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ナショナルズの打者2人が同じ試合でメジャーリーグ最多記録をそれぞれ樹立。その陰にはあの名将がいた

宇根夏樹ベースボール・ライター
ライアン・ジマーマン(左)とブライス・ハーパー Apr 4, 2016(写真:USA TODAY Sports/アフロ)

5月8日、ワシントン・ナショナルズのブライス・ハーパーライアン・ジマーマンが、1試合のメジャーリーグ最多記録をそれぞれ樹立した。

ハーパーの1試合6四球はジェフ・バグウェルらと並ぶ最多タイだが、ハーパーは4打席目に死球で出塁しており、イライアス・スポーツ・ビューローによれば、打数ゼロで7度の出塁は新記録だという(打席と打数については→「今さらながら「打席」と「打数」について知っておきたいこと。「首位打者」や「連続安打試合」にも関わる話」)。

ジマーマンの1試合14残塁は新記録だ。これまでの最多は、トッド・ヘルトンデビッド・オティーズ(ボストン・レッドソックス)らが記録した12残塁だった。これらは、イニング終了となった打席以外も含んでいる。例えば、ジマーマンは初回に1死一、二塁から三振に倒れた。この場合の残塁は2と数える。

2人の新記録は、対戦したシカゴ・カブスの監督、ジョー・マッドンによって生み出された。ハーパーは6四球のうち、敬遠で3度歩かされた。この日は、5月5日から始まったナショナルズ対カブスの最終戦。ハーパーはその前の3試合で計12打席に立ち、四球で7度出塁した(うち1敬遠)。敬遠でなくとも、マッドン監督の指示により、カブスの投手がハーパーとの勝負を避けていたのは明白だ。打順は4試合とも、ハーパーが3番、ジマーマンが4番だった。

4連戦を迎えた時点で、カブスとナショナルズは両リーグ・トップ2の勝率を残していた。カブスは20勝6敗(勝率.769)、ナショナルズは19勝8敗(.704)。CBSスポーツのマット・スナイダーは、両チームが対戦する直前に「今シーズンここまでの最も興味をそそられるマッチアップ」に挙げていた。ところが、シリーズはカブスの4連勝に終わった。

カブスが快走を続ける要因の一つに、マッドン監督の存在があることは間違いない。

ベースボール・ライター

うねなつき/Natsuki Une。1968年生まれ。三重県出身。MLB(メジャーリーグ・ベースボール)専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランスのライター。著書『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

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