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藤井聡太棋聖、先手で相掛かり! 棋聖戦五番勝負第1局始まる

松本博文将棋ライター
(記事中の画像作成:筆者)

 6月3日9時。兵庫県洲本市・ホテルニューアワジにおいて、第93期ヒューリック杯棋聖戦五番勝負第1局▲藤井聡太棋聖(19歳)-△永瀬拓矢挑戦者(29歳)戦が始まりました。棋譜は公式ページをご覧ください。

 本局は棋聖戦では定番の淡路島対局です。両対局者は前日、次のように語っていました。

藤井「前期の第2局に続いてということで。自分、ほとんど1年ぶりなんですけど。やっぱり、1年前のときも思ったんですけど、対局室からの景色が素晴らしくて。そういったところでもリラックスして対局に臨めそうかな、とも思います」

永瀬「対局室に来てみますとやっぱり、この(向かって)右側の風景が脳に残っていますので、どんどん記憶がよみがえってきて。当時(2016年第1局)は羽生先生との対局だったんですけど。それも徐々にいま、記憶がよみがえってきているかな、という感じがしています」

 タイトル戦では、対局者は和服姿が通例です。そうした中で、最近の永瀬挑戦者は一貫してスーツ姿。本局もまたそうでした。一方の藤井棋聖は落ち着いた色合の和服。2年前の棋聖戦五番勝負からタイトル戦に登場し始めて以来、和服姿もすっかり板についた感があります。

 両者ともに大橋流で駒を並べ終えたあと、記録係の折田翔吾四段が畳の上に白布を広げ、藤井棋聖側の歩を5枚取って、振り駒をします。

折田「藤井棋聖の振り歩先でお願いします」

 白布の上には表の「歩」が2枚と裏の「と」が2枚。畳の上にこぼれて「歩」が1枚。

折田「歩が3枚出ましたので、藤井先生の先手番でお願いします」

 第1局は藤井棋聖が先手。以後は交互に先後が替わっていきます。もし最終第5局があれば、再び振り駒がおこなわれます。

 本局の立会人を務めるのは小林健二九段です。

小林「定刻になりました。棋聖戦第1局、藤井棋聖の先手でお願いいたします」

 両対局者は一礼。持ち時間4時間(1日制)の対局が始まりました。

 藤井棋聖はいつもの通り、まずお茶を口にします。そして初手、飛車先の歩を突きました。進んで戦型は相掛かり。現代最先端の序盤となりました。永瀬挑戦者はほとんど時間を使うことなく進めていきます。本局に十二分の準備をして臨んだことがうかがえます。

 角交換から動きがあり、藤井棋聖は2歩得を果たしました。相手の飛車先の筋から歩を押し上げて防御ラインをあげ、その下に金を構えるのはコンピュータ将棋が評価する構えです。

 対して永瀬挑戦者は角を手持ちにしたままバランスを取ります。

 時刻は10時30分を過ぎました。現在は永瀬挑戦者が38手目を考えています。

将棋ライター

フリーの将棋ライター、中継記者。1973年生まれ。東大将棋部出身で、在学中より将棋書籍の編集に従事。東大法学部卒業後、名人戦棋譜速報の立ち上げに尽力。「青葉」の名で中継記者を務め、日本将棋連盟、日本女子プロ将棋協会(LPSA)などのネット中継に携わる。著書に『ルポ 電王戦』(NHK出版新書)、『ドキュメント コンピュータ将棋』(角川新書)、『棋士とAIはどう戦ってきたか』(洋泉社新書)、『天才 藤井聡太』(文藝春秋)、『藤井聡太 天才はいかに生まれたか』(NHK出版新書)、『藤井聡太はAIに勝てるか?』(光文社新書)、『棋承転結』(朝日新聞出版)など。

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