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2人のDHがチームを入れ替わる。成績はよく似ているので、そのままでもよかった!?

宇根夏樹ベースボール・ライター
ジャスティン・ターナー Sep 11, 2022(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

 今シーズン、J.D.マルティネスは、ボストン・レッドソックスのDHとして139試合に先発出場した。一方、ロサンゼルス・ドジャースでプレーしたジャスティン・ターナーの先発出場は、三塁が66試合とDHが61試合。前者は80試合のマックス・マンシーに次ぎ、後者はチームで最も多かった。DH出場のチーム2位は、25試合のマンシーだ。

 マルティネスとターナーは、どちらも、今オフにFAとなった。来シーズン、マルティネスはドジャース、ターナーはレッドソックスでプレーする。それぞれ、ファンサイデッドのロバート・マリーやMLB.comのマーク・フェインサンドらが、契約合意を報じている。

 レッドソックスとドジャースのDHが、入れ替わった格好だ。

 ESPNのジェフ・パッサンは、マルティネスの契約について、1年1000万ドルと報じている。ターナーの契約は、ジ・アスレティックのケン・ローゼンタールによると、2024年の選手オプションを行使すれば2年2170万ドル、行使しなければ1年1500万ドルで、打席数に応じた最高100万ドルの出来高がついているという。来シーズンの年齢(6月30日時点)は、マルティネスが35歳、ターナーは38歳だ。

 今シーズン、マルティネスは、16本塁打と43二塁打、出塁率.341とOPS.790を記録した。ターナーは、13本塁打と36二塁打、出塁率.350とOPS.788だ。長打はマルティネスが少し多く、出塁率はターナーがやや上だが、OPSはほとんど変わらない。2人とも、昨シーズンと比べると、スタッツは下降している。

 マルティネスの復活をドジャースが見込んでいる理由(と1年契約の理由)については、「ベテランのDHと1年契約も、大谷翔平を手に入れる「布石」なのか。そうだとしても単なるつなぎではなく…」で書いた。

 レッドソックスがマルティネスと再契約を交わさず、今シーズンのスタッツがよく似ていて、年齢は上のターナーを迎え入れたのは、三塁を守れることが大きな理由ではないだろうか。レッドソックスの三塁には、ラファエル・デバースがいるが、守備はそれほどうまくない。ターナーの加入により、デバースが三塁の座を完全に譲ることはないにしても、来シーズンはDH出場も増えそうだ。

 また、ホームランはともかく、フェンウェイ・パークのグリーン・モンスターに打球を当てることで、ターナーの二塁打は増えてもおかしくない。わずかながら、一塁を守ったこともあり、若手のトリスタン・カーサスが伸び悩んだ場合には、ターナーを一塁手として起用することもできる。

 なお、レッドソックスがまだ実績のないカーサスを一塁のレギュラーに想定していることは、「約4000万ドルの契約が残っている選手をDFAとする。支払いを負担するのは、その球団ではなく…」で書いた動きからも窺える。

ベースボール・ライター

うねなつき/Natsuki Une。1968年生まれ。三重県出身。MLB(メジャーリーグ・ベースボール)専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランスのライター。著書『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

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