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カーリング日本選手権2025 ロコ・ソラーレ藤澤五月があの港町で記者会見、史上初の首都圏開催を宣言

竹田聡一郎スポーツライター
藤澤五月「今日この場で横浜開催をアナウンスできてうれしい」 (写真:竹田聡一郎)

 日本カーリング協会(JCA)は26日午後、横浜市役所にて「日本カーリング選手権大会 横浜 2025」に関する共同記者会見を横浜市と合同で開き、山中竹春横浜市長、貝森輝幸JCA会長、岡崎朋美JCA理事と共にJCAアスリート委員長である藤澤五月(ロコ・ソラーレ)が登壇。2025年の日本選手権は2月2日に開幕で、決勝は9日。会場は多目的アリーナ「横浜BUNTAI」(横浜市中区不老町)と発表した。

 この「横浜BUNTAI」は4月にオープンしたばかりで、6日と7日には地元出身のアーティスト「ゆず」がこけら落とし公演を行うなど、港町横浜の興行を支える中核施設のひとつとして期待されている。

 冬季スポーツの開催はカーリングが初となる予定だ。カーリング日本選手権のアリーナ開催は1990年の札幌市真駒内アイスアリーナ(現真駒内セキスイハイムアイスアリーナ)、1993年の帯広の森アイスアリーナ、1997年の軽井沢風越アイスアリーナ以来で、28年ぶりとなる。自治体としてもこれまでは北海道、長野、青森の3道県に限られてきたが、ここに4つ目として神奈川県が加わった。首都圏開催はもちろん初だ。

 約5000席の収容人数も過去最大級となる。例えば、今年の日本選手権は札幌市のどうぎんカーリングスタジアム、昨年は北見市のアドヴィックス常呂カーリングホールでそれぞれ行われたが、観客用に割ける客席は100席前後であっため、カーリングが現地観戦のスポーツとしてなかなか定着しなかった。

 また、藤澤らトップ選手はかねてから、多くの観客を入れた状態の大会場で行う、いわゆる“アリーナアイス”での開催を切望していた。五輪や世界選手権、グランドスラムなどの限られた舞台では行われてきたが、現状、多くの国内チームは未経験のアイスでもある。

 だからこそ、今回のアリーナ開催は普及面、広報面でも、競技面でもかなりの効果が期待される。あらゆる面での念願を実現させた関係者の熱量には頭が下がる一方で、これからの準備もかなり重要になってくるだろう。

 2026年2026年ミラノ・コルティナダンペッツォオ五輪の出場権を大きく左右する大会ということもあり注目度も高く、横浜BUNTAIはJR京浜東北線関内駅、横浜市営地下鉄伊勢佐木長者町駅よりそれぞれ5分前後という好立地もあって、多くの観客の来場が見込まれる。

 チケットの値段設定をどうするか。どのようにメディアに報じてもらうのか。パートナーとして伴走してくれる理解のあるスポンサーも不可欠だ。興業として成立、そして継続させるための適切かつ慎重な判断が求められる。

 そしてそこに来てくれたカーリングファンや、その予備軍に対してプレーそのものはもちろんのこと、競技の見せ方、あるいは大会に付随したイベントで満足させないといけない。

 例えば、カナダで開催される世界選手権やカナダ選手権といった一定規模以上の大会では「PATCH」と呼ばれる、イベント会場が隣接される。レストランであり、カフェであり、パブであり、パブリックビューイングであり、ライブハウスであり、ファンと選手の交流の場でもある。

 必ずしもカナダに倣う必要はないが、数千人単位の観客をアイス内外で満足させるための仕掛け、それも横浜市という日本最大の政令指定都市と組んだからこそ実現できるものが、必ずあるはずだ。その先には横浜で行われる国際大会なども視野に入ってくるだろう。

 内外からアイデアを集め検討し、横浜市、選手、ファン、JCAがそれぞれカーリング持つ素晴らしさやスポーツの力を見せつけるために、良質の準備を進めてほしい。あらゆる面で過去最高の日本選手権を見たい。

スポーツライター

1979年神奈川県出身。2004年にフリーランスのライターとなりサッカーを中心にスポーツ全般の取材と執筆を重ね、著書には『BBB ビーサン!! 15万円ぽっちワールドフットボール観戦旅』『日々是蹴球』(講談社)がある。 カーリングは2010年バンクーバー五輪に挑む「チーム青森」をきっかけに、歴代の日本代表チームを追い、取材歴も10年を超えた。

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