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「アヤックス2.0」を探せ。ライプツィヒ、アタランタ、欧州制覇のダークホースは。

森田泰史スポーツライター
ベスト8に進出したライプツィヒ(写真:ロイター/アフロ)

アタランタとライプツィヒが、ベスト8進出を決めた。2019-20シーズンのチャンピオンズリーグが佳境に入ろうとしている。昨季のチャンピオンズリーグでは、アヤックスが躍進した。フレンキー・デ・ヨング、マタイス・デ・リフトら若い選手がシーズンを追うにつれて成長し、アヤックスはレアル・マドリーやユヴェントスを破りベスト4まで勝ち進んだ。

最終的には準決勝でトッテナムに敗れ、アヤックスのビッグイヤー獲得の夢は潰えた。だが「台風の目」となったアヤックスの活躍で、大会は盛り上がりを見せた。

■アヤックス2.0

今季、アヤックスのようなチームは現れるだろうか。筆頭候補はライプツィヒ(ドイツ)である。

ユリアン・ナーゲルスマン監督が率いるチームは、多様性に富んでいる。今季、ブンデスリーガ開幕から3試合で【3-4-3】【3-5-2】【4-4-2】と3つのシステムを使いこなした。3人のセンターバックがビルドアップする。彼らが丁寧にボールを運び、ボランチ、サイドハーフ、FWのところに穴を見つけながら、前進していく。

長いボールは多用しない。チャンピオンズリーグでのライプツィヒの1試合平均ロングボール数は53本で、その成功率は56%だ。突出した突破力がある選手はおらず、そのためワンタッチ、ツータッチと良いテンポでパスが繋がる。また、攻守において選手の距離感が良い。それは攻撃では巧みなパスワークに、守備では2人から3人の連動したプレスにつながる。

エースのティモ・ヴェルナーだ。彼にはフリーロールのような役割が与えられている。ライプツィヒでそのタスクをこなす唯一の選手と言えるかも知れない。ヴェルナーは万能型のストライカーだ。右利きである彼は左サイドに流れ、前向きな状態でボールを持つのを好む。ブンデスリーガ25試合21得点7アシストとライプツィヒの得点源になっている。

中盤では、マルツェル・ザビッツァーが効いている。センターバックからパスを受けてサイドに散らす役割を担い、かつ相手の攻撃の芽を早い段階で摘む。ブンデスリーガ25試合8得点6アシストを記録しており、またスタメン率96%とナーゲルスマン監督にとって欠かせない存在だ。

■貫かれる攻撃的な姿勢

もうひとつの候補はアタランタ(イタリア)だろう。

ジャン・ピエロ・ガスペリーニ監督の下、攻撃的なフットボールを展開している。昨季、セリエAを3位でフィニッシュしてチャンピオンズリーグ出場権を獲得。アタランタが記録した77得点は、セリエAでトップの数字だった。

アタランタは3バックを採用している。【3-4-1-2】の布陣で、守備の能力が高い3人のセンターバック、走力のアル2人のウィングバック、多機能型のダブルボランチ、巧みに前線を操るトップ下、ポストワークとフリーランに長ける2トップが据えられる。高い位置でボールを奪取して、ショートカウンターを仕掛ける。連動したプレスと、組織立った攻撃。スター選手はいない。だが、「カテナチオ」で名を馳せるイタリアで、1位の得点数を記録できたのは、そういった基盤があるからだ。

ボール保持時においては、困ったらFWにロングボールを蹴る。ヨシプ・イリチッチ(今季セリエA15得点8アシスト)やドゥバン・サパタ(11得点6アシスト)にボールを預けて、彼らがアレハンドロ・ゴメス(6得点10アシスト)にパスを落として攻撃をスタートさせる。

また、サイドアタックの際にはシンプルにクロスを送る。その時、FWだけではなく、トップ下、ボランチ、逆サイドのウィングバックと可能な限りゴール前に人数を揃える。ウィングバックのロビン・ゴゼンス(7得点5シスト)の得点がA・ゴメスより多いのは、偶然ではない。

ライプツィヒは決勝トーナメント一回戦でトッテナムを、アタランタはバレンシアを下した。「若いチーム」という点ではライプツィヒが、「攻撃的」という点ではアタランタが昨季のアヤックスと重なる。いずれにせよ、彼らが欧州最高峰の舞台を盛り上げるのは間違いない。

スポーツライター

執筆業、通訳、解説。東京生まれ。スペイン在住歴10年。2007年に21歳で単身で渡西して、バルセロナを拠点に現地のフットボールを堪能。2011年から執筆業を開始すると同時に活動場所をスペイン北部に移す。2018年に完全帰国。日本有数のラ・リーガ分析と解説に定評。過去・現在の投稿媒体/出演メディアは『DAZN』『U-NEXT』『WOWOW』『J SPORTS』『エルゴラッソ』『Goal.com』『ワールドサッカーキング』『サッカー批評』『フットボリスタ』『J-WAVE』『Foot! MARTES』等。2020年ラ・リーガのセミナー司会。

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