質的なことである。話すだけでなく、ご自身で食品ロス削減に日常生活から取り組んでいらっしゃり、その姿勢を尊敬している。

各ブースの多くも賑わっていた。

企業

2018年1月に多くのメディアが取り上げたのが、株式会社NTTドコモの取り組み「EcoBuy(エコバイ)」だろう。

スマートフォンのアプリを活用し、賞味期限や消費期限が近づいている食品を購入した消費者にポイントを付与し、食品ロスを減らす仕組み「EcoBuy(エコバイ)」について、2018年1月19日から2月28日まで、都内店舗で実証実験を行なった。

参考資料:

アプリで食品ロスを削減する実証実験を開始

株式会社NTTドコモはスマートフォンアプリを活用し、賞味期限や消費期限が近い食品を購入した消費者にポイントを付与し、食品ロスを減らす取り組み「EcoBuy」の実証実験を行なった(筆者撮影)
株式会社NTTドコモはスマートフォンアプリを活用し、賞味期限や消費期限が近い食品を購入した消費者にポイントを付与し、食品ロスを減らす取り組み「EcoBuy」の実証実験を行なった(筆者撮影)

NTTドコモの方によれば、購入してポイントをもらうだけにとどまらず、食品を食べたかどうかを登録し、登録しないとプッシュ通知(お知らせ)が来るところが注目点とのことだった。確かに、買ったはいいが、家庭で消費せずにロスになってしまってはもったいない。

山崎製パン株式会社は、食品ロスの発生抑制につながる生産物流体制の紹介や、製品を作る時に発生するパンの耳の有効利用の事例について紹介していた。会場ではアンケートに回答した人が帰る際、お菓子のプレゼントがあり、そこで、山崎製パンのパンの耳を活用した「ちょいパクラスク」(賞味期限:2018年7月6日)と、江崎グリコのショートブレッド(賞味期限:2018年6月)が配布されていた。

山崎製パン株式会社のブースではテレビ撮影(収録)が行われていた(筆者撮影)
山崎製パン株式会社のブースではテレビ撮影(収録)が行われていた(筆者撮影)

自治体

自治体では、荒川区、葛飾区、台東区、立川市、八王子市、全国おいしい食べきり運動ネットワーク協議会、東京都環境局がブースを出しており、環境省が毎年3月末に発表している、全国の自治体の「一人一日あたりのごみ発生量」が、人口50万人以上の区分で最も少ない八王子市は、「ごみ減量全国一位」ののぼりを立ててブースを出展していた。

東京都のごみ削減の取り組みに詳しい方に伺うと、23区内は、燃やして埋める場所があるので、あまり切羽詰まっておらず、逆に多摩地区と言われる西の方が熱心に取り組んでいるとのことだった。

「ごみ減量全国1位」の のぼりを立てていた、東京都八王子市のブース(筆者撮影)
「ごみ減量全国1位」の のぼりを立てていた、東京都八王子市のブース(筆者撮影)

筆者は、2018年2月に八王子市に2回、葛飾(かつしか)区に1回、講演に伺った。葛飾区も、区民の方が熱心に取り組んでいる様子がわかった。

葛飾区のブース(筆者撮影)
葛飾区のブース(筆者撮影)

協会

小池百合子都知事とチャールズ・ボリコ氏は、(一社)日本フランチャイズチェーン協会などのブースを訪問していた。

(一社)日本フランチャイズチェーン協会のブースを訪問し、説明を受ける小池百合子都知事(写真真ん中)とチャールズ・ボリコFAO駐日事務所長(写真左)(筆者撮影)
(一社)日本フランチャイズチェーン協会のブースを訪問し、説明を受ける小池百合子都知事(写真真ん中)とチャールズ・ボリコFAO駐日事務所長(写真左)(筆者撮影)

(一社)全国清涼飲料連合会は、清涼飲料業界で食品ロス削減に向けて取り組んでいる活動を紹介していた。清涼飲料業界は、2013年から、2リットルの大サイズのミネラルウォーターについて、年月日表示を年月表示にすることで、月末までしっかり商品として流通でき、かつ、日付の逆転(*)を起こさないでロスを削減できるような取り組みを行なっている。

左が年月表示、右が年月日表示(筆者撮影)
左が年月表示、右が年月日表示(筆者撮影)
  • 日付の逆転とは、飲食品メーカーが、前日に納品した商品の賞味期限よりも、1日でも古いと納品できないという、食品業界の商慣習。たとえば、前日に納品したペットボトルの賞味期限が2019年12月2日だったとして、今日持ってきた商品の賞味期限が2019年12月1日だと、「昨日納品したものより1日古い」ため、納品できない、というもの。同日もしくは新しいものでないと許されない。たとえ賞味期限が長い商品であっても、日付の逆転が起こってしまうと、トラックが何度も動くことになり、二酸化炭素の排出量を増やし、車両やドライバーの負担も大きくなる。
年月表示化について説明する全国清涼飲料連合会の瀧花巧一氏(写真右)と、説明を受ける参議院議員で公明党食品ロス削減推進PT座長の竹谷とし子氏(写真真ん中)(筆者撮影)
年月表示化について説明する全国清涼飲料連合会の瀧花巧一氏(写真右)と、説明を受ける参議院議員で公明党食品ロス削減推進PT座長の竹谷とし子氏(写真真ん中)(筆者撮影)

清涼飲料連合会の並びでは、全日本菓子協会と、日本加工食品卸協会(三菱食品株式会社)がブースを出していた。

全日本菓子協会(筆者撮影)
全日本菓子協会(筆者撮影)

また、日本チェーンストア協会(イオン株式会社)や、(一財)食品産業センター(味の素株式会社)、国民生活産業・消費者団体連合会のブースもあった。

(公社)日本消費生活アドバイザー・コンサルタント・相談員協会のブース(筆者撮影)
(公社)日本消費生活アドバイザー・コンサルタント・相談員協会のブース(筆者撮影)

コープデリ生活協同組合連合会は、いろんな形の野菜や果物がそろった「もったいないマルシェ」を出展。ペッパーくんも来場者に向けてしゃべっていた。

省庁

食品ロス削減の所轄官庁は、農林水産省、環境省、消費者庁、経済産業省、文部科学省。最後の2つ(経済産業省と文部科学省)のブースは無かった。

農林水産省は、2017年の春と秋に公式サイトで発表した、高機能包装による食品ロス削減の事例を紹介していた。

農林水産省のブースでFAOのチャールズ・ボリコ氏らに説明する、河合亮子室長(写真、左から2番目、奥)と松本健太氏(写真、左)(筆者撮影)
農林水産省のブースでFAOのチャールズ・ボリコ氏らに説明する、河合亮子室長(写真、左から2番目、奥)と松本健太氏(写真、左)(筆者撮影)

環境省は、ここのところ力を入れている、飲食店での食べ残しを減らすための「30・10(さんまるいちまる)運動」(*)について。

環境省のブースでは「30・10(さんまるいちまる)運動」が紹介されていた(筆者撮影)
環境省のブースでは「30・10(さんまるいちまる)運動」が紹介されていた(筆者撮影)
  • 30・10運動とは、宴会などの、最初の30分間と、最後の10分間は、席で食べ物を食べましょう、というもの。平成18年から福井県が「食べきり運動」を始めており、2010年代に入ってから、長野県松本市が市役所内で「30(さんまる)運動」を始め、のちに市民向けに最後の10分を足した「30・10(さんまるいちまる)運動」となり、それが全国に広がった。

消費者庁のブースでは消費者啓発のためのツールがおかれていた。

消費者庁のブース(筆者撮影)
消費者庁のブース(筆者撮影)

フードバンク・その他

「日本初の無料スーパー」で様々なメディアに取り上げられている、NPO法人シェア・マインドは、多くの人で賑わっていた。

来場者に対応する、NPO法人シェア・マインドの松本靖子さん(写真左、筆者撮影)
来場者に対応する、NPO法人シェア・マインドの松本靖子さん(写真左、筆者撮影)

筆者も3年間広報を務めていたセカンドハーベスト・ジャパンは、来場者が絶えない様子。

セカンドハーベスト・ジャパンのブース(筆者撮影)
セカンドハーベスト・ジャパンのブース(筆者撮影)

他に、NPO法人フードバンクTAMA、八王子こども食堂、NPO法人 TABLE FOR TWO、フードロス・チャレンジ・プロジェクトなどが出展していた。

議員

食品ロス問題に関心が高く、法案化に向けて動いている、参議院議員で公明党食品ロス削減推進PT(プロジェクトチーム)座長の竹谷とし子さん始め、東京都議会議員の方や、区議の方が来場していた。

参議院議員で公明党食品ロス削減推進PT座長の竹谷とし子氏(左端)と筆者(左から2番目)、東京都議会議員の皆様と(竹谷とし子氏事務所撮影)
参議院議員で公明党食品ロス削減推進PT座長の竹谷とし子氏(左端)と筆者(左から2番目)、東京都議会議員の皆様と(竹谷とし子氏事務所撮影)

筆者所感

「食品ロス」は、省庁を始めとした行政、企業、大学、NPO、協会など、様々な組織が関与することができる社会的課題である。そのことがとてもよくわかるブース出展だった。

あいにく、朝から雨で、午後からは雪に変わるという、桜の開花と降雪とが同時に起こる天候となったが、多くの人が朝一番から集まっていた。

またこのような取り組みが行なわれることを期待している。その上で、所感を述べておきたい。

やる気の有無が如実に現れていたブース

ブース出展者のやる気や熱意が、ブースに如実に現れていた。コストをかけて派手に飾る必要はないが、誰一人いないブースもあった。担当が重なってしまったのだろうか。主催者や来場者はどう感じたのか、次回はどうするのか、伺ってみたい。

文部科学省と経済産業省はいずこへ

食品ロスを担当する省庁として、2012年7月に農林水産省、消費者庁、環境省、内閣府(食育担当が農林水産省に移管したため、現在は担当ではない)が定まった。その後、2013年2月に文部科学省、8月に経済産業省が加わった。が、文部科学省と経済産業省のブース出展はなかった。経済産業省は、食品ロス削減にも繋がる電子タグのプロジェクトを立ち上げているし、小売の3分の1ルールの緩和や、不当な返品の防止マニュアル作成や、気象データによる需要予測精度向上など、食品ロス削減に大きく関わっている。ブース出展がないのは残念だった。

文部科学省のブース出展も、あってよかったと思う。小学校4年生は「ごみ」について学ぶカリキュラムになっているし、中学校の家庭科の分野では、食品の選び方や買い方、消費の仕方についても男女必修で学ぶ。教育は、人が生きている限り一生関わる「食品」の、ロス削減に大きく貢献するはずだ。

大学のブース出展があってもいい

同じく教育分野に関して、都内の大学からの出展があってもよかったと感じた。都内で食品ロスの研究を続けている研究室はいくつもある。ブースNo.17の「八王子こども食堂」は、八王子に住む学生と市民が協力して立ち上げたとのことで、大学生が関わっていることはわかった。近年の大学生は、このような社会的活動に対する意識が高く、行動力もある。ぜひ、次回は加わって欲しい。

アンケートのお礼で配る菓子は賞味期限接近した都の備蓄でもよい

アンケートのお礼で配布されていた菓子は、山崎製パンと江崎グリコの製品(もしくはサンプル)だった。東京都は、2017年1月5日から、定期的に、賞味期限が接近した備蓄食品を希望者に呼びかけて配布している。このようなイベントの時も、同様に、それら備蓄を配布することは、イベントの趣旨にもそぐうと思う。(たまたま、賞味期限が接近した備蓄食品の在庫がなかったのかもしれないが)

サンプルの食品はなくなる可能性があることを明記

今回は、終日、雨と雪、という天候となった。おそらく晴れや曇りの天候に比べれば、来場者は少なくなったであろう。気になったのは、アンケートのお礼として準備した菓子は余っただろうか?ということだ。筆者は元食品メーカー勤務なので、余ったものがどうなるかは、予想がつく。

そんな中で、イベント用として配布された中に、ブースNo.23番の葛飾区は「アンケート参加でこじゃれた(小洒落た)グッズもおみやげに。(なくなり次第終了)」と明記してあった。数に限りがありますから無くなる可能性もありますよ、と、あらかじめお断りしておくことは、とてもよいと思う。事業者でも「欠品」を防ぐために在庫がだぶついている状況があり、これらは結局はみんながコストを払う羽目になってしまう。

イベント当日にしか配れない紙の資料は最小限に

「2018年3月21日」とカラーで印刷されたイベント資料は、イベント告知までの日数、もしくはイベント当日しか使えない。余るとどうなるのだろう。おそらく「紙ロス」「インクロス」だ。人々は語らないで口を閉ざしているが、「紙ロス」「インクロス」も、「食品ロス」同様、多いことが推察される。恵方巻が当日にしか売ることができないように、イベント当日しか配布できない紙の資料は必要最小限の部数にしたい。筆者が会場を出るとき、大量のイベント資料が受付に置いてあるのが気になった。かなり分厚い紙で、カラー印刷だった。紙ロスは筆者の専門分野ではないが、いつも気になっている。

以上

筆者は主催者でなく部外者なので、上記のことは、主催者側にはおそらく事情があってのこともあると思われる。コメントについて、理解不足の点については、あらかじめ、お詫び申し上げたい。

会場内を歩いていたら、思いもよらず、いろんな方から声をかけていただき、有難く思った。

東京都では、すでに食品ロス削減の目標が定まり、具体的な削減策が講じられてきている。21日のこのイベントをきっかけに、食品ロス削減の機運が広がることを期待している。

食品ロス問題ジャーナリスト・博士(栄養学)

奈良女子大学食物学科卒、博士(栄養学/女子栄養大学大学院)、修士(農学/東京大学大学院農学生命科学研究科)。ライオン、青年海外協力隊を経て日本ケロッグ広報室長等歴任。3.11食料支援で廃棄に衝撃を受け、誕生日を冠した(株)office3.11設立。食品ロス削減推進法成立に協力した。著書に『食料危機』『あるものでまかなう生活』『賞味期限のウソ』『捨てないパン屋の挑戦』他。食品ロスを全国的に注目させたとして食生活ジャーナリスト大賞食文化部門/Yahoo!ニュース個人オーサーアワード2018/食品ロス削減推進大賞消費者庁長官賞受賞。https://iderumi.theletter.jp/about

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