イタリア代表、日本代表にリベンジした背景は?【ラグビー旬な一問一答】
ワールドカップ自国大会を翌年9月に控えるラグビー日本代表は6月16日、兵庫・ノエビアスタジアム神戸で欧州6か国対抗戦へ出場のイタリア代表に22―25で敗れた。
イタリア代表は9日に大分銀行ドームであった同カードを17―34で落とすも、この日に向け自軍のパフォーマンスを再点検。肉弾戦への激しいプレッシャーで日本代表の孤立した選手のミスや反則を誘い、後半5分の段階で19-3とリードするなど試合を優位に進めた。
後半は疲れもあってかペナルティーがかさんだが、3点差で勝利。試合後はコナ・オシェイヘッドコーチとレオナルド・ギラルディーニゲームキャプテンが会見した。
以下、共同会見時の一問一答の一部(編集箇所あり)。
オシェイ
「Wowという感じ。すばらしいテストマッチでした。選手たちの反応も素晴らしかった。最初の60分の我々のラグビーのクオリティーが卓越していて、思っていた以上のことができた。
我々は長期的にいろいろな目標を立てていましたが、それがいい形で遂行できました。特に前半、よかった。フィットネスもよかった。後半はディシプリンに課題があったが、何よりよかったのが、モメンタム(勢い)をものにできたこと。前回ああいう負けがあったことでメンタルが問われたが、今週はギラルディーニが難しい準備を引っ張ってくれた。我々はすべきことがわかっています。我々は日本代表と状況が似ている(世界ランク10位台前半)。うまくいったことを自信に繋げ、ここから勝ち続けたい。我々の目指すプレーは前半に表れていたので、これを日本代表のような難しい相手にも、毎週やっていきたい。ファンのことを思うと、今日の試合は非常にいい勝ちになりました」
ギラルディーニ
「大方はヘッドコーチが述べた通り。今週はタフな1週間でした。2勝するつもりで来日も、先週負けた。今週は勝って嬉しいし、勝ち方がよかった。ラグビーの試合はパーフェクトにすることが難しく、きょうもミスはありましたが、仲間たちを誇りに思います。我々はこの先どこへ行きたいかがはっきりしています。通年やってきた努力が形になった。来年のワールドカップがありますが、その前に11月のテストシリーズやシックスネーションズ(欧州6か国対抗)がある。若いチームですが、努力を続けていきたいです」
――肉弾戦へしっかりとプレッシャーをかけていた。
オシェイ
「その部分だけではなく、先週はうまくできなかったことは山ほどある。ただ今週は選手がどう動くかという反応がよかった。先週はブレイクダウン、強度で後手に回った。しかしそれは本来の姿ではないと、日本人、母国のファンに見せたかったんです。ラグビーのゲームはパーフェクトになりにくいですが、そのなかでリアクションが大事になってきます。フィフティ・フィフティのところのボールを、きょうはこちらが持ってこれらた。こうしたラグビーを一貫してできるように成長したい。先週より遂行できたと思います」
――日本の気候、湿度については。
オシェイ
「来年のワールドカップは時期が9月なのでいまと状況は違うと思いますが、今回の2つのスタジアムでプレーしたことで、大分より神戸の方が湿気が少ないなどという状況がわかりました。この3週間の経験は素晴らしいものでした。日本人は皆さん、素晴らしい。我々はラグビーで勝つために来たわけですが、今週は本当においしい神戸牛が食べられたりした。ワールドカップではまた違うと思いますが、帰国後は日本がいい国だと声を大にして言いたい。イタリア国民にも『ワールドカップへ観に来れば素晴らしい経験ができるよ』と言いたいです。サポートあっての今日の勝利です」
――スクラムの印象は。
ギラルディーニ
「日本代表はチームとして成長している。セットピースもその要素。ハードに組んできますし、正確です。インパクトも強いし、プレッシャーもある。シックスネーションズにもいいスクラムを組むチームが多いが、日本代表も同じレベルだと思います。成長を感じます」
ギラルディーニの言葉通り、日本代表の収穫のひとつにはスクラムがあろう。後半28分ごろの1本はレフリーとの連携などを乱してペナルティーを犯すも、同30分ごろには鋭い押し込みでイタリア代表のコラプシング(塊を故意に崩す反則)を誘った。その他の場面でも、相手より低い位置で背中と地面を平衡に保った。「正確さ」が垣間見えた。
イタリア代表にとって、この日は本来の力を発揮した結果とのこと。日本代表としては、好調な相手を跳ね返す底力をつけたいところか。