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強豪チームの新戦略

林壮一ノンフィクション作家/ジェイ・ビー・シー(株)広報部所属
写真:LAFC提供

 2022年度のMLS(メジャー・リーグ・サッカー)で創立5年にしてVを飾り、昨年も準優勝したLAFC。

昨年9月、メッシ率いるインテル・マイアミ戦でLAFCのスタディアムは超満員に 写真:LAFC提供
昨年9月、メッシ率いるインテル・マイアミ戦でLAFCのスタディアムは超満員に 写真:LAFC提供

 元メキシコ代表のカルロス・ベラ、イタリアの名DFジョルジョ・キエッリーニ、ウェールズ代表のガレス・ベイル、そして今季は、W杯ロシア大会でキャプテンとしてフランス代表を牽引し、同国2度目の優勝に大きく貢献したウーゴ・ロリスを獲得するなど、補強を続けてきた。強いチームを作るための努力を惜しまない姿は、MLSを活性化させている。

キエッリーニは一流のプロとは何たるかを示し、昨シーズン限りで引退した。 写真:LAFC提供
キエッリーニは一流のプロとは何たるかを示し、昨シーズン限りで引退した。 写真:LAFC提供

 そのLAFCが現地時間の1月16日、初代欧州マネージングディレクターとの契約締結を発表した。白羽の矢を立てたのは、ハラルド・ゲルトナー。今後、ゲルトナーがLAFCのヨーロッパ部門を率いていく。特に、オーストリアのFCヴァッカー・インスブルックとの提携に力を注ぐ模様だ。

 クラブのCBOであるラリー・フリードマンは語った。

 「ハラルドのようなサッカーの知識が豊富な人材をクラブに加えられることに興奮している。彼はFCインスブルックとのパートナーシップを築く上で重要な人物だ」

写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ

 ゲルトナーは、FCインゴルシュタット04(ドイツ)、FCクラーゲンフルト(オーストリア)で仕事をした経験を持つ。

 ゲルトナーもコメントした。

 「この仕事は私にとって非常に魅力的です。このクラブが、インスブルックやその先にある野心的な目標を達成できるよう、サポートさせていただきます」

写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ

 去シーズン、リオネル・メッシが加入したことにより、インテル・マイアミにはスペイン、そして南米ルートが出来た。メッシの母国であるアルゼンチンは確かに世界的な強豪国だが、1部リーグのクラブに所属していても、給料の未払いや遅れが頻繁に見られる。若き才能は、いち早くヨーロッパへの移籍を希望する。とはいえ、そのマーケットに名前が載らない選手は、他の手を探すこととなる。

 メッシがMLS入りする前から、アメリカを目指す南米選手は多くいたが、ベテラン中心だった。今後は、若手がチャンスを求めてMLSを検討しそうだ。

 そんななかで、LAFCがオーストリアと手を組んだ点が興味深い。何かやってくれそうな気配である。

ノンフィクション作家/ジェイ・ビー・シー(株)広報部所属

1969年生まれ。ジュニアライト級でボクシングのプロテストに合格するも、左肘のケガで挫折。週刊誌記者を経て、ノンフィクションライターに。1996年に渡米し、アメリカの公立高校で教壇に立つなど教育者としても活動。2014年、東京大学大学院情報学環教育部修了。著書に『マイノリティーの拳』『アメリカ下層教育現場』『アメリカ問題児再生教室』(全て光文社電子書籍)『神様のリング』『世の中への扉 進め! サムライブルー』、『ほめて伸ばすコーチング』(全て講談社)などがある。

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