第32エンド「MD世界戦4日目ハンガリー戦、大敗で2勝3敗に。クオリファイ、平昌五輪に黄信号」
カーリングのミックスダブルス世界選手権4日目、日本はダブルヘッダーだったが、朝のベラルーシ戦に続き、ハンガリー戦でも黒星を喫してしまった。
1エンドからハンガリーの強い石を捌き切れず、小笠原のラストロックは自軍の石を叩き出してしまい、4点を献上する。
2エンドは苦しい形ながらも小笠原が中央にドローを運び、1点返す。阿部のスイープも力強かった。
3エンドも阿部が中央を壊すテイクで悪くない形を作るが、ハンガリーのZsolt KISSにラストロックを決められ、思うように複数得点ができない。
4エンドにパワープレーを選択し、一気に点差を縮めにいくが、Zsolt KISSのダブルで反撃の芽を摘まれると、リスクを負いながらダブルを狙った小笠原のラストロックはまたも自軍の石に当たり逆に4点を奪われる結果となった。
フィニッシュはもちろん、エンドの内容も決して良いとは言えなかった。小笠原が「高い位置に(石を)置き続けることができなかった」と振り返ったように、日本はTラインの奥まで流れてしまうショットが目立った。その石がキャッチャーとなってしまい、ハンガリーはそこに強いストーンを送るという悪循環が続いた。
また、ハンガリーは点差や相手の出方によって、投げ順を変えてきた。ミックスダブルスは両チームに与えられた5投のうち、片方の選手が1投目と5投目の2投、もう片方の選手が2-4投目の3投を担当するルールだ。ただし、この投げ順はエンドごとに変更しても良い。
ハンガリーは基本的には男子選手のZsolt KISSが1と5を担当していたが、例えば4点リードで迎えた4エンドの日本のパワープレーで、投げ順を変えた。女子選手のDorottya PALANCSAが1と5を、Zsolt KISSは中盤の3投を担当した。そしてその目論見どおり、Zsolt KISSは2投目に早いウェイトでダブルを決め、日本の複数得点の可能性を限りなく小さくした。おそらく守備的に進行したいエンドは、早いウェイトで形を壊せる男子選手に石を3つ持たせた方が合理的なのだろう。
佐藤浩コーチにそのあたりを聞くと「ミックスに慣れているチームは(投げ順を)スイッチしてくることは珍しくないです」とのことだ。結成2ヶ月の阿部と小笠原にはそのオプションを試す時間はなかった。このあたりも敗因になってくるだろうが、「時間がない」「経験がない」と誰よりも負けず嫌いな本人たちは一切、口に出していない。
「一戦一戦、一投一投やるだけ」(小笠原)
「最低限、勝ち越したい」(阿部)
明日からの残り2試合について聞かれると、それぞれ短い言葉に力を込めた。小笠原の目は少し赤く染まっていた。
これで通算成績は2勝3敗。Aグループはラトビアがクオリファイを決めているので、残った椅子は2つ。明日のエストニア戦も世界カーリング機構HPでライブ中継がある(日本時間27日木曜日朝5:30)。彼らの逆襲をぜひ見守ってほしい。
まだクオリファイも、平昌五輪の可能性も残っている。