目標達成に対する「条件反射」「拒否反応」「不感症」アレコレ
私は企業の現場に入って、目標を「絶対達成」させるコンサルティング支援をしています。当然、そのような姿勢でクライアント企業に入っていくため、8割ぐらいの方から抵抗に遭います。
「目標を達成しろと言われても、無理です」
「達成できないときだってあります」
「目標が高いから達成するのが難しい」
「だいたい世の中に『絶対』なんてあり得ない」
このように言う人たちが、どこの組織にもいます。私が何も言う前から、言い訳を始める人もいます。私はもう聞き慣れているので、
「うちの業界は特殊ですから」
「わが社は他の企業と違うんです」
「当社が扱っている商品は、いろいろと独特でして……」
と訴えられても、何も感じません。数えきれないほどの業界の、零細企業から大企業までの、若手からベテランまで、ありとあらゆる人から、このような言い訳を毎日のように聞いているせいでしょう。できない言い訳に対して「不感症」になっています。無意識のうちに右から左へ聞き流す習性ができてしまっています。
実際に目標達成するかどうかは別です。「目標達成なんて無理」「絶対達成なんてあり得ない」と口にする人のほとんどが、まるで「条件反射」のような反応を示していることを私は見逃しません。
「私は横山と申します。御社の目標を達成させるために来ました」
「いやいや、目標達成なんて無理ですよ」
……と、こんな感じです。これは単なる「拒否反応」。何も考えることなく、体が反応しているだけです。したがって、お互いじっくりと時間をかけて信頼関係を構築し、たまに飲みにでも行ける間柄になれば、本音で話し合えるようになるものです。そして、そうなってから、こう聞いてみます。
「本当に、あなたは、心の底から、目標が達成しない、と思っているのですか?」
相手が少し考えたふりをするなら、もう一度、私は同じ質問をします。
「本当に、あなたは、心の底から目標が達成しないと思っているのですか? 本当にそう信じているのですか? 本当に、絶対に、どんなことをしても目標は達成しませんか?」
このように、探るように尋ねます。そうすると、
「いや、まァ……、そりゃあ、そんなことは、ないかもしれないですけど……」
と、答えてくれるものです。目標達成なんて「無理です」「難しいです」と答える人のほとんどは、深く考えずに発言しています。周囲の人もそう言っているから条件反射で同じような主張をするだけです。どうやって目標を達成したらいいかはわからないが、絶対に無理だとも思っていないし、おそらく良い方法はあるのだろうけれども、そこまで探求してないといえば、ないかな……という程度です。したがって、
「『絶対達成』するかどうかはわからないが、『絶対未達成』かというと、それもわからない」
というのが本音です。現在、日本の東京にいて、「今から1時間以内にアメリカのニューヨークまで行ってくれ」と言われたら「絶対未達成」になるでしょう。考える必要もありません。「本当に、あなたは、行けないと思ってるのですか?」と私からじっくり質問されても、葛藤さえしないでしょう。「無理に決まってる。バカにしているのか?」と答えるはずです。
確かに、コンサルティングに入っていて、これでは、この組織の年間目標は達成しないな、と実感するときはあります。その判断材料は2つだけです。
● 市場ポテンシャルがない
● 時間が足りない
「市場ポテンシャル」というのは、1年ほど市場調査をすれば判明します。インタビュー形式のマーケティングリサーチではわかりません。個人の感覚で判断するのではなく、実際にくまなく市場に足を運んでからでないと客観的データを集めることはできません。(その手法は今回のテーマから離れるため割愛する)
「時間が足りない」というのは、商談の平均リードタイムなどを考慮すると、「この期間でこの目標を達成するのは物理的に不可能だろう」と判断することがあります。だからといってあきらめるのではなく、将来のための顧客資産を形成する活動をすべきです。いずれにしても「市場ポテンシャル」があるにもかかわらず、長い期間、目標未達成状態が継続する原因は心理的なものです。現場の人が「無理だ」「難しい」と考えているからに他ありません。私たちコンサルタントも、同じく「そうですよね……。難しいですよね」「達成できないときもありますよねェ」などと同調すると、相手の思考プログラムを変えることなどできないため、動じることなく「絶対達成」と言い続けるのです。言い訳に対して「不感症」になるのも仕方がないと言えます。2014年もあと少し。グダグダ言わず、思考ノイズを取り払って「絶対達成」の精神でいきましょう。