シリア南東部のアメリカ軍基地が砲撃を受ける一方、イスラエルはダマスカス近郊をミサイル攻撃
CONOCOガス工場の米軍基地が砲撃を受ける
シリア南東部のダイル・ザウル県では、反体制系サイトのEldorarによると、8月30日夜から31日早朝にかけて、北・東シリア自治局の支配下のユーフラテス川東岸に位置するCONOCOガス工場にある米軍の基地が、2度にわたって何者かの砲撃を受けた。
北・東シリア自治局は、クルド民族主義勢力の民主統一党(PYD)が主導する自治政体。米軍は、イスラーム国から油田を防衛するとの口実のもと、同自治局の支配地域各所に部隊を違法に駐留させている。
CONOCOガス工場は駐留米軍の基地が設置されている要衝の一つ。
Eldorarによると、砲撃によって物的被害が生じたが、死傷者はなかった。
駐留米軍部隊は、迫撃砲が発射されたとみられるフシャーム町に対して砲撃を行い、応戦した。
フシャーム町はユーフラテス川東岸に位置するがシリア政府の支配下にある。
イスラエルが兵力引き離し地帯で放火、首都ダマスカス近郊をミサイル攻撃
一方、南西部では、国営のシリア・アラブ通信SANAによると、イスラエル軍が8月31日未明、ゴラン高原のマジュダル・シャムス村東の兵力引き離し地域Aラインに沿って放火した。
火災は、シリア政府支配下のAライン北東側の地雷原、牧草地、農地に拡大し、敷設されていた地雷複数発が爆発した。
SANAによると、クナイトラ県の消防隊と農業局の職員が消火活動にあたっているという。
イスラエル軍はまた、8月31日の午後10時40分、占領下のゴラン高原から首都ダマスカス県の南方をミサイル複数発で攻撃した。
SANAによると、シリア軍防空部隊が迎撃し、ミサイルのほとんどを撃破したが、兵士2人が死亡、7人が負傷した。
これに関して、英国を拠点とする反体制系NGOのシリア人権監視団は、ダルアー県のイズラア市近郊のナーミル村の大隊基地、カルファー村の大隊基地、マハッジャ丘など、ヒズブッラーの部隊が展開している地域がミサイル攻撃を受け、外国人3人を含む「イランの民兵」5人が死亡、10人以上が負傷し、甚大な物的被害が生じたと発表した。
また、Eldorarは、ダマスカス郊外県のダマスカス国際空港一帯、キスワ市一帯が攻撃を受けたと伝えた。
(「シリア・アラブの春顛末記:最新シリア情勢」をもとに作成)