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中国政府iPhone禁止で、Apple時価総額は中国での3年分の売上に匹敵する28兆円がマイナス

神田敏晶ITジャーナリスト・ソーシャルメディアコンサルタント
出典:iOSアプリ【株価】AAPL

KNNポール神田です

2023年9月12日(火)の新型iPhoneの発表が予定されているAppleの株価が大きく揺れた…。

■中国政府機関でのiPhone使用禁止の発表

□(2023年9月)7日の米株式市場で、アップル株が連日の大幅安となった。中国政府が政府機関や国有企業の職員に対し、主力製品「iPhone」の使用禁止を広げると報じられたことがきっかけだ。時価総額は2日間で約1900億ドル(約28兆円)減った。詳細は明らかになっていないが、製販両面で重要拠点である中国市場での苦戦が懸念されている。

https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGN07D8O0X00C23A9000000/

中国の政府機関、および国営企業での防衛、セキュリティ面においての報復対応措置として『iPhone』の使用禁止が報じられ、株価に影響を与えた。

出典:iOSアプリ【株価】AAPL
出典:iOSアプリ【株価】AAPL

iPhoneの中国でのシェアは20%でトップ、Oppo Vivoが続き、出荷台数は1330万台。中国全体でのスマートフォン出荷台数は6,720万台(2023年第一四半期)。

Appleの2023年度第3四半期4月2日-7月1日)によると、総売上818億ドルのうち、中国での売上は19.3%の157億ドルであった。

出典:筆者作成
出典:筆者作成

Appleの四半期売上20%のシェアを占める中国において、主力商品のiPhoneの使用が、中国政府や国営企業で、制限される動きが動くのは、Appleにとっても大きなリスクの発生と考えられ、株価に影響を与えた。

■2日間の時価総額の損失は中国の3年分の売上に匹敵

株価×発行株数による『時価総額』の2日間の目減り額は、約1,900億ドル(約28兆円)だった。中国での3ヶ月間の売上157億ドルで換算すると、なんと中国での売上3年分に相当する金額がたった2日間で消えたこととなる。

ある意味、非常に大きなチャイナ・リスクでもある。

いや、それよりも、大きなリスクがEUのヨーロッパから起きた…。

■EU規制当局のデジタル市場法『ゲートキーパー指定』大手6社に対して

□欧州委員会はアップルを、オンライン・サービスの「ゲートキーパー」を務める6つのテック企業のうちの1社として指名した。他の企業には、アルファベット(Alphabet)、バイトダンス(Bytedance)、メタ(Meta)、マイクロソフト(Microsoft)、アマゾン(Amazon)が含まれる。

□2022年11月に施行された欧州連合(EC)のデジタル市場法(DMA)によると、主要サービスの「ゲートキーパー」とは、月間アクティブユーザー数が4500万人を超え、時価総額が820億ドルを超える企業を指す。

□指定された企業は、自社のメッセージングアプリをライバルのプラットフォームと連携させ、ユーザーがスマートフォンにインストールするサービスを決められるようにしなければならない。

https://www.businessinsider.jp/post-274907

USB-C規格を推進するEU規制当局の動きで、AppleはUSB-Cの搭載を2024年までに余儀なくされているが、新たにゲートキーパー指定に乗り出した。今後、6ヶ月間(2024年3月まで)の猶予のもとに『デジタル市場法(DMA:Digital Markets Act)』に準拠しなければならなくなった。制裁金はその企業の全世界売上高の10%を課すという。

https://ec.europa.eu/commission/presscorner/detail/en/qanda_20_2349

AppleのEUでの四半期売上は、中国よりも大きく、24.7%の20億ドル(2023年度第3四半期)。

欧州連合(EU)の執行機関である欧州委員会(European Commission)は2023年9月6日(現地時間)、「デジタル市場法(以下DMA)」に基づき、厳格な新規則の遵守を義務付けられる大手企業、通称「ゲートキーパー(門番)」となる最初の6社と、ゲートキーパーが提供する22のコアプラットフォームサービスを指定した。

https://ascii.jp/elem/000/004/154/4154969/

出典:EU Digital Markets Act
出典:EU Digital Markets Act

アルファベット(Alphabet)、バイトダンス(Bytedance)、メタ(Meta)、マイクロソフト(Microsoft)、アマゾン(Amazon)の6社と22のサービスにそれぞれのサービスに対して、相互接続性が求められるようになっている。

ユーザーにとっては、排他的なサービスがなくなるのでメリットばかりだが、IT大手としては、新たな法律ができることによっての対応に追われることなる。

出典:EU Digital Markets Act
出典:EU Digital Markets Act

https://ec.europa.eu/commission/presscorner/detail/en/qanda_20_2349

2023年9月6日、欧州委員会はMicrosoftとAppleに対し、以下の市場調査を開始したことを通知した。MicrosoftのBingの広告とAppleのiMessage

に対してだ。

売上の10%が制裁金というルールのEUは、ITガリバーにとって、悩みの多い市場となりえそうだ。

ITジャーナリスト・ソーシャルメディアコンサルタント

1961年神戸市生まれ。ワインのマーケティング業を経て、コンピュータ雑誌の出版とDTP普及に携わる。1995年よりビデオストリーミングによる個人放送「KandaNewsNetwork」を運営開始。世界全体を取材対象に駆け回る。ITに関わるSNS、経済、ファイナンスなども取材対象。早稲田大学大学院、関西大学総合情報学部、サイバー大学で非常勤講師を歴任。著書に『Web2.0でビジネスが変わる』『YouTube革命』『Twiter革命』『Web3.0型社会』等。2020年よりクアラルンプールから沖縄県やんばるへ移住。メディア出演、コンサル、取材、執筆、書評の依頼 などは0980-59-5058まで

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