中国政府iPhone禁止で、Apple時価総額は中国での3年分の売上に匹敵する28兆円がマイナス
![](https://newsatcl-pctr.c.yimg.jp/t/iwiz-yn/rpr/kandatoshiaki/00365427/title-1694397195607.jpeg?exp=10800)
KNNポール神田です
2023年9月12日(火)の新型iPhoneの発表が予定されているAppleの株価が大きく揺れた…。
■中国政府機関でのiPhone使用禁止の発表
□(2023年9月)7日の米株式市場で、アップル株が連日の大幅安となった。中国政府が政府機関や国有企業の職員に対し、主力製品「iPhone」の使用禁止を広げると報じられたことがきっかけだ。時価総額は2日間で約1900億ドル(約28兆円)減った。詳細は明らかになっていないが、製販両面で重要拠点である中国市場での苦戦が懸念されている。
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGN07D8O0X00C23A9000000/
中国の政府機関、および国営企業での防衛、セキュリティ面においての報復対応措置として『iPhone』の使用禁止が報じられ、株価に影響を与えた。
![出典:iOSアプリ【株価】AAPL](https://newsatcl-pctr.c.yimg.jp/t/iwiz-yn/rpr/kandatoshiaki/00365427/image-1694142337153.jpeg?fill=1&fc=fff&exp=10800)
iPhoneの中国でのシェアは20%でトップ、Oppo Vivoが続き、出荷台数は1330万台。中国全体でのスマートフォン出荷台数は6,720万台(2023年第一四半期)。
Appleの2023年度第3四半期(4月2日-7月1日)によると、総売上818億ドルのうち、中国での売上は19.3%の157億ドルであった。
![出典:筆者作成](https://newsatcl-pctr.c.yimg.jp/t/iwiz-yn/rpr/kandatoshiaki/00365427/image-1694143005948.png?fill=1&fc=fff&fmt=jpeg&q=85&exp=10800)
Appleの四半期売上20%のシェアを占める中国において、主力商品のiPhoneの使用が、中国政府や国営企業で、制限される動きが動くのは、Appleにとっても大きなリスクの発生と考えられ、株価に影響を与えた。
■2日間の時価総額の損失は中国の3年分の売上に匹敵
株価×発行株数による『時価総額』の2日間の目減り額は、約1,900億ドル(約28兆円)だった。中国での3ヶ月間の売上157億ドルで換算すると、なんと中国での売上3年分に相当する金額がたった2日間で消えたこととなる。
ある意味、非常に大きなチャイナ・リスクでもある。
いや、それよりも、大きなリスクがEUのヨーロッパから起きた…。
■EU規制当局のデジタル市場法『ゲートキーパー指定』大手6社に対して
□欧州委員会はアップルを、オンライン・サービスの「ゲートキーパー」を務める6つのテック企業のうちの1社として指名した。他の企業には、アルファベット(Alphabet)、バイトダンス(Bytedance)、メタ(Meta)、マイクロソフト(Microsoft)、アマゾン(Amazon)が含まれる。
□2022年11月に施行された欧州連合(EC)のデジタル市場法(DMA)によると、主要サービスの「ゲートキーパー」とは、月間アクティブユーザー数が4500万人を超え、時価総額が820億ドルを超える企業を指す。
□指定された企業は、自社のメッセージングアプリをライバルのプラットフォームと連携させ、ユーザーがスマートフォンにインストールするサービスを決められるようにしなければならない。
USB-C規格を推進するEU規制当局の動きで、AppleはUSB-Cの搭載を2024年までに余儀なくされているが、新たにゲートキーパー指定に乗り出した。今後、6ヶ月間(2024年3月まで)の猶予のもとに『デジタル市場法(DMA:Digital Markets Act)』に準拠しなければならなくなった。制裁金はその企業の全世界売上高の10%を課すという。
https://ec.europa.eu/commission/presscorner/detail/en/qanda_20_2349
AppleのEUでの四半期売上は、中国よりも大きく、24.7%の20億ドル(2023年度第3四半期)。
欧州連合(EU)の執行機関である欧州委員会(European Commission)は2023年9月6日(現地時間)、「デジタル市場法(以下DMA)」に基づき、厳格な新規則の遵守を義務付けられる大手企業、通称「ゲートキーパー(門番)」となる最初の6社と、ゲートキーパーが提供する22のコアプラットフォームサービスを指定した。
![出典:EU Digital Markets Act](https://newsatcl-pctr.c.yimg.jp/t/iwiz-yn/rpr/kandatoshiaki/00365427/image-1694144846363.png?fill=1&fc=fff&fmt=jpeg&q=85&exp=10800)
アルファベット(Alphabet)、バイトダンス(Bytedance)、メタ(Meta)、マイクロソフト(Microsoft)、アマゾン(Amazon)の6社と22のサービスにそれぞれのサービスに対して、相互接続性が求められるようになっている。
ユーザーにとっては、排他的なサービスがなくなるのでメリットばかりだが、IT大手としては、新たな法律ができることによっての対応に追われることなる。
![出典:EU Digital Markets Act](https://newsatcl-pctr.c.yimg.jp/t/iwiz-yn/rpr/kandatoshiaki/00365427/image-1694146097810.png?fill=1&fc=fff&fmt=jpeg&q=85&exp=10800)
https://ec.europa.eu/commission/presscorner/detail/en/qanda_20_2349
2023年9月6日、欧州委員会はMicrosoftとAppleに対し、以下の市場調査を開始したことを通知した。MicrosoftのBingの広告とAppleのiMessage
に対してだ。
売上の10%が制裁金というルールのEUは、ITガリバーにとって、悩みの多い市場となりえそうだ。